就職活動で直面することもある「圧迫面接」。そんな面接をする会社など選ばなければよいという考えもありますが、もしそういう場に出くわしたら、どのような対応をすればよいのかを考えてみましょう。
圧迫面接とは何か
圧迫面接(アッパクメンセツ)とは、重苦しい雰囲気や学生を追い詰めるような状況を意図的に作り出し、その中で行われる面接のことを言います。売り手市場のいまどき、そんなことをする企業があるのかと思われるかもしれません。また、採用側に圧迫面接をする意味があるのかとお考えの方もいるでしょう。
就職活動時に金融機関やメーカー、商社などの面接を受け、その後金融機関に就職したA氏はこういいます。
「就活をしているときは圧迫面接の意味合いなど知らなかったのですが、就職して最初に配属された部署の先輩に、『圧迫面接はストレス耐性を見るためにやっている』といわれびっくりした覚えがあります。確かに、就職して現場に配属されると学生時代にはなかった緊張感もあり、いわゆる『テンパる』状況は誰もが経験することでしょう。企業としてはそうした時にどう切り抜けられそうか、対応力や忍耐力を見ておきたいというのは分かります」
「ただ、その先輩に『そんなの意味あるんですか』と聞きましたが、明確な回答はなかったですね。実際、自分も先輩から引き継いだ業務でテンパることになるのですが(笑)、結果としては数年してその会社を辞めてしまいました。ストレス耐性がなかったといえばそれまでですが、業務そのものが面白くなかったんですよね。ストレスにも意味のあるものとないものがあります」
圧迫面接をどう乗り切るか
では、圧迫面接に遭遇した場合はどう対応すればよいのでしょうか。
先ほどのA氏はこういいます。
「自分がいま就職活動していて圧迫面接を受けようものなら、途端にその企業のことが嫌になってしまうでしょう。もちろん、就活がうまく進んでいる会社が少なければそんなことは言っていられないのですが、正直、圧迫面接で誰が得をするのだろうかと思いますね」
A氏は自らの経験をこう振り返ります。
「これは社会人になってからの話ですが、ある食品メーカーの役員の方と話をしていた時、名の知れたなヨーグルトの話になりました。その商品のマーケティング方法についての議論をしていたら、その役員の方が突如怒り出し、『若いのは分かっとらんのに偉そうに!』といって部屋を出て行ってしまいました。残された社員の方は唖然として、その後の面談も気まずいものでした。後に社員の方が「すみませんでした」といってくれたのは救いでしたが」
「結局、何が癇に障ったのかは分からずじまいでした。若さゆえに怒られたのか、机上の空論を口にしたがゆえに怒られたのか・・・。ただ、理由はともあれ、その後はその会社の商品は一切買わないようになりました。一人不買運動ですね(笑)。今でも思い出すだけで嫌な気持ちになります」
役員の話はとりあえず聞く! 自分の意見は後から
そうした経験から、役員面接の場ではどうすればいいと考えているのでしょうか。
A氏は、私見だとしながらもこういいます。
「役員面接は、とりあえず話を聞くことに尽きると思います。どの企業もそうですが、企業の大小はあっても役員になるというのはひとかどの人物の可能性が高い。つまり、自分の意見を何らかしら持っているはずだと思います。それを周囲にペラペラしゃべるかどうかは別にしても、です。となると、学生が自分の考えを初めからぶつけても、彼らの心に響くことは少ないでしょう。であれば、彼らの言いたいことをまずは聞く」
話を聞いた後はどうすればよいのでしょうか。
「一通り聞いた後に自分の意見をいえばよいのではないでしょうか。ただ、先ほどの私のケースでお話ししたように、役員を怒らせてしまうことがあるかもしれません。相手のすべてを知っているわけでもないですし。仮に許容度の小さな相手が面接官であれば、あきらめるしかないですね。面接のマニュアルでは、いったん受け入れてから自分の意見を伝えるよう教わることもあるようですが、それもケース・バイ・ケースです」
圧迫面接の必勝法とは
では、圧迫面接を切り抜ける確実な方法はないのかと聞くと、A氏はこう答えます。
「たぶんないと思います。圧迫面接をしてストレス耐性を確認する会社は、業務でストレスがかかりやすい現場だということの裏返しと考えてみるのはどうでしょうか。それでも就職を希望するなら、その圧迫面接をやり抜く必要がありますし、そうでなければそんな会社は放っておけばよいのではないでしょうか」
「これは社会人になって自分が感じたことですが、自分に自信のない人ほど圧迫をしてきたり、大きな声を出す傾向が強いように思います。面接官もそれぞれなので、自分が志望する企業については、OB・OG訪問なども含めて何人にも会ってから判断するのがよいと思います」
――圧迫面接は企業も学生も誰得かを考えるべき――
LIMO編集部