2. ねんきん定期便で見た金額より振込額が少ないワケとは?
公的年金の受給額は現役時代の年収や加入期間によって受け取れる金額が異なるため、ご自身の年金額をしりたい場合は、毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」を確認しておくことが大切です。
注意点として、ねんきん定期便に記載されている金額はあくまで「見込額(額面の金額)」であり、実際に振り込まれる金額とは異なるため留意しておきましょう。
公的年金は「収入」にあたるため、現役時代の給与と同様に、税金や社会保険料が「天引き」された状態で振り込まれます。
そのため額面の金額よりも、実際に振り込まれた金額のほうが少ないケースがほとんどです。
天引きされる金額や実際の振込額(手取り額)は、年金を受給している方向けに毎年6月頃に「年金振込通知書」が送付されているため、あわせて確認しておけると良いです。
2.1 年金から何が天引きされる?
公的年金は、税金や社会保険料などが天引きされた状態で振り込まれますが、具体的にどのような税金や社会保険料が徴収されるのでしょうか。
公的年金から天引きされる「税金」や「社会保険料」は下記のとおりです。
- 所得税額および復興特別所得税額
- 個人住民税
- 介護保険料額
- 後期高齢者医療保険料、国民健康保険料(税)
上記はそれぞれ「年金振込通知書」にも記載がされており、これら以外にも年金振込通知書には「年金支払額」と「控除後振込額」の記載もあります。
年金支払額はいわゆる「額面の金額」であり、税金や社会保険料が天引きされる前の状態の金額が記載されています。
控除後振込額は、天引き後の金額が記載されており、銀行に振り込まれる年金額となっています。
「額面の金額」と「実際の振込額」は金額に違いがあるため、手取り額をみてガッカリしないように、事前に天引き内容を確認しておけると良いでしょう。
3. 年金だけに頼らない老後準備をしておこう
本記事では、国民年金と厚生年金の「額面の金額」と「実際の振込額」の違いについて解説していきました。
公的年金は現役時代の給与と同様に、税金や社会保険料が天引きされた状態で振り込まれるため「ねんきん定期便で見た金額より振込額が少ない」と感じてしまうかもしれません。
総務省の「家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要」では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における、額面の金額は「約22万円」なのに対して、天引き後の金額は「約19万円」となっています。
つまり、老後においても税金や社会保険料等で、年金から数万円の天引きがされる可能性は大いにあるため、ご自身の年金額を確認する際は「天引き」も考慮しておくことが大切です。
また、本記事で「年金の平均月額」や「年金の天引き事情」を確認し、少ないと感じた場合は、今のうちから年金だけに頼らない資産づくりをしておけると安心でしょう。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「年金振込通知書」
- 総務省「家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要」
和田 直子