はじめに
ビジネスの場において、電話のかけ方、受け方の基礎知識とマナーは必ず必要になる知識のひとつです。受け答えの言葉ひとつで相手へ与える印象が左右されることもありますが、自分では上手く対応できているつもりでも、思わぬマナー違反があるかもしれません。
特に新卒者やまだ若いビジネスパーソンの場合は、知らない言葉やマナーも多いかもしれませんが、ビジネスの場においては知らなかったでは済まされない場面もあります。
この記事では基本的な電話のかけ方、受け方、マナーを学んだうえで電話対応力をワンランクアップさせるテクニックについて解説します。
目次
1. 電話応対をする前の準備
2. 仕事の電話で「もしもし」は厳禁。意外に知らないマナー違反
3. 電話をかけるときのマナー
4. 電話を受ける時のマナー
5. クレーム電話を受ける時に知っておきたいマナーとハウツー
6. 電話で好印象を与えるためのマナーとテクニック
7. 電話とメールを併用するときのマナー
1. 電話応対をする前の準備
スムーズな電話応対をするための事前の準備をしておきましょう。
慣れていないうちは突然の電話に慌ててしまうこともありますので、普段から準備をしっかりしておくことで、落ち着いて対応できるようにしておきましょう。
電話対応に必要な道具を揃えておこう
まず、電話の隣に予めメモと筆記用具を準備しておきましょう。 電話がかかって来てからメモを探していると、スムーズに応対することができません。特に電話に不慣れなうちはメモと筆記具の場所を決めておき、必要に応じてさっと使えるようにしておくと安心です。
声のトーンに気を付けよう
電話を取るときの声のトーンにも気を配っておく必要があります。電話の相手は、こちらがたとえ新人であっても実際に話している相手を会社の代表だと判断します。「自分は会社の代表として電話に出ているのだ」と意識し、責任感を持つことが大切です。
また、電話に不慣れだと、きちんと対応できているか不安になって声が低く小さくなりがちですが、意識的に明るい声をだすように心がけましょう。
電話に慣れるためには電話で話す回数をこなす必要がありますので、積極的に電話を取ることを心がけましょう。最初は失敗するかもしれませんが、短いコールで電話に出ることは相手へのマナーにもなりますし、社内の同僚や先輩にやる気をアピールすることにもなります。
2. 仕事の電話で「もしもし」は厳禁。意外に知らないマナー違反
日常生活では問題ない言い回しでも、ビジネスの場面では不相応だという言葉遣いがあります。事前にしっかり把握しておき、つい使ってしまわないように注意する必要があるでしょう。
「もしもし」
日常生活で電話に出るとき「もしもし」という言葉を使っている人も多いと思います。しかしビジネスの場では、「もしもし」という言葉はマナー違反だとされています。
「もしもし」という言葉は「申す」から来ています。昔電話で話す際、話し始める時の合図として「申します、申します」と言っていたのが崩れて現在の形に落ち着いたというのが語源です。
しかし「もしもし」は若者の間で使われていた流行語で非常に砕けたイメージがあるため、ビジネスの場には相応しくないとされているのです。「お世話になっております」「お忙しいところ失礼します」など、他の言葉で代用するようにしましょう。
「そうですね」
相手の言うことに対して「そうなんですね」や「そうです」と相槌を打つこともカジュアルすぎる印象を与えてしまうため、ビジネスの場ではあまり使わないほうが良いでしょう。「さようでございます」や「おっしゃる通りでございます」などの言い回しを使うようにしましょう。
また丁寧な言い方をしようとしてかえってマナー違反になってしまうことも珍しくありません。多いのが「確認させていただきます」や「ご連絡させていただきます」といった「~させていただきます」という言い回しですが、この場合は「~いたします」を使用した方が聞こえがよく、相手にも分かりやすくなります。
3. 電話をかけるときのマナー
電話をかける側が守るべきマナーを確認しておきましょう。
電話をする時間帯
まず気を付けたいのが電話をかける時間帯です。朝一番は朝礼や伝達事項報告などで忙しい時間帯のため、大体の場合は迷惑になると心得ておきましょう。同じ理由で就業間際の電話もマナー違反となりますので、これらの時間帯は、やむを得ない緊急時を除いて避けるようにしましょう。
また、お昼の直前や直後も休憩時間の邪魔をしてしまい迷惑になるので、前後30分は電話をかけないように気を付けましょう。
電話がつながったら
電話がつながったら、まず自分の社名と名前を名乗ります。その上で相手がいるかどうか確認し、電話を繋いでもらいましょう。相手が電話に出たら、もう一度社名と名前を名乗ります。いきなり用件を話し始めるのではなく、何のために電話をしたのかの目的を簡潔に伝えると親切です。
電話が長くなりそうなときは、「〇分ほどよろしいでしょうか」など相手の都合を尋ねる配慮を忘れないようにしましょう。
相手が不在だった時は
相手が不在だったときは、こちらからかけ直すと伝えるのが一般的です。何時ごろに戻るかを聞いておき、改めて電話する旨を伝えておきましょう。
電話を切るときは
電話を切るときは、基本的にはかけた方から切るのがマナーです。しかし相手が上司や目上の人、またはお客様の場合は、こちらがかけたとしても相手が電話を切るのを待ちましょう。先に切ってしまうと早く話を切り上げたいのでは?という印象を与え、失礼な振る舞いだと思われてしまうかもしれません。
さらに電話を切る時は雑に扱わず、静かに受話器を置きましょう。フックを押してから受話器を置くようにするとより丁寧な切り方になります。
4. 電話を受ける時のマナー
電話がかかってきたときのマナーについても確認しておきましょう。
3コール以内に受話器をとる
電話がかかってきたら、3コール以内に取ることを心がけましょう。3コールは相手に「待たされた」と感じさせない長さになるからです。もしも3コール以上待たせてしまった場合は、「大変お待たせいたしました」などの言葉を添えるようにすると丁寧です。
先方の社名と名前を確認
電話に出たら先に先方が名乗るので、ミスを防ぐために必ず確認のため社名と名前を復唱するようにしましょう。もしも先方が名乗らないときは、自分がまず名乗ってから名前を伺うようにします。
相手の声が聞き取り辛く、聞き取れなかった場合は名前を間違ってしまうのは先方への失礼になりますし、担当者へスムーズにつなげなくなってしまうので曖昧なままにせず、すぐに聞き直しましょう。このとき、相手の声が小さく手聞き取れなかったとしても、「お声が小さいので」など、相手を責めるような言い方は避け、「お電話が遠いようなので」という言い方を選びましょう。
担当者への取り次ぎ
取り次ぎは、例え担当者が近くにいる場合でも一旦保留にしてから行います。
また取り次ぐ相手が不在の場合は、先方に不在であることを伝え、その上で折り返しの必要があるかを確認しましょう。折り返しが必要であれば、相手の連絡先と都合のいい時間を確認しておきましょう。この時可能であれば「私が伝言を承ります」と言って、電話内容の概要を聞いておけば親切でしょう。
5. クレーム電話を受ける時に知っておきたいマナーとハウツー
クレーム電話は対応が非常に難しい電話です。クレームを入れてくる相手は程度は違えど怒っているので、火に油を注がないように、しっかりとしたマナーで対応をすることが求められます。
クレーム電話を受けた時に担当者が不在の場合は、折り返していいか確認を取ります。許可をもらったら、相手の氏名と連絡先、都合のいい時間帯と大体のクレーム内容を聞いてメモを取っておきましょう。
もし確認を取る前に相手が話し始めてしまった場合は、遮らずに相手の話を聞きましょう。相手が一通り話し終えてから担当者が不在であること、担当者に今聞いたことを伝えることを伝え、氏名と連絡先、都合のいい時間帯を聞いて電話を切ります。このときに聞いたクレーム内容は、聞いたとおり正確に担当者に伝えましょう。正確に伝えておかないと、更に大きなクレームに発展してしまう可能性があるためです。
相手が最初からとても怒っていて頭に血が上っている状態の場合は、怒りを鎮めてからでないと上手く会話ができないことがあります。相手をトーンダウンさせるためには、電話を上司や担当者に代わってもらうか、折り返しにして時間を変えるなどの対応をしてみましょう。
6. 電話で好印象を与えるためのマナーとテクニック
相手に電話で好印象を与えるためには、どのようなことに気を付ければいいのでしょうか。
明るい声で話す
電話でのコミュニケーションは、対面と違って表情が見えません。つまり声が持っている情報だけで相手のことを判断することになります。はきはきとした明るい声が相手に好印象を与える一方、暗いぼそぼそとした喋り方はやる気がないと思われてしまう原因になります。
姿勢を正す
電話をする姿勢は電話の相手には見えませんが、意外にも声に大きく影響します。うつむいて話すと声は篭って聞こえますが、背筋を伸ばすとはっきりした声を出すことができるようになるのです。更に肩の力を抜いて顎を引くようにするとより効果的です。
声のトーンを上げる
声のトーンを上げることも、相手に好印象を与えることに繋がりますので、まずは口角を上げて話すよう心がけてみましょう。
口角が上ると声がよく反響するようになり、声の響きが良くなる上に口角が上ると自然と笑顔になるため、声の印象も明るくすることができるのです。
滑舌よく話す
滑舌のいいハキハキとした話し方は、声が聞き取りやすくなり、話の内容を理解しやすくなるので有効です。ハキハキ喋ることを意識している時は必要以上に早口になることを避け、相手に威圧感を与えることなく、落ち着いて会話をするように気をつけましょう。
7. 電話とメールを併用するときのマナー
現代のビジネスでは、電話だけに頼りきりになるのではなく、メールも併用していくことが求められます。単にメールを電話の代わりにするのではなく、それぞれの特徴を意識して使い分けていくことが重要です。
まず、緊急性のある用件は電話を使うようにします。メールは非常に便利なツールですが、相手がすぐ開封するとは限らないため即時性という点では劣ります。その点電話であれば、連絡した段階で相手がこちらの用件を確実に受け取ったことを確認することができます。
重要かつ複雑な用件は、電話とメールを併用するといいでしょう。メールを使った上で電話で確認を取れば、送信したつもりが何らかのトラブルで届いていなかった、という事態を避けることができ、内容に誤解があれば修正することも可能です。
またメールはやり取りが残るツールなので、複雑な用件を見直したいときも便利です。
おわりに
会社での電話対応は、その会社がどんな会社か?しっかりした会社なのか?の判断基準になる事もあるので質の高い対応能力が求められます。
まずは電話対応の最低限のマナーを覚えておき、電話に対する不安を減らしましょう。新人や新卒者であれば慣れないうちは苦手意識をもってしまうかもしれませんが、数を重ねるうちに適切な言葉遣いがさらっと出るようになり、臨機応変に正しい対応をする能力がついてきます。
新人や新卒者でない場合でも、知っていて当たり前なビジネスマナーを知る機会がなく、知らないことがあるかもしれません。ビジネスパーソンのマナーの基本として、電話マナーを今一度おさらいしてみるのも良いでしょう。
LIMO編集部