1. 年金から天引きされている「税金・社会保険料」は何がある?
高齢者が受け取る老齢年金は、税金や社会保険料の控除対象となるため、受給額と実際の手取り額には違いが生じます。
年金から天引きされる主な税金・社会保険料は、次の4項目です。
- 介護保険料
- 国民健康保険料または後期高齢者医療保険料
- 個人住民税および森林環境税
- 所得税および復興特別所得税
年に一度届く「年金振込通知書」には、上記の項目ごとの控除額が「特別徴収(控除)額」として記載されているため、一度目を通しておくとよいでしょう。
1.1 年金から天引きされている社会保険料:介護保険料
介護保険料は、40歳から64歳までは健康保険料に加算されて徴収されますが、65歳になると年金から直接差し引かれる仕組みに変わります。
また、介護保険料の支払いは、たとえ要介護・要支援の認定を受けた後でも、生涯にわたって継続されます。
1.2 年金から天引きされている社会保険料:国民健康保険料・後期高齢者医療保険料
国民健康保険に加入している場合、保険料は年金から自動的に差し引かれます。
さらに、75歳を迎えると後期高齢者医療制度へと移行し、後期高齢者医療保険料も同様に年金から控除されます。
この保険料は、全員が均等に負担する「均等割」と、前年の所得に応じた「所得割」の合算によって決まります。
1.3 年金から天引きされている税金:住民税および森林環境税
65歳以上で、年間の年金受給額が18万円を超える方は、住民税および森林環境税が年金から差し引かれます。
森林環境税は2024年度に新設されたもので、2024年10月以降、個人住民税とあわせて特別徴収の対象となります。
1.4 年金から天引きされている税金:所得税および復興特別所得税
公的年金は「雑所得」として扱われるため、一定額を超える年金を受け取っている場合には、所得税および復興特別所得税が源泉徴収されます。
これらの税金や社会保険料は、市区町村からの依頼により、年金から自動的に差し引かれる「特別徴収」という形で納付されます。
特別徴収の対象となるのは、65歳以上で年金受給額が年間18万円以上の方など、年金の種類や金額に応じた条件を満たす場合です。
一方で、介護保険料が年金から差し引かれない場合や、年金額が年間18万円未満の場合などは、「普通徴収」として個別に納付することになります。