6. 【60歳以降も働くシニア向け】「在職老齢年金制度」に注意
60歳以降、年金を受給しながら働く際に注意しておきたいことの一つに「在職老齢年金」があります。
働きながら年金を受け取ることは可能ですが、「月収+年金」が一定額を超えると、下記のように超過分の年金額が半分に減額されるしくみです。
6.1 【2025年度】在職老齢年金による調整後の年金支給月額の計算式
基本月額と総報酬月額相当額との合計が51万円※以下の場合
- 全額支給
基本月額と総報酬月額相当額との合計が51万円※を超える場合
- 基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-51万円※)÷2
なお、在職老齢年金の上限額(支給停止調整開始額)も、賃金や物価を考慮して調整されるもので、2025年度は前年度より1万円引き上げられることが決まっています。
7. まとめにかえて
ここまで、老後の生活資金について詳しくみてきました。公的年金はここ3年連続で増額していますが、物価の高騰に年金額の上昇が追いついておらず、生活苦になっている高齢世帯も増えています。
老後に生活が困窮しないためにも、物価上昇を考慮して将来資金を用意することが大事になります。
銀行預金の金利は近年増加傾向にありますが、まだまだ物価の上昇率には追いついていない状況です。
NISAやiDeCoなどの税制優遇制度を活用して、中長期的な視点で将来資金を作ることも今後さらに求められていくでしょう。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」
- 総務省統計局「第3 家計調査の貯蓄・負債編の見方」
- 生命保険文化センター「2024(令和6)年度生命保険に関する全国実態調査」
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」
- 厚生労働省「令和5年就労条件総合調査概況」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」
入慶田本 朝飛