3. 日産も2024年3月期通期予想を上方修正

日産の2024年3月期第2四半期は前年同期比で2ケタ増収及び2倍以上の増益となりました。

ホンダと同様、中国は苦戦しているものの日米欧などの地域は前年同期比で販売台数が伸びており好調です。
 
堅調な業績を受け、日産も2024年3月期の通期予想を上方修正し、未定としていた配当金を1株当たり中間期5円、期末は予想では10円と発表しました。

4. ホンダと日産のいずれも中国市場では苦戦

足元で良好な事業推移を見せるホンダと日産ですが、両社ともに中国では苦戦を余儀なくされています。
 
中国での販売実績について、ホンダは第2四半期累計で前年比87.7%、日産は同75.6%の水準です。EV領域での現地自動車メーカーの台頭や、価格競争の激化などが苦戦の背景となります。
 
しかし減少したとはいえ、ホンダは国内(257千台)の2倍以上の611千台を中国で上期に販売しており、日産も国内(228千台)を越える359千台を販売しています。
 
両社ともに、全体的な業績は好調です。しかし今後業績の伸びが一服した後、中国事業の立て直しがテーマとして浮上する可能性があります。

5. ホンダと日産のこれまでの配当金は?

かつては高配当銘柄として知られていた日産でしたが、現在は配当を抑える状態が続いています。
 
下記が2020年3月期以降の両社の配当金の推移となります(ホンダは2023年10月1日の株式分割前換算)。

配当金

出所:日産自動車株式会社「配当情報」と本田技研工業「株主還元」をもとに筆者作成


これまでの配当金の推移は、日産が2021年3月期に0円となったのに対し、ホンダは安定的に110~120円の範囲で出しています。

ただし日産も2021年3月期の0円を底に増配を続けています。そして2024年3月期は、両社とも大幅な増配が予定されています。

6. まとめ

コロナ禍からの世界的な経済回復に加え、円安効果もありホンダと日産の業績はいずれも好調です。そして、両社ともに中間決算発表と同時に、通期業績予想を上方修正しました。
 
ただし両社に限りませんが、中国に進出している海外自動車メーカーの多くは中国で苦戦を余儀なくされています。
 
今後中国リスクを織り込む形で株価が推移するのか、それとも全体としては良好な決算が評価される状態が続くのか、両社の株価及び業績の行方が注目されます。

参考資料

石井 僚一