リーマンショックから10年、再び膨張する米国の家計債務残高

今年2018年9月は、世界的な金融危機“リーマンショック”からちょうど10年が経つということで、今後はその類の特集記事を多く見聞きすることになると思われます。そこで、今回は米国のニューヨーク連邦準備銀行が四半期毎に公表する「家計債務残高」の変化を見てみましょう。

リーマンショックが起きた2008年第3四半期の家計債務残高は約12兆6,750億ドル(当時のレートで約1,330兆円、以下同)と、途方もない水準に膨れ上がりました。その後、2013年第2四半期には約11兆1,530億ドル(約1,100兆円)まで減少したものの、2017年第1四半期にはリーマンショック時を上回りました。

そして、今週発表された最新の2018年第2四半期実績は約13兆2,930億ドル(約1,475兆円)となり、米国経済の借入依存度が一向に改善されていないことが判明しています。

家計債務残高だけを見れば、いつリーマンショック級の金融危機が来ても不思議ではないのかもしれません。

この10年間で家計債務残高の内容は大きく変化

一方で、この10年間で家計債務残高の内容は大きく変わりました。まずは10年前との内容の比較を見てみましょう。なお、カッコ内は全体に占める構成比%です(出所:New York Fed Consumer Credit Panel/Equifax)。

2008年第3四半期 総額12兆6,750億ドル

  • 住宅ローン:9兆9,900億ドル(78.8%)
  • 自動車ローン:8,100億ドル(6.4%)
  • クレジットカード:8,600億ドル(6.8%)
  • 学生ローン:6,100億ドル(4.8%)

2018年第2四半期 総額13兆2,930億ドル

  • 住宅ローン:9兆4,300億ドル(70.9%)
  • 自動車ローン:1兆2,400億ドル(9.3%)
  • クレジットカード:8,300億ドル(6.2%)
  • 学生ローン:1兆4,100億ドル(10.6%)

注:住宅ローンはMortgageとHome Equity Revolvingの合計。数字は概算ベース。

自動車ローンと学生ローンの残高が急増

リーマンショック発生の直接的原因となった住宅ローンが、現在でも最大規模であることは変わりありませんが、その金額は微減となっており、全体に占める割合は大きく減ってきました。

その代わりに大幅増加となったのが、自動車ローンと学生ローンです。この2つは、今後の債務返済負担で米国経済の大きなリスク要因になる可能性が高いと言えますが、とりわけ、学生ローンの急増は既に大きな社会問題となっています。

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