2024年10月1日より、厚生年金の加入対象が拡大されました。一定の要件を満たすことで短時間の労働でも厚生年金の加入対象となります。
これまで厚生年金に加入できなかった方は年金を受給できる可能性が高まり、より手厚い保障を期待できるのがメリットです。
本記事では、厚生年金を1ヵ月で20万円受給するには現役時代にいくらの収入が必要なのか解説していきます。まずは厚生年金の受給額が決まる仕組みについて見ていきましょう。
1. 厚生年金の受給額はどうやって決まるの?
厚生年金(報酬比例部分)は、平均標準報酬額と被保険者の月数によって決まります。具体的には「平均標準報酬額×0.005481×被保険者の月数」で計算でき、収入が高く厚生年金への加入期間が長いほど、受給額が高くなります。
なお、平均標準報酬額は2003年4月以降の標準報酬月額と標準賞与額の合計を、2003年4月以降の加入期間で割った額のことです。
また、おおよその金額を算出する際は「平均年収÷12×0.005481×被保険者の月数」という式でも厚生年金の受給額を導き出すことが可能です。
2. 年金を1ヵ月で20万円受給するには現役時代にいくらの収入が必要なのか?
厚生年金は、国民年金の2階建て部分に該当する年金制度です。そのため、月20万円の年金受給額から逆算して必要年収を導き出すには、国民年金と厚生年金を分けて考える必要があります。
2.1 国民年金を満額で受給した場合
公的年金の1階部分に該当する国民年金は、2024年度で月6万8000円が満額となっています。年間にすると満額で81万6000円の国民年金が受け取れる計算です。
月20万円の年金を12ヵ月受給すると年間240万円になるため「240万円(年間の年金受給額)-81万6000円(年間の国民年金受給額)=158万4000円」が厚生年金で受給しなければならない金額であると計算できます。
2.2 年間158万4000円を厚生年金で受給する場合
おおよその厚生年金額は「平均年収÷12×0.005481×被保険者の月数」で計算できると前述しました。年間158万4000円を厚生年金で受給するには、一体いくらの年収が必要になるのか計算していきましょう。
まずは国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」をもとに平均年収460万円で、40年間保険料を納付した想定で計算します。
「460万円÷12×0.005481×480ヵ月=約100万8500円」となり、年間158万4000円に届かないことがわかりました。
次に約1.5倍の金額にあたる平均年収700万円で計算します。
「700万円÷12×0.005481×480ヵ月=約153万4680円」と導き出すことができ、国民年金と厚生年金を合計すると「81万6000円(年間の国民年金受給額)+約153万4680円(年間の厚生年金受給額)=235万680円」になります。
よって年金を1ヵ月で20万円受給するには、現役時代の平均年収700万円以上を稼ぐ必要があると判断できます。なお、より正確な金額を把握したい場合は、厚生年金保険料額表を参照しながら計算してみてください。
3. 厚生年金・国民年金の平均月額&月額階級ごとの受給者数
年金を月20万円受給するために必要な年収目安について解説しました。次に厚生年金と国民年金の平均月額・月額階級ごとの受給者数を見ていきましょう。
3.1 国民年金の場合
- 〈全体〉平均年金月額:5万6316円
- 〈男性〉平均年金月額:5万8798円
- 〈女性〉平均年金月額:5万4426円
- 1万円未満:6万5660人
- 1万円以上~2万円未満:27万4330人
- 2万円以上~3万円未満:88万1065人
- 3万円以上~4万円未満:266万1520人
- 4万円以上~5万円未満:465万5774人
- 5万円以上~6万円未満:824万6178人
- 6万円以上~7万円未満:1484万7491人
- 7万円以上~:178万3609人
国民年金は6万円以上~7万円未満の受給者数がもっとも多いことが確認できます。次に厚生年金のデータを確認していきましょう。
3.2 厚生年金の場合
- 〈全体〉平均年金月額:14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4878円
※国民年金部分を含む
- 1万円未満:6万1358人
- 1万円以上~2万円未満:1万5728人
- 2万円以上~3万円未満:5万4921人
- 3万円以上~4万円未満:9万5172人
- 4万円以上~5万円未満:10万2402人
- 5万円以上~6万円未満:15万2773人
- 6万円以上~7万円未満:41万1749人
- 7万円以上~8万円未満:68万7473人
- 8万円以上~9万円未満:92万8511人
- 9万円以上~10万円未満:112万3972人
- 10万円以上~11万円未満:112万7493人
- 11万円以上~12万円未満:103万4254人
- 12万円以上~13万円未満:94万5662人
- 13万円以上~14万円未満:92万5503人
- 14万円以上~15万円未満:95万3156人
- 15万円以上~16万円未満:99万4044人
- 16万円以上~17万円未満:104万730人
- 17万円以上~18万円未満:105万8410人
- 18万円以上~19万円未満:101万554人
- 19万円以上~20万円未満:90万9998人
- 20万円以上~21万円未満:75万9086人
- 21万円以上~22万円未満:56万9206人
- 22万円以上~23万円未満:38万3582人
- 23万円以上~24万円未満:25万3529人
- 24万円以上~25万円未満:16万6281人
- 25万円以上~26万円未満:10万2291人
- 26万円以上~27万円未満:5万9766人
- 27万円以上~28万円未満:3万3463人
- 28万円以上~29万円未満:1万5793人
- 29万円以上~30万円未満:7351人
- 30万円以上~:1万2490人
国民年金を含む厚生年金では、月20万円以上の受給者数が一定以上いることが確認できます。なかには、30万円以上の年金を受給しているケースもあり、豊かな老後を過ごすうえで厚生年金の重要性が伺えます。
4. 現役のうちから対策を
月20万円の年金を受給するには、現役時代に年収700万円以上の収入を得る必要があります。老後の収入源を年金に頼ることを検討している場合は、転職したりスキルアップしたりと一定の年収を確保する努力が大切です。
なお、年金は介護保険料や住民税などが天引きされるため、手取りで月20万円を得たいならより高い年収を確保しなければならない点も注意が必要です。
豊かな老後を過ごすためにも、現役のうちからしっかりとした計画を立てておきましょう。
参考資料
- 厚生労働省「社会保険適用拡大対象となる事業所・従業員について」
- 日本年金機構「年金はどのようなルールで改定されるのですか。」
- 日本年金機構「は行 報酬比例部分」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「令和6年4月分からの年金額等について」
- 国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」
- 日本年金機構「○令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和6年度版)」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
湯田 浩平