5. 【老齢年金エイジ】国民年金・厚生年金「みんな平均いくらもらっている?」
国民年金・厚生年金ともに、現役時代の年金加入状況によって老後の年金額は人それぞれです。
厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、65歳以上の平均年金月額は、国民年金のみの受給権者は5万円台、厚生年金(国民年金部分を含む)の受給権者は14万円台~16万円台となりました。
5.1 【老齢年金世代】国民年金・厚生年金「平均月額と個人差」
なお、60歳~90歳以上の全受給権者の平均年金月額は、国民年金(老齢基礎年金)で5万7584円、厚生年金保険(国民年金部分を含む)で14万6429円です。
ただし国民年金のみを受け取る場合は男女ともに5万円台ですが、厚生年金を受け取る場合は男性16万円台、女性10万円台と差があります。
5.2 2025年度の公的年金は1.9%増額
公的年金は賃金や物価を考慮して、年度ごとに改定されます。2025年度の年金額は、次のとおり、前年度より1.9%引き上げとなりました。
- 国民年金(老齢基礎年金(満額)):6万9308円(1人分※1)
- 厚生年金:23万2784円(夫婦2人分※2)
※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万9108円(対前年度比+1300円)です。
※2 男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。
3年連続の引き上げですが、「マクロ経済スライド(※)」の発動により、物価上昇率を下回る改定率となっています。実質的には年金額は目減りしている、つまり、年金額は物価上昇に追い付けていないということです。
※マクロ経済スライドとは:「公的年金被保険者(年金保険料を払う現役世代の数)の変動」と「平均余命の伸び」に基づいて設定される「スライド調整率」を用いて、その分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から控除するしくみ
6. まとめにかえて
今回は65歳以上世帯の家計事情について詳しく見てきました。
総務省統計局の「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」の家計は、毎月の収入を支出の方が上回っており、ひと月3万円以上の赤字がでていました。
一概に65歳以上の全世帯が、毎月の収入より支出が上回る赤字家計とは言えませんが、やはり年金で生活を送るのは厳しそうです。
もちろん、老後も働き続けて収入を確保するという選択肢はあります。ただし、雇用先があるかどうか、健康面での不安が生じた場合はどうする?といった問題が生じる可能性もあるでしょう。
働いて収入を得るのが難しいとなると、貯蓄を取り崩して生活費にあてる必要がでてきます。
十分な貯蓄があれば問題ないかもしれませんが、総務省の調査によると、65歳以上の二人以上世帯で貯蓄額が100万円未満と回答した方の割合は全体の7.9%、500万円未満は21.9%、1000万円未満は37.4%です。
老後は介護や住宅の修繕費でまとまった支出が発生することもあります。
毎月3万円以上の赤字補てんをしながら、介護や住宅の修繕で数百万円のお金も必要となる可能性も考えて今のうちからしっかり老後に備える準備を始めましょう。