3. 公的年金だけで生活できているのは41.7%のみ

厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢厚生年金の平均受給額は14万3973円で、老齢基礎年金の平均受給額は5万6316円です。なお、老齢厚生年金には老齢基礎年金額も含まれています。

現役時代に会社員や公務員だった方は老齢厚生年金を受給し、自営業や個人事業主、専業主婦などだった方は老齢基礎年金を受給します。

前章より、夫婦世帯の1ヵ月の消費支出は平均25万959円なので、夫婦で老齢厚生年金を受給している世帯以外は、収支がマイナスになる可能性が高いです。

実際に、厚生労働省「2022(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、公的年金を受給している高齢者世帯のうち、公的年金だけで生活できているのは41.7%となっています。

公的年金・恩給の総所得に占める割合別世帯数の構成割合

公的年金・恩給の総所得に占める割合別世帯数の構成割合

出所:厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」

56%の世帯では、公的年金で不足する分を働くなどしてカバーしているようです。

現在、老後資金の準備を考えている方は、ご自身が年金を受給するときにどのような経済状況にあるかが不透明なため、貯蓄や投資信託といった方法で資産形成を検討する必要があるでしょう。

4. まとめにかえて

8月から10月使用分の電気・ガス代の補助が再開されることで、今年の夏の電気代の支払い負担は軽減されることが考えられます。しかし、日用品や食料品などの物価高は依然として続いており、生活費を圧迫している事実は簡単には変わらないと考えられます。

特に、65歳以上のシニア世帯では、毎月平均3〜4万円の赤字となっており、経済的な不安が付きまといます。これから老後資金の準備を始める方は、公的年金だけに頼らない資産作りが必要になるでしょう。

参考資料

木内 菜穂子