3. 年金はいつから受給すべきか

ここまで、年金の繰上げ・繰下げ制度の利用状況について詳しく見てきましたが、実際、年金はいつから受給するのがよいのでしょうか。

ここでは、年金の繰上げもしくは繰下げがおすすめな場合について、いくつか紹介していきます。

3.1 年金の繰上げ受給がおすすめな場合

自身の健康上の理由や家族の介護など、何らかの事情があって働きに出ることが難しい方、また、その上、貯金額も十分ではない場合は、基本的な生活費を確保するために、繰上げ受給を検討してもよいでしょう。

前述した通り、繰り上げ受給では年金額が減ってしまいますが、定期的な収入を確保することができるため、生活の安定につながります。

3.2 年金の繰下げ受給がおすすめな場合

年金の繰下げ受給を利用する最大のメリットは、増額した年金を受け取れる点にあると言えます。

そのため、下記のようなケースに該当する場合には、繰下げ受給制度を利用することによって、より合理的に年金を受け取ることができるかもしれません。

  • 繰下げた期間内の生活費などをまかなえる収入が十分にある
  • 65歳時点において受給できる年金額が少ない
  • あるいは年金以外で収入の見通しがある

一方で、十分な収入を確保できずに繰下げてしまうと、早々に老後資金を取り崩すことになってしまいます。

また、そもそもの年金額が高額な方は、年金受給額が増えても、税金や社会保険料も増額し、結果として負担が大きくなってしまうため、繰下げるメリットは少ないと言えるでしょう。

4. まとめにかえて

国民年金や厚生年金には、繰上げおよび繰下げ受給という制度が設けられており、60歳から75歳までの期間であれば、受給開始時期を自由に選択することが可能です。

また、繰上げ・繰下げにはそれぞれ異なる性質があるため、自身の経済状況や将来のマネープランに照らし合わせて、より合理的な開始時期を選択するようにしましょう。

参考資料

中島 翔