FIBC2018で見た新潮流。保険分野へも広がりを見せるフィンテック領域

2018年3月2日、東京・丸の内でFIBC2018(Financial Innovation Business Conference、主催:電通国際情報サービス、共催:一般社団法人金融革新同友会 FINOVATORS)が開催された。

世界各国から26社が登壇

FIBCは金融イノベーションを議論する目的で開始され、今回が7度目。FinTech(フィンテック)スタートアップ企業のグローバル進出や金融サービスのグローバル展開の支援を進めるという意図もあり、全プログラムが英語で進行することも特徴的だ。

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メインプログラムはフィンテック分野の製品・サービスを競うピッチコンテストであり、これはフィンテックスタートアップ企業の登竜門とされる。今回は日本国内から13社、米国・英国・カナダ・ロシア・韓国・シンガポール・台湾といった世界の国・地域から13社の合計26社がピッチコンテストに出場した。

インシュアテックの「ジャストインケース」が国内部門グランプリを受賞

今回のグランプリ(国内部門)はスマホが壊れた際の修理費用を負担する「スマホ保険」を手掛ける「justInCase(ジャストインケース)」が受賞した(QUICK賞とのダブル受賞)。この保険は、日本初のスマホアプリで完結するAIを活用した保険商品だという。

FIBCを主催した電通国際情報サービス(ISID)によれば、昨年は保険領域の参加企業は0だったというが、今回は3企業に増えた。グランプリを受賞したジャストインケースもそのひとつだ。受賞の発表に際し、審査員を務めた一般社団法人金融革新同友会FINOVATORSの増島雅和氏も「国内でのインシュアテック(保険+テクノロジー)のスタートアップ出現をとても喜んでいる」と語った。

ちなみに今年のキーノートスピーチには、2018年1月にドイツ銀行との提携を発表したソーシャル保険を提供するドイツのFriendsurance社のCo-FounderであるJanis Meyer-Plath氏が登壇していた。インシュアテックへの関心の高まりもその背景にはあったのだろう。2018年は日本におけるインシュアテック元年になるかもしれないと言われるなか、ジャストインケースのグランプリ受賞は、その予兆となる結果ともいえそうだ。

また、海外部門のグランプリは、銀行のプライベート/コーポレートクライアントをつなぎ、新規ビジネスを創出するプラットフォームを手掛ける英国のOpportunity Networkが受賞した。

保険・株取引・ローン・不動産・ゲームまで。広がりを見せるフィンテック領域

今回参加した国内および海外部門の企業の取り扱う領域は、保険をはじめ、株取引・ローン・不動産・ゲームなど、様々な領域に広がりを見せていることが特徴的だった。また、個人の資産運用や資産形成を証券投資の側面からサポートするスタートアップの受賞も目立った。

FIBC担当者は今回の参加企業の特徴について次のように語った。

「リテール(個人)向けのサービスは、元々フィンテックサービスの大きなトレンド。また、フィンテックは基盤要素として、他の産業に浸透していきやすいともいえる。たとえば2016年のFIBCでは、ブロックチェーンに関連する企業が多く登壇した。当時は金融ど真ん中のサービスが中心だったが、2年経ってみると他の産業にもブロックチェーンが浸透しているのを感じている」

「また、海外部門オーディエンス賞を受賞した『Soundpays』などのように、超音波を使ってスマホと連動させ購買行動につなげるという、これまでになかった『聞こえない音』というユーザーインターフェースも今後オリンピック開催などが控える日本にとっては面白いテクノロジーだったのではないか」

日本進出を果たす企業も

FIBCが全プログラムを英語化したのは2016年。本格的なグローバル化は昨年からだというが、登壇した海外企業からは「すばらしいグローバルカンファレンスだった」というコメントが聞かれるなど、国際的にも評価が高まっているとFIBCの担当者は話す。

また、FIBCへの登壇をきっかけにリレーションを作り、日本進出する企業も増えつつあるといい、今回も「ビジネスチャンスがつかめた」「日本に戻ってくる」という海外企業もあったそうだ。

今回登壇した企業が日本を舞台にフィンテックで新たな旋風を巻き起こすのか。その動向から引き続き目が離せない。

受賞企業 

【国内部門】サービス名/会社名

  • FIBC大賞: justInCase/株式会社justIncase
  • オーディエンス賞:STREAM/株式会社スマートプラス
  • セブン銀行賞:Authkey/カレンシーポート株式会社
  • QUICK賞:justInCase/株式会社justIncase
  • 農林中央金庫賞:Palette IoT/株式会社Momo
  • 審査員特別賞:Gate./リーウェイズ株式会社

【海外部門】サービス名/会社名/国

  • FIBC大賞:Opportunity Network/Opportunity Network(英国)
  • オーディエンス賞:Soundpays/Soundpays Inc.(カナダ)
  • ソニーフィナンシャルホールディングス賞:HitKey/HitKey Technologies Pte Ltd.(シンガポール)
  • 三菱地所FINOLAB賞:NoPassword/NoPassword(米国)
  • ISID特別賞:Revolut/Revolut Ltd.(英国)

LIMO編集部

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LIMO編集部は、国内外大手証券会社で証券アナリストや運用会社のファンドマネージャーとして長年の調査や運用経験を持つメンバーを中心に構成されています。金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデア、ビジネスパーソンの役に立つ情報ををわかりやすくお届けします。