2. 毎月20万円の年金収入がある人は、多数派?少数派?

次に、年金の月額が20万円という人が、どの程度いるのかを確認してみましょう。

月20万円台(20万円以上21万円未満)の年金を受給している人は80万1770人であり、老齢基礎年金・老齢厚生年金の受給権者合計のうち、わずか約2%ほどです。

また、老齢厚生年金を月額20万円以上受給している割合は16.3%となっています。

つまり、月20万円の年金を受給している人は、年金受給者の中でもごく一部の「高額受給者」と言えることがわかります。

平均受給額とも比較をしてみましょう。先ほどの統計によると、老齢年金の平均受給額は男女合わせて約14万6千円です。中央値も14万円台であることを考えると、月20万円の年金受給額は平均よりも5万円以上高く、かなり高水準であることがわかります。

では、どのようにすれば月20万円もの年金を受給できるのでしょうか? 年金の仕組みと、受給額を決める要素について詳しく見ていきましょう。

2.1 老齢年金の決定方法

老齢年金には、国民年金の納付期間によって決定する老齢基礎年金と、厚生年金保険料の納付額に応じて決定する老齢厚生年金の2種類があります。

1.老齢基礎年金

老齢基礎年金は、国民年金保険料の納付済月数や免除期間を元に算定されます。

20歳から60歳になるまでの40年間の保険料を納めることで、満額の老齢基礎年金を受け取ることができます。

未納付期間や免除期間がある場合、その月数によって満額の年金額から一定の金額が控除されます。

2.老齢厚生年金

老齢厚生年金は、厚生年金の加入期間と加入中の報酬額によって計算されます。

具体的には、被保険者期間全体の月額報酬と賞与額から、平均の月額報酬を算定した上で、一定の率と加入月数を乗じた金額となります。

老齢厚生年金

老齢厚生年金

出所:日本年金機構「報酬比例部分」

計算の基礎となる厚生年金の加入期間と加入中の報酬によって、受給できる年金額も大きく異なります。

2.2 月額20万円を受給するための働き方

月20万円の年金を受給するためには、満額の老齢基礎年金に加えて、月額約15万8千円の老齢厚生年金を受給している必要があります。

厚生年金の計算式から逆算すると、仮に40年間厚生年金に加入していた場合、月額20万円の年金を受給するためには、平均標準報酬月額が約60万円程度必要になります。

現在の厚生年金保険の標準報酬月額の上限が65万円であるため、これは一定期間だけ高額の報酬があれば良いわけではありません。長期間にわたって高い報酬額を維持し続ける必要があるのです。

2.3 年金額の増額方法

今回は、仮に40年間の加入期間で、65歳から年金を受け取った場合の計算をしましたが、年金額は以下のように働き方や受け取り方を変えることで増額することも可能です。

  1. 加入期間を伸ばす
    社会保険の加入期間を伸ばして働き続けることで、納付する保険料が増えるため、結果的に受け取れる年金額も増額されます。
  2. 年金の受給開始年齢を繰り下げる
    現在の日本では、原則として65歳から年金の受給が開始となります。しかし、この開始年齢は希望により遅らせることができ、年齢を1ヶ月繰り下げるごとに0.7%の年金額が増額されます。

3. まとめにかえて

日本の老齢年金制度は、老後の生活を支える重要な基盤となっています。

月額20万円の受給者はかなりの高額受給者ですが、それでも現役時代の収入とは大きく異なります。現役世代のうちに将来の年金受給額を予測し、そのギャップを埋めるための生活設計を立てることが重要です。

年金制度を正しく理解し、積極的に老後について考えることが、豊かなセカンドライフを送るための第一歩となるでしょう。

参考資料

斎藤 彩菜