VWやGMのさらに先を疾走しているのがアルファベット(グーグル)傘下の自動運転技術開発会社ウェイモです。同社は、自動運転車を実際の道路で既に1600万km以上走らせており、公道で運転手がいないテスト車両の走行許可をカリフォルニア州から取得した最初の企業となりました。
WSJは11月13日、ウェイモのジョン・クラフチックCEOが向こう2カ月以内に自動運転車による配車サービスを開始することを明らかにしています。また、同じ日にブルームバーグも事情に詳しい筋の話として年内にサービスを開始する予定であることを伝えていますので、いずれにしても米国でのサービス開始は秒読み段階に入ったようです。
同サービスでは、ウーバー(Uber)やリフト(Lyft)のように専用アプリで配車を予約すると、車両が利用者のところまで迎えに来て、目的地まで運んでくれます。個人のほか、ウォルマートに代表される郊外型店舗などでシャトルバスとしても利用されます。当初はアリゾナ州のフェニックスのみでのサービスとなりますが、順次拡大される予定です。
自動運転の大競争時代幕開け、日本の出遅れは必至
自動運転配車サービスの開始は、タクシー業界はもちろんのこと、ウーバーやリフトといった配車サービス企業にも大打撃となりそうです。
GMは2019年に、米国の少なくとも1つの都市で完全自動運転車「ロボタクシー」の商用化を始めるとしており、VW、テスラ、ダイムラー・ベンツがこの動きに追随すると考えられています。
気になるお値段ですが、自動運転配車サービスはある意味まだテスト段階にあることから、データの収集が重視され、採算は度外視される見通しです。したがって、ウーバーやリフトに対して競争力のある価格設定となることが見込まれています。
一方、日本では法整備が追い付いておらず、大きく出遅れることになりそうです。日本の法律では運転者がいないと公道を走れないからです。トヨタは2020年の東京五輪で自動運転車を選手の移動手段として使うと発表していますが、このように日本では選手村といった限られた地域での利用に限定されてしまうのが実情のようです。
このほか、東京では自動運転タクシーの実証実験も始まっていますが、運転手はいます。何もしなくても、そこに座っていなければなりません。安全面などで安心できるのかもしれませんが、ガラパゴス的な印象は拭えません。ちなみに、日本では自家用車で個人を乗せるサービス行為には規制があるため、ウーバーのような配車サービスは浸透できないという見方もあります。
いずれにしても、自動運転車やそのサービスの潜在的な市場規模は数百兆円とも言われており、まさに大競争時代の幕が切って落とされようとしています。ただ、日本では法整備の遅れが足かせとなり、出だしからつまずくことになる恐れもありそうです。
LIMO編集部