春闘での賃金上昇に関するニュースなどが増えてきました。順調が給料が上がれば嬉しいですし、老後の年金が増える可能性もあります。
厚生年金の金額は納めた保険料や加入期間によって決まり、その保険料は収入によって決まるからです。
ちなみに将来の年金額が上乗せされる「厚生年金の長期加入者特例」なるものをご存じでしょうか?実は44年以上加入していると適応される制度ですが、あまり知られてないようです。
今回は特別支給の老齢厚生年金と密接に関わるこちらの制度について、くわしく解説します。
1. 厚生年金と国民年金とは?公的年金の仕組み
まずは、公的年金である「厚生年金」と「国民年金」についての整理が必要です。
日本の公的年金は、上記のように国民年金と厚生年金の2階建てになっています。
1.1 国民年金(1階部分)
- 原則、日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員に加入義務がある
- 保険料は一律
- 納付した期間に応じて将来もらえる年金額が決まる
1.2 厚生年金(2階部分)
- 公務員やサラリーマンなどが加入する
- 収入に応じた保険料を支払う(上限あり)
- 加入期間や納付額に応じて将来もらえる年金額が決まる
個人によって加入する年金や納付期間が異なるため、将来の年金受給額には個人差がある点に注意しましょう。
例えばずっと自営業だった方は、将来老齢基礎年金しか受け取れません。この場合は満額でも月額で6万円台となるでしょう。
また、厚生年金は年収に応じた保険料を支払うため、より個人差が大きくなる点も押さえておきたいポイントです。
2. 厚生年金の長期加入者特例とは?特別支給の老齢厚生年金も整理
厚生年金の長期加入者特例は、特別支給の老齢厚生年金として報酬比例部分しかもらえない世代の方のうち、厚生年金の被保険者期間が44年以上ある方に上乗せされる特例です。
制度を深掘りするために、まずは特別支給の老齢厚生年金を押さえておく必要があります。
厚生年金保険の受給開始年齢は60歳から65歳に引き上げられました。急に引き上げると影響が大きいため、現在は受給開始年齢を徐々に引き上げている段階です。
そこで設けられたのが「特別支給の老齢厚生年金」です。「特別支給の老齢厚生年金」が受け取れるのは次の方です。
- 男性:1961年(昭和36年)4月1日以前に生まれた
- 女性:1966年(昭和41年)4月1日以前に生まれた
- 老齢基礎年金の受給資格期間(10年)がある
- 厚生年金保険等に1年以上加入していた
- 生年月日に応じた受給開始年齢に達している
一部の世代は現在、報酬比例部分しか受け取れない状況になっています。そこで要件を満たした方に対し、長期加入者特例として定額部分が受け取れるようになるのです。