はじめに

今の仕事が本当に自分のしたい仕事なのか、と疑問に思った経験がある人は多いのではないでしょうか。また、これから就職活動をしなくてはいけないのに、自分がしたい仕事が何であるのかが、今ひとつはっきりしていない人もたくさんいるでしょう。この記事では、自分のしたい仕事を探すためのポイントや、したい仕事を見つけたあとの働き方などについて、考えてみたいと思います。

目次

1. したい仕事が見つからないときに考えると良いこと
2. したい仕事を見つけるには
3. したい仕事ができないときの対策
4. したい仕事をエントリーシートに書くときのポイント
5. したい仕事をするために大切なこと
6. したい仕事と給料の関係をどう考えるか
7. したい仕事と向いている仕事は違う可能性もある

1. したい仕事が見つからないときに考えると良いこと

したい仕事が何かわからないまま就職活動に取り組み、内定をもらうのに成功している人は、意外に多いものです。

したい仕事が見つからなくても働くこと自体は可能といえます。企業側は、将来性がありそうな部分を見出すことができればポテンシャル採用をしますし、人手不足に悩む企業であれば、多少の適性不足ぐらいは目をつぶって採用する可能性も高いでしょう。

ただ、本人が自分のしたい仕事かどうかがよくわからないまま働くということは、多くの場合、モチベーションの低下につながります。当然、周囲より成長が遅れ、成果も上がらず、だんだんと仕事にやりがいを見出だせなくなります。こうなると、結局は、これは自分がしたい仕事ではなかったと後悔することになってしまうこともあるかもしれません。就職活動を始める際には、自分がしたい仕事についてじっくりと向き合うことが大切でしょう。

したい仕事が見つからないときには、「なぜ、自分にはしたい仕事を見つけられないのか。」という点について、原因を考えてみることもおすすめです。「やりたいと思った仕事はたくさん思いついたけれど、どれもこれだという決め手に欠けている。」「興味を持っている仕事はあるが、経験や知識などがないので挑戦するのが怖い。」等々、様々な理由を思いつくことと思いますが、まずは、したい仕事を見つけることを阻害している要因を取り除いてみる、または、したくない仕事から消去法で絞り込んでいくだけでも、やる前と後では、意識が変わっていると思いますので、是非実践をおすすめします。

2. したい仕事を見つけるには

「興味のある仕事がある」という人はまだよいのですが、なかには「どういう仕事があるのかがわからないので、したい仕事を見つけることができない」という人もいます。そんな人は、まずは世の中にどのような仕事があるのかを知る事から始めましょう。

例えば、転職サイトや求人サイトでは、実に幅広い業界、業種、職種の求人を閲覧することができます。サイトによっては、職種別の特集記事を載せているところもあり、募集要項の説明だけではわかりにくい仕事でも、どのような職務に従事するのかがイメージしやすくなっています。

世の中にある仕事の種類を調べたら、次は仕事とは関係なく、自分の好きなことと、苦手なことをリストアップしてみましょう。例えば「旅行が好き」「スイーツが好き」「大勢の人の中にいるのが苦手」「料理が苦手」といった具合です。

好きなことと苦手なことのリストアップが済んだら、次はそれを先ほど調べた仕事の種類とマッチングをしていきます。例えば「スイーツが好き」であれば、パティシエやスイーツ店の販売員、営業といった仕事をピックアップすることができます。しかし、「料理は苦手」であれば、パティシエは外したほうがよいということになります。「旅行が好き」ならツアーガイドや旅行のガイド本制作、旅行ライターなどの仕事がありますが「大勢の人の中にいるのが苦手」であれば、ツアーガイドは外した方がよい、ということになるでしょう。

このように、自分が好きなことや苦手な事をベースに仕事をチェックすることで合理的に適職や天職の候補を見つけ出すことができます。

ある程度絞り込むことができたら、再び転職サイトで該当する求人情報を見直してみると、また違った角度の情報が見えてくるでしょう。「興味はあるけれど未経験だし…」と躊躇している場合は、未経験者でもOKな企業を探し、まずは一度経験してみるのも良いのではないでしょうか。チャレンジしてみなければ、合っているかどうかはいつまでも分からないままですよ。

3. したい仕事ができないときの対策

現在の職場に不満があると、多くの人は「この会社では、したい仕事ができない」と考えがちです。行動的な人ならば、転職活動を始めてしまうかもしれません。しかし、本当に会社を変えないと「したい仕事ができない」状況なのでしょうか。

例えば「本の編集がしたいのに、現在はデパートに勤務している。」など、全くの畑違いの会社に勤務してしまっている状況ならば話は別ですが、同じ会社に、したい仕事ができる部署がある、もしくは同僚が担当している仕事がしたい、というのであれば、努力次第ではその状況から脱却できる可能性もあります。というのも、会社側が個々の社員の能力や実績などを考慮した結果、自分にはその仕事を与えてもらえないだけという状況に陥っていることが、往々にしてあるからです。

社内にいる人の仕事のなかに、したい仕事があるのであれば、まずはその職務についている人と自分の違いについて考えてみましょう。取得しているスキルや資格の不足であれば、社会人向けのスクールや通信教育を活用してスキルアップをすることで、したい仕事に近づくことができるかもしれません。何となくではなく、しっかりアピールすることも大切です。

ただ、単純にスキルの不足が原因ではない、会社側もはっきりと自分の希望を理解しているのに、ということであれば、そのときは思い切って転職をするというのも賢明な判断かもしれません。転職先で、確実に好きな事をやれるようにと考え始めると、目線が社内だけでなく、社外も含めて広く持つことができるようになります。それが今の仕事にも良い影響をもたらすこともありますので、まずは行動してみるのはどうでしょうか。

4. したい仕事をエントリーシートに書くときのポイント

「したい仕事を求めて、転職をしよう」という結論に達したときには、求人を探して応募をすることになります。履歴書や職務経歴書を提出させるところもありますが、近年では、エントリーシートとよばれる、独自のフォーマットの応募書類を用意している企業が数多くあります。エントリーシートには、「入社後にやりたいこと」を書く欄が設けられていることがほとんどですから、ここに「自分のしたい仕事」について記述しましょう。

ただし、エントリーシートに「自分のしたい仕事」を書くときには、コツがあります。以下の良い例、悪い例を参考に、自分なりの記述をしてみるとよいでしょう。ポイントは、ぼんやりとした将来像ではなく、企業の成長や事業の発展のために、「具体的に自分に何ができるのか」「どの職務で貢献したいのか」を具体的に伝えることです

良い例)
  • 〇〇の経験を生かして御社のマーケティング部署で働き、売上の向上に貢献していきたいと思います。
  • 多様な職種を経験できる御社で見識を深め、マネジメント経験を組み合わせていくことでリーダーとして牽引できるように努力したいと考えています。
悪い例)
  • 業界で活躍できる人材になりたい。
  • 御社で働くことで社会貢献をしていきたい。
  • 入社後にスキルアップをしてマネジメント職として働けるようになりたい。

5. したい仕事をするために大切なこと

したい仕事ができているという人は、自分がしている仕事に対して、「どんなところが魅力か」「自分が興味を持っているのはどこか。」など、非常にポジティブな捉え方をしていることが多いものです。また、仕事についての悩みがあれば、知人や同僚、上司に相談して改善する方法についてのアドバイスをもらうなど、周囲に対する働きかけも積極的に行っています。

逆にいえば、自分が今行っている仕事をポジティブにとらえ、「どのようにしたら、もっと効率よくできるのか。」「もっと業績をあげるには、どうしたらよいのか。」といった点について、周囲に自分の意見を伝え、同時に積極的に意見を求めるようにしていくことで、自然に今の仕事にやりがいを見出していくことができる可能性があるということになります。つまり、今やっている仕事が、自分のなかで「したい仕事」に変化するかもしれないということなのです。

なお、そうしてみても、今やっている仕事が「したい仕事とは別」という結論になるのであれば、いろんな仕事を調べる上で、少しでも興味を持った仕事についてさらに詳しく調べてみるとよいでしょう。理想的なのは、実際にその仕事で働いている人から話を聞き、その仕事にどのような魅力があるのかを教えてもらうことです。その仕事の魅力を聞いて、したい仕事だと認識できれば、これこそが適職と考えられるようになるかもしれません。

つまり、仕事の良い面を捉えることは、したい仕事をすることができるようになるのに重要なポイントといえるのです。

6. したい仕事と給料の関係をどう考えるか

基本的に人は生計を立てるために仕事をしています。このため、したい仕事をするために転職先を探すときは、収入面についても合わせて考える必要があります。そのためには、したい仕事と給料、どちらを優先するべきかを、しっかりと考えておきましょう。

したい仕事が、キャリアを十分に積んでいる職種であれば、今よりも収入アップを望むことができます。しかし、全体的な傾向としては、したい仕事のための転職は、収入が下がってしまう傾向にあるといわざるをえません。どこまでのダウンであれば許容できるかの線引きをしたうえで、転職に踏み切るか否かを決定することをおすすめします。

ライスワーク(生計を立てるための仕事)、ライフワーク(人生をかけてやりたい好きな仕事)のように、2つの仕事を両立する方も増えているようです。家族がいる方には、家族の理解を得る努力もしたうえで、したい仕事をどのくらい優先するかを考えるのも大切でしょう。

7. したい仕事と向いている仕事は違う可能性もある

これまで、したい仕事を探すという点について話をしてきましたが、誰しも、仕事の好き嫌い以前に向いている仕事というものがあります。したい仕事と向いている仕事が一致している人はよいのですが、そうではない場合、仕事の選択において、どちらを優先するのかという決断をすることになります。

向いている仕事を選択した場合、自分の能力をうまく発揮できるため、成果が上がりやすく、高い評価を受けやすいというメリットがあります。高く評価されれば、それだけモチベーションもあがりますから、仕事は取り組みやすいといえるでしょう。ただ、本当にその仕事をしていて楽しいかというと、そうとも限りません。

一方で、したい仕事は、たとえ適性がなく、苦労を強いられる可能性はあったとしても、仕事に取り組むこと自体に楽しみを見出すことができるので、それはそれでモチベーションを保ちやすいというメリットがあります。

どちらを選ぶか、またしたい仕事と好きな仕事を両立するかは、ケースバイケースですが、したい仕事を考えるときは、自分に向いている仕事についても正しく把握しておいたほうがよいでしょう。なお、向いている仕事が分からないという場合は、転職エージェントなどが行っている適職診断を受けてみるという手もあります。これを機会に、自分の性格や能力を棚卸して、自分を見つめ直してみるというのもよい方法かもしれません。

おわりに

したい仕事ができていないと感じている人は、まず、したい仕事が今の会社でもできることなのか、という点について考えてみましょう。今の会社では実現が難しいということであれば、転職を考えることになります。ただ、転職先を探すときは、仕事の内容を優先するか、給料面を優先するかについての線引きはきちんとしておきましょう。また、したい仕事と、自分に本当に向いている仕事が一致しているかという点も重要です。したい仕事と向いている仕事が違う、ということであれば、どちらを優先するのかということも、しっかりと検討しておきましょう。そのためには、自分の仕事の適性について、把握しておくことも忘れてはいけません。

LIMO編集部