最近は生涯未婚率が上がってきて、一生独身のまま生きていく男女が増えているようです。理由はさまざまでしょうが、一生結婚しないことを想定すると老後に向けて色々と準備をしなければと思う人も多いと思います。
もちろん、結婚していても老後の準備はしなければなりませんが、結婚して子どもがいるのを「一般的な家庭」としてきた日本。そうした環境では、独身で生涯を過ごすには不安なことがたくさんあると言います。今回は、生涯結婚しないと感じているアラフォーOLが実践する、独身ならではのマネー術についてご紹介します。
まずは保険の断捨離を
彼女が一生独身でいると覚悟したとき、最初に何を削ったかというと保険料だと言います。生涯結婚しないということは、自分が死んだときに直接生活に困る人がいないということ。もちろん、両親などの肉親は悲しむと思いますが、子どもや配偶者など彼女の収入を直接頼りにしている人がいないわけです。
となると、保険料を余計に掛ける必要はありません。あとに遺す必要がないということで、保険金額の見直しをしたと言います。まずは500万円に設定していた死亡保険を解約し、会社の団体保険に絞りました。彼女の会社では、従業員向けの団体保険が提供されており、1か月あたりの掛金は数百円、死亡保険金も100万円から3000万円くらいまで自由に選べるのだそうです。
それまで毎月4500円ほど支払っていた保険料を、数百円までカット。万が一のときに遺すことに備えるというよりは、自分の老後のために備えるという気持ちで、浮いたお金は積立投信に回したと言います。
マンションの購入をどう捉えるか
彼女は、独身で生きると決めたときにすぐマンションを購入したと言います。ペットと暮らせる、広めの1DKの部屋です。頭金はそれまでに貯めていた貯金から出して、後々の返済負担が軽くなるようにしました。40代を過ぎた彼女が老後のことを意識するのは当然のことです。これから体力が落ちて、これまでと同じように働ける保障もないため、できるだけ返済期間を短くしたかったんですね。
老後も安心して暮らせる家がほしい、それほど多くは見込めない年金生活で家賃を支払いながら暮らしていくのは現実的ではない、そう考えたと言います。その一方で「あとに遺すわけでもないのに不動産を購入してよかったのだろうか」と後悔がよぎることも。
彼女の周りには、同じくらいの年齢で独身の人もいますが、ほとんどの人が不動産の購入を検討します。その中で、実際に不動産を購入する人と、しないと決断する人に分かれるようです。どちらがいいという話ではなく、自分が幸せになれる老後の生活をイメージしたうえでどうするべきかを考えるべきですね。
ランニングコストを減らすこと
老後の生活を見据えて、老後資産を形成していくためには長い時間がかかります。長い時間をかけても、毎月コンスタントにお金を貯めることができないとお金はふえていきません。そして、毎月コンスタントにお金を貯めるためには、毎月の収入の中から決まった金額を捻出しなければなりませんよね。そこで彼女は、毎月かかるランニングコストを減らして目標金額を貯めていこうと考えたのです。
彼女の家計はそれまで、毎月一定の金額を貯めることはできていませんでした。ずっと真面目に働いてきたのでそれなりに収入がありましたが、そのせいであまり普段から節約を考えずに生きてきたようです。そこで、とにかくランニングコストを圧縮し、貯金に回せる金額を増やそうと考えました。
具体的に言うと、彼女が削ったランニングコストはまず一番に通信費、そしてなんとなく続けていたジムと美容サロン代でした。ジムも、仕事が忙しく入会当初に想定していた頻度で通えておらず、いわゆる「通い放題プラン」にしていたことで余計に毎月の負担が高かったようです。
ジムの代わりに毎日の生活の中で階段を使ったり、一駅歩いたりして少し意識的に運動するようになりました。元々通えていなかったうえに太りやすい体質ではなかったということもあって、ジムを退会しても問題はなかった彼女。効果は見えづらいながらも、癒されるという理由だけでなんとなく通っていた美容サロンもやめました。それで毎月数万円、ランニングコストのカットが実現できたと言います。
資産形成を楽しむこと
彼女が最近ハマっているというのが、投資信託とNISA。彼女が投資信託にハマった理由はいくつかありますが、やはり少しずつお金が増えていくことが楽しいと言います。彼女が持っている投資信託は、大きく分けると3種類。長期的に「育てていく」イメージで、派手な値動きこそないものの手堅く伸びていくタイプの投資信託を2種類、短期的な値動きを楽しみながら投資する投資信託を1種類。この3種類をその時々によって買い足したり売却したりしているようです。
育てていくタイプの投資信託は、じっくりと目論見書を読んで自分が納得できる投資信託をチョイス。時々前日比がマイナスになっていると落ち込むときもあると言いますが、それでも買ったときよりは上がっているため、長い目で見るとマイナスにはなっていません。
もう1種類は、人に勧められたものでその投資信託の運用開始からずっと持っているものです。新興国に投資しており、今後の伸びしろに期待が持てるということもあって長く持とうと決めたのだとか。この2種類は毎月給料日に、決まった金額だけ買い足しているようです。
一方で、比較的値動きが荒い投資信託は、自分が投資や経済を楽しむために買っていると言います。ベンチマークにしている指数とどのくらい連動しているのか、指数が変動したら投資信託の値動きはどうなるのか。そういうことを調べ始めると楽しいという彼女は、投資信託で順調に資産を積み上げていました。コツは「欲張らないこと」だと言います。独身なので誰かに気を遣うこともなく、自分の給料を自分の将来のためだけに使えるのが楽しみだそうです。
まとめ
いかがでしたか。自分は一生独身かもと思っている人は意外と多いかもしれません。かく言う筆者もそのうちの一人。彼女の話を聞いて、保険の見直しと投資信託を始めました。それまでは「彼女はしっかり考えているんだな」と思っていましたが、自分で行動してみるとそれほど難しいことではないですし、充実感が出てきます。明るい将来のために、今からできることを始めてみましょう。
大塚 ちえ