2024年1月19日に厚生労働省が公表した「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」によると、2024年度の夫婦2人の標準的な年金額は23万483円と決まりました。

もし貯蓄が1500万円あれば、公的年金とあわせて老後生活は安心して過ごせるのでしょうか。

今回は、年金が月額25万円受け取れる夫婦世帯の場合、貯蓄1500万円で足りるのか解説します。

1. 老後の生活費はいくら?

2024年1月9日に総務省が公表した「家計調査(家計収支編)」から、2人以上の世帯で以下の条件をもとに、生活費を算出します。

  • 65歳以上
  • 無職世帯

毎月の支出額と、老後生活が続いた場合の支出総額がいくらになるのか確認しましょう。

1.1 毎月の支出額

65歳以上の支出額は、2024年11月分で27万2031円になりました。

支出項目の内訳を確認しましょう。

  • 食料:7万7837円
  • 住居:1万3962円
  • 光熱・水道:1万9957円
  • 家具・家事用品:1万2139円
  • 被服及び履物:6810円
  • 保健医療:1万7810円
  • 交通・通信:3万3826円
  • 教育:166円
  • 教養娯楽:2万6150円
  • その他の消費支出:4万9955円
  • 非消費支出:1万3420円

年間でかかる支出に換算すると326万4372円になります。

1.2 将来の支出額

老後生活が65歳から90歳まで25年間続くと仮定した場合は、支出額が以下の通りになります。

  • 326万4372円×25年=8160万9300円

ただし、上記の算出結果は物価変動を考慮していません。

もし期間中にインフレ率が1%ずつ上昇した場合、同じ25年間で必要な支出額は約9635万円になります。

物価変動を考慮していない分と比較すると、約1500万円も支出額に差が出ます。

2. 年金と貯蓄で生活可能?

公的年金を月25万円ずつ受け取った場合、65歳から90歳までの年金額の合計額は以下の通りになりました。

  • 25万円×12年×25年=7500万円

手元にある貯蓄1500万円を合計すると、9000万円となります。

もし、物価変動を考慮しない場合で計算すると、約839万円が手元に残る計算になりました。

  • 9000万円-8160万9300円=約839万円

しかし、物価変動を考慮すると約635万円が不足します。

  • 9000万円-9635万円=▲635万円

貯蓄が1500万円でも、物価変動があることを踏まえると不足する可能性があるので、より手元の資産を増やす必要があるでしょう。

どのような準備をするべきなのか、解説します。