一昔前は「終身雇用が当たり前」「老後は退職金と年金で悠々自適に過ごす」といった考え方が当たり前でした。
今、この考え方が20歳代から30歳代の中で変化しているといえます。実際、2024年1月に学生を対象に行われた意識調査では、回答者全体の36.7%が公務員を「志望したことがない」と回答。若者の公務員離れの傾向が見受けられます。
そんななかで「公務員は安泰」「公務員の退職金は余裕で2000万円を超える」という声も聞かれます。退職金の平均額がWEB上で公開されている公務員。退職金の実態はどうなのでしょうか。
今回は、公務員の退職金やセカンドライフについて考えてみたいと思います。
1. 【最新】国家公務員の定年退職金はいくら?
そもそも「公務員」とは、国や自治体に勤務し、営利を目的とせず社会作りを仕事としている人を指します。
また、公務員は「国家公務員」と「地方公務員」に区分されています。
それぞれの具体的な職種と職員数は下記のとおりです。
【国家公務員と地方公務員の職種と職員数】
- 国家公務員(58万9000人):自衛官、裁判官、検察官、国会議員、大使など
- 地方公務員(276万4000人):教員、役場職員、警察官、消防官、自治体議員など
上記のとおり「公務員」といっても国家公務員と地方公務員では職種が異なります。また、地方公務員の場合は、勤務する都道府県や市町村によって給与水準や退職金が異なります。
今回の記事では国家公務員の退職金について紹介していきます。
内閣官房の退職金に関する調査によると、退職理由が「定年」の国家公務員の退職金は下記のとおりです。
【退職理由が「定年」の国家公務員の受給者数と平均支給額】
《常勤職員》
- 受給者数:1万2934人
- 平均支給額:2106万4000円
《うち、行政職俸給表(一)適用者》
- 受給者数:3884人
- 平均支給額:2122万7000円
常勤職員、行政職俸給表(一)適用者ともに、平均支給額が2000万円以上であることから、国家公務員の退職時の退職金は2000万円を超える可能性が高いといえます。
一方、最近では就職氷河期世代を対象とする採用が積極的に行われるなど、中途採用の職員も増えています。
また、勤続年数によっても退職金の平均額は異なります。次に勤続年数ごとの定年退職金の実態を見ていきましょう。
2. 国家公務員の定年退職金は勤続年数が長いほど上昇
国家公務員の定年退職金は、勤続年数に応じて上昇していきます。
内閣官房の退職金に関する調査では、勤続年数別の退職手当平均支給額は下記のようになりました。
【常勤職員の場合】
勤続年数:平均支給額
- 5年未満:157万2000円
- 5年~9年:413万9000円
- 10年~14年:694万2000円
- 15年~19年:1139万1000円
- 20年~24年:1221万1000円
- 25年~29年:1617万6000円
- 30年~34年:1975万8000円
- 35年~39年:2299万9000円
- 40年以上:2235万円
上記のとおり、勤続年数が長いほど退職金額が増加していきます。勤続35年以上で定年退職を迎えると2000万円以上の退職金が支給される可能性が高くなると考えられます。
また同調査では、同じ勤続年数でも「自己都合退職」よりも「定年退職」のほうが退職金が高くなっています。
では、大企業や中小企業に勤める会社員の定年退職金はどのくらいあるのでしょうか。