いまなお7月の京都で1ヶ月間をかけて開催される「祇園祭」。その起源は平安時代前期にさかのぼります。
1000年という途方もない時代の移り変わりのなかで多くの人に楽しまれてきたロマンあふれるお祭りといえますね。
キリスト教の布教を目的として戦国、安土・桃山時代に日本を訪れたイエズス会の宣教師たちも「祇園祭」を見物しています。
『日本史』(ポルトガル語: Historia de Japam)の著述で知られるルイス・フロイスもその一人。彼は祇園祭を通じて日本人のある特性を論じています。
本記事ではその内容をご紹介するとともに、今の日本のインバウンドの状況についてもお伝えします。
1. ルイス・フロイスの見た祇園祭
織田信長ともたびたび面会したことで知られるルイス・フロイス。
彼が執筆した『日本史』には戦国時代の日本の姿が記録されています。
京都の祇園祭についても詳細な記述がなされており、なかでも日本人の仕事の細かさについて絶賛の声を送っています。
これらの大きい舞台付の車が通過すると、他の、より小さい車が続く。その上には、立像によって日本の古い歴史上の幾多の故事や人物が表徴されている[日本人は、それらを非常に上手に製作する。すなはち、彼らは万事において非常に器用であり、はなはだ完全で精巧な仕事をする。彼らは自然の偉大な模倣者であって、そのような仕事に携わるのである]。
ルイス・フロイス著 松田毅一、川崎桃太訳「完訳フロイス日本史1」中公文庫 2000年
祇園祭の名物といえば山鉾。
山と鉾、2つの山車が京都の市街を移動する圧巻の姿は祇園祭を特徴付ける要素となっています。
鉾は約25メートル、重量が最大で12トンにもなり、40~50人の曳手によって運ばれます。
一方の山は屋根のない舞台に真松や精巧な作りの御神体人形を飾った山車で、舁手によって運ばれます。
かつてこの地を訪れた宣教師たちは山と鉾、2つの山車から日本の職人魂を感じ取ったことでしょう。