いよいよ夏本番という時期になってきました。連日の暑さに体調を崩されてはいないでしょうか。夏の暑さを乗り切るには、エアコンを適切に活用することが欠かせませんが、つい「電気代がもったいない」と思いがちです。

そのような折、岸田総理は8月から10月使用分の電気代・ガス代について補助を行うことを決定しました。夏の電気代の支払い負担が軽減されることが期待できます。

特に、決められた年金額の範囲内で生活を送らざるを得ない方にとっては、光熱費の負担増は大きな問題です。

この記事では、電気代・ガス代補助の支援内容や、65歳以上シニア世帯の家計収支などを解説していきます。

1. 電気・ガス代補助が8月使用分から再開予定

【写真5枚】1枚目/酷暑乗り切り緊急支援、2枚目/8月・9月・10月分の電気ガス補助額1/5

酷暑乗り切り緊急支援

出所:首相官邸ホームページ「令和6年6月21日 岸田内閣総理大臣記者会見」

岸田総理は、6月21日の記者会見で「酷暑乗り切り緊急支援」とし、8月から10月分の3か月の電気・ガス料金の補助を行うことを発表しました。低所得世帯や地方経済に、高い即効性のあるエネルギー補助を迅速に行うことを目的としています。

電気・ガス代補助は2024年5月末で終了したため、今年の夏の電気代がどうなるのか心配する方も多かったことでしょう。しかし、期間限定とはいえ、夏季の電気代の負担が軽減することが期待されます。

補助額は、8・9月使用分と10月使用分とで異なります。

8月・9月・10月使用分の電気・ガス補助額2/5

8月・9月・10月使用分の電気・ガス補助額

出所:経済産業省 資源エネルギー庁「電気・ガス料金支援」

【8・9月使用分】

  • 電気:低圧 4.0円/kWh、高圧 2.0円/kWh
  • 都市ガス:17.5円/㎥

【10月使用分】

  • 電気:低圧 2.5円/kWh、高圧 1.3円/kWh
  • 都市ガス:17.5円/㎥

経済産業省 資源エネルギー庁によると、家庭内の電化製品の中で、1日の電力消費割合が最も多いのはエアコンで、34.2%を占めているとされています。

家庭内の1日あたりの電力消費割合3/5

家庭内の1日あたりの電力消費割合

出所:経済産業省 資源エネルギー庁「省エネルギー政策について」

現役世代は、仕事や学校などで不在にすることが多く、日中は家庭の電力を使用しないケースがあります。しかし、65歳以上のシニア世帯では、日中も家にいることが多いため、現役世代の家庭よりも、より多くの電力を消費する可能性があります。

熱中症対策にエアコンは必要なものであるため、電気代やガス代が安くなるのは喜ばしい施策です。

では、65歳以上の年金生活世帯では、毎月の生活費の収入と支出のバランスはどのような状況になっているのでしょうか。次章で詳しく見ていきましょう。

2. 65歳以上シニア世帯は毎月3~4万円の赤字

65歳以上の無職世帯の平均月収と平均支出状況を、夫婦世帯と単身世帯に分けて確認します。

シニア世帯の家計収支(夫婦世帯・単身世帯)4/5

シニア世帯の家計収支(夫婦世帯・単身世帯)

出所:総務省「家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要」

65歳以上無職の夫婦世帯では、実収入が24万4580円、そこから保険料や税金を差し引いた可処分所得が21万3042円、消費支出が25万959円なので、毎月平均3万7917円の赤字です。

一方、単身世帯では、実収入が12万6905円で可処分所得が11万4663円、消費支出が14万5430円なので、毎月平均3万767円の赤字です。

光熱・水道費は、夫婦世帯では2万2422円で、単身世帯では1万4436円となっており、消費支出の約9〜10%を占めています。8月からの電気・ガス代補助で、これ以上支出が増えないことが望まれます。

では、現在の年金受給者はいくら公的年金を受給しているのか、また、公的年金だけで生活していけている方はどのくらいいるのか、次章で確認しましょう。

3. 公的年金だけで生活できているのは41.7%のみ

厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢厚生年金の平均受給額は14万3973円で、老齢基礎年金の平均受給額は5万6316円です。なお、老齢厚生年金には老齢基礎年金額も含まれています。

現役時代に会社員や公務員だった方は老齢厚生年金を受給し、自営業や個人事業主、専業主婦などだった方は老齢基礎年金を受給します。

前章より、夫婦世帯の1ヵ月の消費支出は平均25万959円なので、夫婦で老齢厚生年金を受給している世帯以外は、収支がマイナスになる可能性が高いです。

実際に、厚生労働省「2022(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、公的年金を受給している高齢者世帯のうち、公的年金だけで生活できているのは41.7%となっています。

公的年金・恩給の総所得に占める割合別世帯数の構成割合5/5

公的年金・恩給の総所得に占める割合別世帯数の構成割合

出所:厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」

56%の世帯では、公的年金で不足する分を働くなどしてカバーしているようです。

現在、老後資金の準備を考えている方は、ご自身が年金を受給するときにどのような経済状況にあるかが不透明なため、貯蓄や投資信託といった方法で資産形成を検討する必要があるでしょう。

4. まとめにかえて

8月から10月使用分の電気・ガス代の補助が再開されることで、今年の夏の電気代の支払い負担は軽減されることが考えられます。しかし、日用品や食料品などの物価高は依然として続いており、生活費を圧迫している事実は簡単には変わらないと考えられます。

特に、65歳以上のシニア世帯では、毎月平均3〜4万円の赤字となっており、経済的な不安が付きまといます。これから老後資金の準備を始める方は、公的年金だけに頼らない資産作りが必要になるでしょう。

参考資料

木内 菜穂子