6. 【家計の状況】食費の割合を示す「エンゲル係数」とは？

先ほどの65歳以上の夫婦の家計簿にも登場した「エンゲル係数」。なぜ家計の状況を知る上で参考になるのか、改めて解説していきます。

エンゲル係数とは、家計の消費支出（いわゆる生活費）に占める食費の割合を示す指標のこと。計算式は非常にシンプルです。

エンゲル係数=食費÷消費支出×100(%)

例えば、ある月の消費支出が10万円で、そのうち食費が3万円だった場合、エンゲル係数は (3万円÷10万円)×100=30% となります。

一般的に、エンゲル係数が高いほど、家計に占める食費の割合が高く、生活水準が低い傾向にあります。これは、所得が低いほど、生活に必要な食費が支出全体に占める割合が大きくなるためです。

逆に、所得が高くなるにつれて、食費以外の教育費、娯楽費、交通費など、より多様な支出が増えるため、エンゲル係数は低くなる傾向があります。

ただし、年代や世帯構成によって食費の占める割合は自然と変わってくるため、注意が必要です。

例えば、子育て世帯では、成長期の子どものために食費がかさむ傾向があり、エンゲル係数が高くなることがあります。一方、高齢者の単身世帯では、食費の絶対額は少なくても、他の支出も抑えられている場合はエンゲル係数が高くなることもあります。

エンゲル係数が急に上昇した場合、食費が増えすぎているのか、あるいは他の支出を抑えざるを得ない状況になっているのかなど、支出について気にしてみましょう。

7. まとめにかえて

本記事では「健康寿命と平均寿命」の差や、70歳代の二人以上世帯を対象に「貯蓄」の平均・中央値を見ていきました。

また、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における「老後の生活費」の平均についても詳しく解説しました。

金融経済教育推進機構の調査によると、70歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額は1923万円、中央値は800万円となっています。

また、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における「老後の生活費」の平均を見てみると、ひと月の赤字は3万4058円です。

今後も物価高が続く場合、今の現役世代が老後の生活を迎える頃には、より生活費が必要になっている可能性もあります。

なお「健康寿命」は「平均寿命」よりも、男性は約8年、女性は約11年短くなっています。

そのため、予定していたよりも長く働き続けることが難しい状況になるケースもあるでしょう。

今のうちから老後の生活に備え、日々の生活費を把握したり、年金の見込額を確認したりするなどして、少しずつでも準備を進めていけるとよいですね。

参考資料

安達 さやか