3. 65歳以上のおひとりさまの生活費はいくら?
総務省統計局が公表している「家計調査報告 家計収支 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上のおひとりさま世帯の毎月の支出額は平均14万5430円です。
ここで、前章で解説した国民年金と厚生年金の平均受給額と、生活費の平均額14万5430円を比べてみましょう。
年金だけで生活費をカバーできるのは、厚生年金を受給している男性(平均16万6606円)のみで、他の方は赤字になる可能性が高いと考えられます。厚生年金を受給している女性(平均10万7200円)は約3万8000円の赤字、国民年金のみを受給している方は8万5000円〜9万円ほどの赤字となる計算です。
厚生年金を受給している女性や国民年金のみの受給となる方は、公的年金以外の方法で老後資金を準備しておく必要性が高いといえます。
4. まとめにかえて
60歳代のおひとりさまの貯蓄額は、平均値が1679万円ですが、実際の感覚に近い中央値は350万円となっています。貯蓄なしの世帯が27.7%と最も多くなっており、老後生活に十分な貯蓄額が用意できていない世帯が多いことがわかります。
公的年金だけでは老後生活をカバーすることは難しいケースが多いため、現役時代のうちから早めに資金を貯蓄に取り組んでおくことが大切です。NISAやiDeCoといった税制優遇措置のある資産運用方法もあるため、自分に合ったものを探し取り組んでみてはいかがでしょうか。
参考資料
- J-FREC 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支 2023年(令和5年)平均結果の概要」
木内 菜穂子