「老後2000万問題」が話題となってはや5年。
物価上昇が進む現在の日本では、老後までに2000万円の準備ではもはや足りないだろうと考える人も多いでしょう。
今まで買っていたモノの値段が大きく上がっている状況で、今の生活を維持するのも一苦労。そんな状況でも老後の生活について考えていく必要があります。
老後を迎えるとメインの収入は年金となり、足りない場合に借金をするというのは現実的に難しいです。
給与収入があるうちに少しずつでも資金準備をしていくことが大切ですが、実際にいまのシニア世代はどれくらいの貯蓄をして、どんな生活を送っているのでしょうか。
今回は65歳以上無職世帯の貯蓄推移と、年金の受給額についてチェックしていきます。
年金だけで足りない部分は自助努力で資金準備が必要となりますので、老後2000万問題が自分の場合いくらになりそうか、参考にしていただければと思います。
1. 【65歳以上】無職二人以上世帯の平均貯蓄額は?過去5年間の貯蓄推移も確認
総務省が公表した資料によると、65歳以上・無職二人以上世帯の平均貯蓄額は「2504万円」となっています。
2000万円を超える貯蓄額があれば、老後の資金としては十分だと感じるかもしれません。
しかし、近年続く低年金や物価高などを考慮すると、予想よりも余裕がないと感じることもあるでしょう。
では、近年の貯蓄額の推移はどうなっているのでしょうか。
1.1 65歳以上無職世帯の「2018年から2023年」までの貯蓄推移
- 2018年:2233万円
- 2019年:2218万円
- 2020年:2292万円
- 2021年:2342万円
- 2022年:2359万円
- 2023年:2504万円
2020年までは2200万円台だった貯蓄額が、2023年には2500万円を超えました。
このような緩やかな増加の背景には、少子高齢化による年金制度の不安定さが影響している可能性があり、「年金だけでは心もとないので、もう少し貯蓄しておこう」と考える人が増えているのかもしれません。
一方で、「銀行預金だけでは安心できない」と感じている人も多いでしょう。
次に、シニアの資産内訳について詳しく見てみましょう。
1.2 65歳以上無職世帯の「保有資産の内訳」
- 有価証券:480万円
- 生命保険など:413万円
- 定期性預貯金:846万円
- 通貨性預貯金:754万円
- 金融機関外:11万円
65歳以上・無職世帯の保有資産の総額は2504万円です。
内訳を見ると、最も多いのは定期性預貯金で846万円ですが、前年比で19万円減少しています。
一方、有価証券は480万円で、前年比80万円の増加が見られます。
上記から、定期預金が減少する一方、NISAやiDeCoなどの税制優遇がある投資商品への関心が高まり、預貯金から投資へのシフトが進んでいることがみてとれます。
ここまで65歳以上無職世帯の貯蓄について見てきましたが、次に「65歳以上でまだ働いている世帯も含めた貯蓄事情」についても確認していきましょう。