介護施設への入所を考える際に「特別養護老人ホーム(以下、特養)が一番安い」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。しかし資産や収入額によっては、民間の有料老人ホームの方が安く利用できるケースもあります。

「実は有料老人ホームの方が自分には合っていた!」と後悔しないためにも、費用の減免制度や特養の料金について把握しておくことは重要です。

この記事では、減免制度や特養の費用について確認しつつ「特養が一番安い」とは限らない理由について解説しています。

1. 「特養が一番安い」とは限らない理由

特養は社会福祉法人などが運営する公的な介護施設であり、比較的安い費用で利用できます。

入居一時金は不要で、月額利用料を支払えば利用可能です。また介護サービス費は介護保険制度の対象となるため、収入に応じて1~3割の負担で利用できます。

1.1 【特養の減免制度】資産や収入が多いと対象外となるケースも

ただし食費や住居費については介護保険の対象外であり、全額自己負担です。そのため資産や収入が少ない人にとって、これらの費用は大きな負担となります。

そこで導入されているのが「負担限度額認定制度」という仕組みです。一定基準を満たす場合は申請することで、特養の食費や住居費を軽減してもらえます。

ここで問題になるのが「資産や収入が多い人」のケース。一定以上の資産・収入がある人は、特養の軽減制度が受けられないため、民間の有料老人ホームを利用する方が安くなることがあるのです。

よって「特養が一番安い」という考え方は、時に危険であると言えます。

2. 住民税非課税世帯でも要注意「減免制度の落とし穴」

資産や収入に応じた施設を選ぶためには「負担限度額認定制度」という減免制度についての知識が必要です。ここでは、負担限度額認定制度について詳しく解説します。

2.1 負担限度額認定制度とは

特養での食費や住居費は介護保険適用外であり、低所得の人にとっては大きな負担となります。そこで資産や収入を考慮し、支払い能力に応じて負担を軽減するのが「負担限度額認定制度」です。

制度を利用するには市町村の窓口へ申請書を提出し、認定証の交付を受ける必要があります。また認定証は、毎年更新しなければなりません。介護サービスなどを利用する内に数年が経過し、資産が減少した場合でも申請は可能です。

認定は1~4段階に分かれています。段階が低いほど、住居費や食費の負担が少なくなる仕組みです。詳しい要件と特養の費用については、次章にて解説いたします。