はじめに

ビジネスパーソンの評価はどのようにして決まり、そしてそれが、出世にとどのように関係してくるのでしょうか?失敗が多くても、周囲の評価が高く、多くの信頼を得ている人もいますし、さほど失敗はないように見えるのに、そこそこの役職にとどまったまま定年を迎えてしまう人もいます。この記事では、ビジネスパーソンとしての評価はどのようになされているか、またそれが出世とどのような関係があるのかという点について説明します。

目次

1. ビジネスパーソンにとっての評価とは
2. 評価は出世するために必要?
3. ビジネスパーソンの評価はどのようにつけられるのか?
4. ビジネスパーソンの評価を上げる行動とは
5. ビジネスパーソンの評価を下げる行動とは
6. 評価の高い人の特徴とは?
7. 評価が下がってしまった時はどうする?

1. ビジネスパーソンにとっての評価とは

学生時代における評価は、テストの点数や学習態度など、誰が見てもはっきりと分かりやすい視点で行われています。すべての評価は数値化されており、たとえテストの点が低くても、個性や努力といった項目の点数を高くとり、総合的によい点数をとることができれば、高い評価を得ることができるようになっています。

しかし、ビジネスパーソンの評価は非常に多岐の項目にわたっていることも多く、中には自分の努力だけではどうにもならない項目も含まれています。例えば「仕事の成果」もビジネスパーソンの評価のひとつとなりますが、これは学業のように自分だけが努力をすれば結果が出るというようなものではなく、社会を取り巻く状況や人間関係、与えられた業務の内容やチームメンバーの状態などをコントロールせねばならず、場合によっては自分の努力だけではどうにもならない要因に影響されることもあります。

また、ビジネスパーソンの評価では、仕事に対する意欲や勤務態度、失敗をした時の対応の仕方など、といったものも対象となります。一緒に仕事をする人がどのように感じているかという、一見曖昧のようにも思われる項目も含まれていますが、これは、ただ仕事で成果を上げれば、ビジネスパーソンとして高く評価されるという単純なものではないことを表しています。

2. 評価は出世するために必要?

学生時代は、高い評価を得れば得るほど、よいクラスに入ることができ、より高い学校を目指すことができていました。しかし、ビジネスパーソンになると、高い評価がそのまま高い地位への出世につながるというわけではありません。

多くの会社では、社内評価制度というものが用意されており、その評価が高ければある程度の役職まで昇進することができるようになっています。しかし、学生時代とは違い、ビジネスパーソンは上にいけばいくほど、多くの部下を任されることになります。つまり、自分自身で結果を出すことができていたプレーヤーの立場から、部下に指示を与えて結果を出させるという、いわゆる監督の立場へ変わっていくことも多くあります。この場合、いくら自分のプレーヤーとしての評価が高くても、チームのメンバーが結果を出さなければ、監督責任を問われて、最終的なビジネスパーソンとしての評価は落ちてしまうことになります。

ただ、裏を返せば、これはチームが結果をだしさえすれば、特に自分が何をしていなくても、ビジネスパーソンとしての評価は比例して上がり、自分自身のステップアップにつながるということでもあります。この理由は、マネージャーとして求められる能力=チームの成果を上げられるかどうか、という視点から評価されているためだといえるでしょう。

3. ビジネスパーソンの評価はどのようにつけられるのか?

ビジネスパーソンの評価は以下の3つの項目によって総合的に判断されます。

業績考課

一定期間の目標達成度や目標に至る過程を指します。目標達成度は数値として表すことができるので容易に判断することができますが、目標に至る過程については、客観的に判断しづらいという部分があります。とはいえ、少しでも目標に近づくよう、努力をすることは大切です。

能力考課

職務を通して身につけた能力を指します。難易度の高い仕事の達成度や、緊急時や突発時の対応の方法・結果が判断のポイントとなります。このため誰でも簡単に達成できるような仕事でたくさん成果を出していても高い評価にはつながりません。

情意考課

勤務態度や職務に対する意欲を指します。意欲のある人は、多くの場合、必ず行動となって現れます。遅刻や早退などの勤怠はもちろん、職場のモラルに対する規律性や協調性など、働いている時の態度が評価されます。

これらは企業が採用している減点式の評価の一例です。どれか1つでも欠けていると、職務態度に問題ありというマイナス評価につながってしまう可能性があります。

4. ビジネスパーソンの評価を上げる行動とは

ビジネスパーソンの評価を上げる代表的な行動として、次のようなものがあります。

すぐに行動すること

仕事を依頼されたら、すぐに取り掛かりましょう。他の作業との兼ね合いがあるときは、優先順位を確認していつまでにできるかの目安を上司に提示するだけでもOKです。すぐに行動することで、責任感のある人という印象を与えるだけでなく、余裕を持って仕事をすることができます。

積極的に提案や発言をすること

積極的に発言することで、周囲の人に意欲的な人という印象を与えることができます。逆にあまり発言をしないでいると、やる気のない印象を与えてしまう可能性があります。

上司とのよい関係を築く

企業内においてビジネスパーソンの評価は、人事を管理する部署に集約されますが、それでも直接的な評価を行うのは、多くの場合は直属の上司になります。いくら公平に判断しなくてはいけないとはいっても上司も人間ですから、悪い印象を持っている部下には、そうそう良い評価を与えるということはできません。直属の上司とは、普段から積極的にコミュニケーションを取り、よい関係を築いておきましょう。なお、ここで注意しておきたいのは、「上司とのよい関係」イコール「上司に媚びる」ということではなく、仕事をするうえで、お互いを信頼できる関係になるということです。

5. ビジネスパーソンの評価を下げる行動とは

一方、ビジネスパーソンの評価を下げる代表的な行動としては、次のようなものがあげられます。

同じことを何度も繰り返し質問する

日常生活の中では、一度聞いただけでは忘れてしまう、ということはよくありますが、ビジネスの世界では、それは通用しません。というのも、ビジネスパーソンは皆忙しく、何かを教えるときは自分の仕事の合間を縫って教えているということが多いため、何度も同じことを説明している余裕はないからです。

  • その場でメモを取る
  • 不明点があれば、できるだけその場もしくは早いうちに質問して解決しておく
  • 忘れないうちに、教えてもらったことをおさらいしておく

などの工夫をし、できるだけ教えてもらったことは、1回で覚えるように心がけましょう。何度も同じことを聞いてしまうと、仕事を覚える意思のない人と判断されてしまうこともあります。

失敗した時に言い訳ばかりする

失敗した時に自分が悪いと認めることは、とても勇気のいる行動です。ついつい自分は悪くないということを証明するために、いろいろな言い訳をしてしまいがちですが、ビジネスの世界においては、それは逆に悪印象につながります。できない言い訳ばかりをしていると、最悪の場合、信用を失うことにもなりかねません。失敗した時は、潔くそれを認め、まずはきちんと謝罪をしましょう。その上で、同じ失敗を繰り返さないようにしていけばよいのです。

報連相を怠る

仕事が行き詰ったときに、自分で解決してから上司に報告しようとする人がいますが、これはビジネスパーソンとしてはNG行動となります。悪い報告はしたくないという気持ちはわかりますが、自分で解決をしようと考えている間に、思わぬ方向に事態が悪化する可能性もあります。行き詰った最初の段階であれば簡単に解決ができたのに・・・ということにでもなれば、周囲の評価は確実に下がります。状況が良くも悪くも、上司への報告は怠らないようにしておきましょう。

6. 評価の高い人の特徴とは?

では、ビジネスパーソンとしての評価が高い人には、どのような特徴があるのでしょうか?

さりげなく気づかいができる

評価が高いビジネスパーソンは、さりげない気遣いができる人でもあることが多いといえます。例えば、上司に書類のコピーを頼まれたとき、大多数の人は頼まれた部数をコピーするだけですが、さりげない気遣いができる人は、コピーを頼まれた段階で、その書類を何に使うのを確認します。会議に使うということであれば、冊子にして会議室に持っていきますし、報告書に添付するということであれば、その報告書とともに提出できる状態にしておきます。なお、さりげない気遣いをするためには、常に周囲に気を配り、目の前にいる相手が何を求めているのかを先読みすることが必要となります。まずは、周囲をよく見渡すことが、評価の高いビジネスパーソンへの一歩ということができるでしょう。

報告が簡潔でまとまっている

上司への報告を行う際、結論を先に言ってから、そのあとで過程を簡潔にわかりやすく説明できる人は、ビジネスパーソンとしての評価が高いことが多いといえます。上司は自分の業務をこなしつつ、限られた時間の中で、複数の部下の報告を次々に受けねばなりません。報告を簡潔にわかりやすくまとめてくれる部下は非常にありがたい存在といえるでしょう。

7. 評価が下がってしまった時はどうする?

仕事をしていると、思うように結果が出せなかったときや失敗をしてしまったときなど、ビジネスパーソンとしての評価が一時的に下がってしまうこともあります。昇給・賞与や出世への影響を考えると、どうしてもモチベーションが下がってしまいがちですが、この時の対応いかんによっては、逆によい評価をもらうことも可能なのです。

たとえば、お客様からのクレームを受けてしまった場合、誠心誠意対応することで、逆にお客様の信頼を得ることができたという事例があります。また、狙っていた企業との契約交渉に失敗したけれども、その時に行ったマーケットリサーチの結果を、別の企業との交渉に活かしたことで、新たなビジネスチャンスをつかむことができたという事例もあります。

失敗をしたから、うまくいかなかったからと、ビジネスパーソンとして上を目指すことをあきらめてしまうのではなく、最後まであきらめずに対応しようとする姿勢が、逆に高い評価を得るきっかけになることもあります。ビジネスパーソンとして高い評価を得たいと願うのであれば、あきらめずに仕事に取り組むという姿勢も、欠かせないものなのかもしれません。

おわりに

学生とは異なり、ビジネスパーソンの評価は様々な要素から総合的に判断されるものとなります。このため、ただ仕事ができるだけでは高い評価を得ることはできませんが、小さな気遣いや失敗をした時の的確な対応の積み重ねが、最終的な評価につながることもあります。真摯かつ意欲的な態度で仕事に臨んでいくことこそが、高い評価への着実なステップといえるのではないでしょうか。

LIMO編集部