はじめに

営業力の高いビジネスパーソンには、様々な共通点が存在します。会社によって営業に伴うリスクやコスト、そしてそれによって返ってくるリターンは大きく異なります。それにも関わらず、そういった人々は、はっきりと目に見える結果を出すことができます。こうした高いスキルを持った人材の共通点を理解することで、自らの営業力を高めるヒントを得ることができるかもしれません。

目次

1. ビジネスパーソンの営業力とはなにか?
2. 営業力が高い人の共通点とは?
3. 営業力が低い人の共通点とは?
4. 営業力がある人は才能があるから?
5. 営業力を高めるためにまずやること
6. 営業力を高める話し方とは
7. 営業力を高めるために本、セミナーを利用しよう


1. ビジネスパーソンの営業力とはなにか?

ビジネスパーソンにとっての営業力と聞くと、単純に、商談の席において、より多くの契約や売上に結びつけるコミュニケーション能力と考える人が多いようです。しかし、営業力が高いと評価されている人たちは、本当に商談の席に赴き、商品やサービスについての説明を上手にするだけで、契約を取り付けることができているのでしょうか。

一般的に、営業力とは、以下の能力を総合的に身につけることで得ることができるといわれています。

理解力

営業活動において、お客様との話の中からニーズを汲み取るということはとても大切です。このため、お客様の話をよく聞き理解するという力は営業をするには必要不可欠なものです。また、ニーズを聞き取った後も、売り込みたい商品やサービスについての知識が十分にないと、お客様にその魅力を説明することができません。営業をする際は、自社の商品やサービスについて、正しく理解する力も求められるということになります。

企画力

営業をする過程において、自社の商品やサービスをそのまま提供したのでは、お客様のニーズに100%応えることができないという時もあります。そういうときは、自社の複数の商品やサービスを組み合わせる、他の企業の商品やサービスとのコラボという形での提案をすることも必要となります。そのような企画をまとめあげ、プレゼンをするという能力も、営業にとっては必要とされる能力といえます。

説得力

お客様に商品やサービスを提案するときには、企業側が妥協をしなくてはいけない点と、お客様に妥協をしていただかなくてはいけない点がでてくることがあります。営業活動においては、このような場合に双方を納得させるだけの説得力が必要とされます。

2. 営業力が高い人の共通点とは?

営業力の高い人には、次のような特徴があるといわれています。

お客様の話に耳を傾けることができる

営業力の高い人は、自社の製品やサービスをただただ売り込むといったことはしません。まずは、お客様の話に耳を傾け、お客様がどのような商品やサービスを必要としているかを聞き出すところから始めます。そして、お客様のニーズを聞き出したところで、お客様が一番必要としている商品やサービスを提案するのです。

説明が分かりやすい

営業力の高い人は、自社の製品やサービス、他社製品との違いについて、平易な言葉で、分かりやすく説明することができます。

お客様に決断していただく

営業力の高い人は、購入を迷っているお客様に対して、強引に押し切って契約をとるということはしません。お客様が自分で納得し、自分の意思で購入するということは、商品やサービスの満足度をあげるためには、非常に大切なことだからです。

3. 営業力が低い人の共通点とは?

一方、営業力の低い人には、次のような特徴があるといわれています。

お客様の話を聞かない

営業力の低い人は、お客様の話を全く聞かず、自社製品やサービスの特長やおすすめのポイントを一方的に話す傾向があるといわれています。紹介した商品やサービスが、お客様のニーズにマッチしていればよいのですが、そうではなかった場合、お客様にとってはいらない説明を延々と聞かされたという不満だけが残り、企業全体のイメージも損なわれてしまうことにつながります。

説明がわかりにくい

営業力の低い人は、専門用語や難しい言葉を多用し、説明をわかりにくくしていることが多いようです。たしかに専門用語を使うことで、お客様は、プロとしての知識の高さをうかがい知ることはできます。しかし、どれだけ自社製品の素晴らしさをわかっていても、専門用語や難しい言葉ばかりを使ってしまっては、素人であるお客様にはなかなか伝わらないのです。

迷っているお客様に契約を迫る

大多数のお客様は、自分自身で決断して商品やサービスを購入したいと思っています。迷っているお客様の背中を押すことは、一時的な売上アップにはつながるかもしれません。しかし、購入した商品やサービスに、お客様のニーズにはあわない点があった場合、「ほしくないものを押し付けられた。」というクレームにつながるリスクとの背中合わせともいえるのです。

4. 営業力がある人は才能があるから?

営業として働いている人の中には、天性の才能を持った人もいるのかもしれません。しかし、大多数の人は、「明るく前向き」「話し上手」「精神的にタフ」などの、営業としての資質はあっても、最初から契約をバンバンとってくることができたわけではありません。

先に説明したように、営業力をつけるには、「理解力」「企画力」「説得力」といった力を総合的に身につける必要があります。しかし、これらは一朝一夕で身につくものではなく、「お客様の話を聞き、ニーズをつかむ。」「お客様のニーズに合った企画を提案する。」「妥協が必要な点は、企業内部もしくはお客様を説得する。」という経験を積み重ねることで、得られるものといえます。このため、努力なくしては、影響力が高いという評価は、なかなか得ることができないものといえるでしょう。

5. 営業力を高めるためにまずやること

営業力を高めるには、次のような方法が考えられます。

お客様の話をしっかり聞くようにする

営業の基本は、お客様のニーズをつかむことです。まずは、お客様の話をじっくりと聞くところから始めましょう。なお、話を聞くときは、ただうんうんと相槌をうつだけよりも。話の合間に、「~ということですか。」と、自分の理解があっているかを確認するような発言を挟むようにすることがコツです。適宜確認をすることで、こちらの理解をしたいという気持ちが相手により伝わり、さらなる要望を聞き出すことができるかもしれません。

コミュニケーション能力を高める

お客様の真意をなかなかつかむことができないときは、質問の仕方を変えるなど、様々なアプローチをする必要があります。しかし、お客様との会話の中で、適宜アプローチの方法を変えていくには、普段からコミュニケーション能力を高めておく必要があります。なお、その訓練として手っ取り早いのは、いろいろな場所で知らない人に積極的に話しかけるということになるでしょう。ただ、誰かれ構わず声をかけると逆に怪しまれてしまいますので、たまたま一緒にバスやタクシーを待ち合わせた人など、自然なシチュエーションを選ぶということも、TPOを見極めるといった面からも大切なことといえるのではないでしょうか。

場数をふむ

やはり、営業力をつけるには、営業の場数を踏むということも重要です。数をこなしていると、順調に進む案件もあれば、思わぬところで躓いてしまう案件もでてきます。様々なケースを体験することで、臨機応変な対応ができるようになります。

6. 営業力を高める話し方とは

営業力をつけるという点において、話し方は非常に重要なポイントになります。相手に自分の意図をきちんと伝えたい時に注意したいポイントとしては、以下の点が挙げられます。

結論から話す

ビジネスに関する話をするときは、結論を先に伝えたほうが、相手が理解をしやすいといわれています。結論に行きつくまでに紆余曲折の過程があると、どれだけ話しても結論までたどり着けず、話を聞くほうも疲れてしまうからです。

強弱をつける

淡々と同じトーンで話してしまうと、話を聞いているほうはどれが重要な話だったのかわからなくなってしまうことがあります。重要なことは強いトーンで、それ以外のことは平易なトーンで、など、話し方に強弱をつけるようにすると、相手に重要な部分を伝えやすくすることができます。

ゆっくりと話す

話をするときは、相手が聞き取ることができるスピードでの発言を心掛けたほうがよいでしょう。伝えたいことが沢山あるからと、一気にまくし立てても、気合は伝わるかもしれませんが、内容は全く頭に残っていないということがほとんどです。話す内容は要点だけに絞り、それらが確実に相手の頭に残るよう、誰もが聞き取ることができる速度で話すように心がけることが大切です。

論理的に話す

思いついた順番に説明をしてしまうと、話を聞くほうは、時系列がわからなくなり、たとえ結論が分かっていても、混乱をきたしてしまうことがあります。なかには、複雑な事情が絡み合って、話が前後するというようなこともあるかもしれませんが、話をする前に一度自分の中で状況をまとめ、「~だから、こうなった。」という形で、話ができる状態にしておくことが望ましいでしょう。

7. 営業力を高めるために本、セミナーを利用しよう

これまでの説明において、営業力は、天性のものであることは少なく、努力によって身につけられることは多分にある、とう話をしました。しかし、自分なりの訓練をする、場数を踏むとはいっても、思うように数をこなすことができないこともあります。

そういうときは、営業力を高めるセミナーや啓発本などを活用してみましょう。啓発本には、実際に体験できること以外の、営業活動の場における様々なシチュエーションと対応方法が説明されています。また、セミナーでは、多くの場合、具体的な状況を再現してのシミュレーションを取り入れているケースが多く、様々なケースにおける疑似体験ができます。

営業力は、実際の営業活動の積み重ねの中で身につけていくことが理想ですが、現実的に考えても、すべてのケースを体験することは、難しいことといえます。足りない部分を補うという意味でも、啓発本やセミナーを活用することは、非常に有意義なことといえるのではないでしょうか。自分のキャラクターに合う効果的な方法も見つけられるかもしれません。

おわりに

営業力は、天性の才能というような表現で片付けられているときがありますが、それはほんの一握りの人たちの話であり、殆どの場合、実際の経験を通して、理解力、企画力、説明力といった能力を鍛えることで身についてゆくものといえます。営業活動において、すべてのケースを実際に体験することは難しいですが、啓発本やセミナーを活用することで、様々なケースを疑似体験することはできます。これらの積み重ねを通して、着実に営業力を蓄え、将来的なステップアップを目指してみてはいかがでしょうか。

LIMO編集部