2024年7月5日に公表された厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」によると、65歳以上の38.1%が「住民税非課税世帯」に該当します。
最近、よく耳にする「住民税非課税世帯」ですが、65歳以上の場合、所得がどれくらいであれば住民税非課税世帯に該当するのでしょうか。
「211万円の壁」と言われている通り、65歳以上の夫婦二人世帯の場合、年金のみの収入であれば、211万円という金額が住民税非課税世帯に該当するかの基準となります。(住んでいる地域によっては若干の差があります。)
住民税が非課税になるということは、それだけ収入が少ないともいえます。
はたして約200万円の年金収入で、老後生活を送ることは可能なのでしょうか。
今回は、65歳以上の無職夫婦世帯の生活の実態をのぞいていきたいと思います。
1. 65歳以上・夫婦世帯の平均貯蓄額はいくら?
老後の収入の柱となる公的年金は原則65歳からとなります。
一般的に65歳以降は年金収入で生活費をカバーし、不足する分をその他の所得や貯蓄を取り崩して補填することになるでしょう。
また、年齢を重ねることで医療費が増えたり、介護費用が発生したりする可能性が高くなります。毎月の生活費以外にも、こうした突発的な支出に対応できる備えをしておく必要があります。
では、現代のシニア世代は貯蓄をどのくらい保有しているのでしょうか。
総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」(2024年5月17日公表)より、世帯主が65歳以上世帯の貯蓄保有額を見てみましょう。
1.1 65歳以上の二人以上世帯の貯蓄額(平均・中央値)
- 平均:2462万円
- 貯蓄保有世帯の中央値:1604万円
65歳以上の二人以上世帯の貯蓄額は、平均2462万円。
より実態に近い数値と考えられている中央値は1604万円でした。
次章では、65歳以上の二人以上世帯のうち「無職世帯」に絞って貯蓄事情を見ていきます。