2. つみたて投資をやめてしまう人にありがちな理由3選

長期保有が前提となっているつみたてNISAも含まれていた旧NISA制度ですが、どうして途中で売却をしてしまうのでしょうか。

考えられる理由について2つ見ていきましょう。

2.1 理由①マイナスになって怖いから

1つ目は思うように資産が増えていかないことで焦って売却したことが考えられます。

投資信託に含まれる株式は価格が上がることもあれば下がることもあります。

年平均5%のリターンが狙えるといっても毎年5%増えるわけではなく、10%下がる年もあれば20%上がる年もあり、ほとんど価格が動かない年もあります。

そういう年も含めた平均として5%の成長をしていくわけです。

積立投資を始めてすぐに上昇相場が始まらず、結果が出なければ積立をやめて投資信託を売ってしまうことが考えられるのです。

2.2 理由②利益が出たから

2つ目の理由として考えられるのが、利益が出た時点ですぐに売却をしてしまうことです。

投資をして利益が出ると「将来的に価格が下がってしまうのではないか」という不安から保有商品を売りたくなってしまうことがあります。

また、旧一般NISAでは非課税期間が5年という短い期間だったこともあり、5年先に利益が出ているかわからないなら今のうちに非課税の恩恵を受けておこうとしたとも考えられます。

2.3 理由③手元のお金がなくなったから

3つ目は「手元のお金がなくなってしまった」という理由です。

元銀行員の筆者ですが、NISAの売却相談の際に「生活費が必要になったから売却したい」という相談は意外と少なくありませんでした。

本来、NISAをはじめとするつみたて投資は余裕資金による長期投資が基本です。生活費などの必要資金から無理につみたて投資をする必要はありません。

まずは自分のお金を「つかう」「ためる」「ふやす」などグループ分けして、そこから余裕資金になりそうな金額を少額ずつつみたてするのがおすすめです。

3. 【つみたて投資シミュレーション】NISA開始時に始めた人は結局いくら増えた?

では旧NISA制度が始まった時点から積立投資を継続していたらどれくらい資産が増えたのでしょうか。

今回は旧一般NISAが始まった2014年から日経平均株価に連動する投資信託を10年間積み立てたとしてシミュレーションをしてみましょう。

3.1 もし毎月3万円を「日経平均株価にインデックス投資していたら」

2014年1月~2023年12月までの日経平均株価のリターンを投資信託のリターンと仮定します。また、信託報酬などの投資信託のコスト、税金は考慮しません。

<日経平均株価の始値と終値>

  • 2014年1月始値:1万6147.54円
  • 2023年12月終値:3万3464.17円

日経平均株価は2014年1月から10年間で約1万7316円上昇しました。割合に直すと約107.2%となりました。

よって1年間のリターンは107.2%÷10≒10.7%として考えます。

年利10.7%の商品を月に3万円積み立てシミュレーション

年利10.7%の商品を月に3万円積み立てシミュレーション

出所:金融庁 資産運用シミュレーション

最終的には元本360万円に対して279万8000円の利益が得られました。

2024年に入ってからも日経平均株価は上昇していますので、現在も保有している方はこのシミュレーションよりも利益が出ているのではないでしょうか。

日経平均株価は2023年以降、それまでのレンジ相場を抜け出し上昇しました。

株価が停滞している時も積み立て投資を継続し、長期的に資産を保有できた人が大きなリターンを手にできたということになりますね。

4. つみたて投資は「長期投資」を念頭に

投資においては長期的な保有をすることで、資産価値を高められる可能性が高いことがわかりました。

新しいNISA制度では1800万円の元本から生まれる利益が非課税となります。つまり長期的に成長すればするほど制度の恩恵を受けやすくなっています。

まず初めは余剰資金の中でも少額から、長期的な視点で始めてみてはいかがでしょうか。

参考資料

中本 智恵