2024年1月12日に発表された、株式会社ライズ・コンサルティング・グループ2024年2月期第3四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社ライズ・コンサルティング・グループ 代表取締役社長 北村俊樹 氏

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北村俊樹氏:ライズ・コンサルティング・グループ代表取締役社長の北村です。それでは第3四半期決算についてご説明します。

本日のアジェンダです。2024年2月期第3四半期決算概要および通期見通し、成長に向けた取り組み・TOPICSについてお話しします。

2024年2月期 第3四半期 ハイライト

第3四半期のハイライトです。売上収益は第3四半期終了時点で44億円、前年同期比30.1パーセントの成長、通期業績予想に対しても72パーセントの進捗です。

スライド右側の「参考」に記載のとおり、収益認識のタイミングにより、第3四半期までの稼働のうち、受注残として約1.4億円が第4四半期以降に計上される予定です。総じて主要KPIの進捗も順調であり、ほぼ計画どおりの進捗となっています。

営業利益は第3四半期終了時点で12.6億円、前年同期比24パーセントの成長となっています。「参考」に記載のとおり、9月に上場した関係で、第3四半期では上場関連コストを2,000万円ほど計上しています。こちらも第2四半期から成長率が良化し、順調に通期計画を達成できる見込みです。

詳細は後ほどご説明しますが、第3四半期累計の主要KPIはコンサルタント人員数が217人、稼働率が累計期間で86パーセント、会計期間で92パーセントです。コンサルタント平均単価は累計期間で268万円となっています。

2024年2月期 第3四半期累計 決算概要(IFRS)

第3四半期累計の決算概要です。第3四半期終了時点で売上収益は43.96億円、営業利益は12.63億円です。前期の営業利益率は28.2パーセントでしたが、今期は営業利益率が改善し、28.7パーセントとなっています。

通期業績予想の25.9パーセントに対し、現在はかなりよい数字を実現しています。採用コストなどを含め、計画上は多少コンサバに積んでいた部分もあります。我々の採用戦略がうまく合致し、コスト効率がよく、売上利益が順調に推移しているとご理解ください。

売上の傾向について

売上の傾向です。例年どおりのトレンドで推移しており、第3四半期単体で約15億円です。通期業績予想から逆算すると、残りの17.1億円を第4四半期で達成していくことになります。

冒頭でお伝えした受注残などを踏まえ、今後は稼働率も上がっていきますので、通期計画は達成できる見込みです。

重視するKPIの状況

主要KPIの状況です。スライド左側のコンサルタント人員数は、第3四半期終了時点で217人となっています。期初計画では通期で219人としていますが、現在の見通しでは、概ね230人の着地になる見込みです。9月に上場を果たしたこともあり、年明け以降も採用人数が順調に増えていく予定です。

スライド中央の稼働率は、例年どおり第3四半期以降から年度末にかけて順調に高まっています。そのため、会計期間として92パーセント、累計期間として86パーセントという状況です。稼働率についても予定どおりに推移すると考えています。

スライド右側のコンサルタント平均単価も、期初に確実に単価アップを実現できた影響により、期初計画の257万円をはるかに超えて推移しています。第4四半期も平均単価が著しく下がることはないと考えています。

営業費用(売上原価+販管費)

売上原価と販管費の状況です。今期から上場を果たしたこと、今後の成長を見据えて採用やプラクティスなどの活動を強化したことにより、コストの比率が若干上がっていますが、想定どおりだとご理解ください。

財政状態計算書(BS)

B/Sについてです。利益の積み増しが着実にできているため、現在の利益剰余金は23.4億円となっています。

2024年2月期 業績予想(通期)

再掲になりますが、通期業績予想の内容を記載していますのでご覧ください。

成長戦略サマリ(再掲)

成長に向けた取り組み・TOPICSについてご説明します。当社は人的資本経営、Well-beingを基盤とし、主要KPIとして掲げている人員数・平均単価・稼働率の3つを持続的に成長させていきます。

この原理原則を見失わないよう徹底しており、今後も成長戦略サマリとして心がけていきたいと考えています。

サービスの質に直結する人材が確保できる仕組み ~優秀な人員の厳選採用①~

ここからは直近のトピックスも含め、あらためて人員数・単価・稼働率についてご紹介します。

まずは人員数です。我々の採用計画、採用の考え方についてご説明します。

スライド左側の図をご覧ください。当社はOne Pool制とプラクティス制を掛け合わせた組織になります。一般的なコンサルティング案件では、スライドに記載されているチーム構成でプロジェクトを進めます。

一番上のパートナークラスが2割から3割ほど稼働し、PMとしてマネージャーもしくはシニアマネージャーが100パーセント専任するかたちで1人付きます。その下にスタッフクラスが2人から3人付きます。現在二百数十名ほどいるコンサルタント部隊は、すべてがこのようなピラミッド型のチーム構成となっています。

採用計画においても、この人材ポートフォリオを崩さないことが重要です。要は、数を稼ぐために若手層をとりあえず集めるということをせず、全体のバランスを意識した採用計画を立てるということです。それに伴ってふだんから採用を行い、人材の質や組織バランスを崩さないことを心がけています。

サービスの質に直結する人材が確保できる仕組み~優秀な人員の厳選採用②~

採用プロセスについてです。当社はエージェントに頼らない採用手法として、コンサルタント自身が自ら考えてリードする仕組みを確立してきました。月間スカウト数が4,000通を超える中で、通過率6パーセントの厳しい面接選考プロセスを経て厳選採用を行っています。

選考自体も、一次面接から内定を出すまでの平均日数が14.3日となっています。他ファームや事業会社では、日程調整等を行うためのリードタイムが長くなりがちです。しかしリードタイムが長くなれば、優秀な人材が離脱したり、他社に流れてしまったりするリスクが高まります。そのため当社では、優秀な人材を早く見つけ、効率よく選考を進めるプロセスを確立しています。

サービスの質に直結する人材が確保できる仕組み~優秀な人員の厳選採用③~

採用の質についてです。スライド左側に記載の採用ステップを用いて、かなり丁寧に採用プロセスを進めています。

一次面接から最終面接までで役員クラスが登場し、コンサルティングのお題に対してその場で打ち返しを提案する「ケース面接」や、20分ほどでPowerPointの資料を作ってもらい資料作成能力をチェックする「チャートライティング」を行うなど、細かく厳しい選考プロセスを経ています。

他のコンサルティング会社を含め、年間数百名という採用規模を掲げる時には、数を確保するためにどうしても未経験採用や緩い選考をしてしまう傾向があると思います。しかし、我々は「少数精鋭」を掲げて厳選した人材を採用していることを、今一度ご理解いただければと思います。

加えて、我々は即戦力採用を心がけており、コンサルティングファーム経験者採用率は中途採用者全体の約8割、そのうちシニアコンサルタント以上は100パーセントがコンサルティングファーム経験者となっています。コンサルタント以下のクラスのメンバーは、未経験者のポテンシャル採用も行いながら、後ほどご紹介する研修制度によってしっかりと即戦力化します。

スライド右側にはコスト面について記載していますが、我々はROIを意識した採用を重視しています。チャネル別での採用獲得数では、一般的に「フィーが高い」と言われる採用エージェントの活用割合は4分の1程度です。それ以外には、自らがターゲットおよびスカウティングを行うダイレクトリクルーティングや、社員紹介というかたちでリファラル制度を徹底するカルチャーの醸成などに取り組んでいます。

サービスの質に直結する人材が確保できる仕組み~充実した育成環境・仕組み~

人材育成の仕組みについてご説明します。スライド中段の左側に記載のとおり、新卒・中途の未経験者に対しては1ヶ月程度の入社時研修を行っています。この研修は、外資系戦略ファームを経て、法人研修で有名なグロービスさんで長く法人研修を担当した当社の常務が全面統括しており、コンサルタントに必要とされるさまざまなスキルを体系的・実践的に学べる仕組みとなっています。

現在は、当社が採用した新卒・中途未経験者だけでなく、当社のクライアントが累計500名以上も有償で受講しているプログラムにまで発展しています。

スライド中段の右側には、コンサル能力のアセスメントについて記載しています。社内にはいくつかの実践的な研修制度がありますが、特に若手クラスを中心とした「プレゼン研修」という制度があります。

こちらは実際のクライアントの経営課題に従い、1ヶ月程度で提案書を作って役員陣にプレゼンをする研修で、すべて動画撮影が行われ、横並びで比較・採点されます。それにより、コンサルタント自身が「このストーリーを作るのが苦手である」「プレゼンが苦手である」など、いろいろな課題を定点観測できます。このような社内研修制度も徹底しています。

スライド下部はOJTについてです。我々は、人材育成においてOJTが一番重要であり、そのためにはまずOJTの時間を確保することが必要だと考えています。基本的には、マネージャークラスが1プロジェクトに100パーセントアサインし、若手メンバーを手厚く育成できる仕組みを整えることで絶対量を確保します。

さらにOJTが属人化しないように、コンサルティング本部とは別に品質管理・人材戦略本部が横串の組織として、コンサルティング案件を体系どおりに進められているかモニタリング・評価する仕組みも取り入れています。

サービスの質に直結する人材が確保できる仕組み~カルチャー・制度~

その他にも社員の成長やいろいろな働き方について、キャリアオーナーシップ育成やWell-beingを重視し、多面的にサポートする仕組みがあります。

具体的な仕組みをいくつかご紹介します。スライド左側の「成長機会を醸成する様々な支援制度」の中に記載している「メンター制度」は、プロジェクトの上下関係とは別に、シニアメンバー1人に対して若手メンバー3人のチームを作り、キャリア上や人生のいろいろな悩みについてサポートしたり、今後担当したい案件などの志向性を吸い上げたりする制度です。

またスライド右側に「週報」とありますが、全従業員が毎週金曜日の業務終了時点で、経営層に対してレポートを送ります。コンサルタントの成長には、日々の内省と言語化が重要です。その週にどのような学びがあったのか、どのような課題を見つけて翌週解決するのかを振り返って言語化するだけでなく、コンサルタント自身が、日頃からどのような悩みを持っているのか、どのような思考が今後必要なのかを吐き出せるような仕組みです。

私も必ず毎週、全社員分の週報をチェックして、交換日記のように丁寧なやり取りを行っています。当社はそのようなカルチャーも徹底して作ってきました。

単価上昇余地への実現策

平均単価についてです。当社は他ファームと比較して、価格優位性があります。スライドの案件ポートフォリオを見ていただくとわかるとおり、戦略、業務、ITに満遍なくバランス良く従事できていることが特徴です。

戦略・業務案件については、お客さまが求める難易度や他ファームの価格も含めて、さらにアップサイドがあると考えています。バランス良く案件が獲得できていることは、我々総合ファームとしての強みだと考えています。

単価上昇余地への実現策

今後の単価上昇余地への実現策について、スライドに掲げた5つのアプローチがあります。スキルや人材の向上、社員の状態を適切に把握して底上げをするなどです。営業手法の部分では、チーム体制やチームのケイパビリティの強化を組織として進めています。

高稼働率を実現する柔軟な組織形態と仕組み

稼働率についてです。当社はOne Pool制を敷いているため、基本的にはコンサルタントのアサインメントを1つの組織でタイムリーに実現することができます。

また、コンサルタントは「1人1顧客」を原理原則としているため、案件の終了タイミングも明確になります。したがって、無駄なアイドル時間を発生させず、高稼働率が担保できます。

お客さまからしても、自分たちに対してきちんとしたサービスを一定の時間確保いただけるということで、サービス品質の向上にも寄与します。若手メンバーの育成という観点でも、現場のマネージャークラスが100パーセント従事していますので、すべてにおいてよい仕組みだと考えています。

引き続き、One Pool制を中心とした高速マッチングの仕組みを維持、強化していきたいと思います。

営業獲得

営業獲得についてです。まず、スライド右側の「継続/拡大」ですが、現在、既存顧客の継続率は80パーセント程度です。

私は日頃から社員に対して、「最高品質のデリバリーが最大の営業戦略だ」と伝えています。つまり、目の前のお客さまに対してきちんとしたサービスを提供し続ければ、周辺の仕事の獲得や継続的な取引につながります。

そこに現場のマネージャークラスが100パーセント従事していますので、彼らにミッションを渡し、評価をひもづけるような仕組みを実践しています。それにより安定的な売上を確保しながら、新規のお客さまについては、パートナークラスが獲得に専念できる組織形態を作ってきました。

スライド左側に記載のとおり、新規営業については、売上責任を持つCRO直下に営業専任部隊を設け、インサイドセールスを中心にいろいろな営業の仕組みを導入しています。

例えば案件をマッチングするようなプラットフォームがあり、そこを活用してコンペで勝つことや、大企業の役員をしていた方を顧問として招聘し、まず営業のリード獲得を行い、そこから新規の案件を開拓するなどです。

上場の効果からか、最近では当社のデジタルサイトやコーポレートサイトに直接問い合わせをいただき、そこから仕事を獲得したケースもあります。

注力支援テーマ(GX)の活動:Original Methodology

最後に、ソリューション型提案の事例をご紹介します。こちらは当社の中にいくつかあるプラクティスの1つですが、GX(Green Transformation)の領域で進めている内容です。

GXの領域では、「脱炭素社会の実現に向けてScoop3の排出量をいかに測定して削減していくか」が至上の命題となっています。従来型では算出方法にいくつか課題があるため、それを解決するようなOriginal MethodologyをNTTデータさんと共同開発しました。

注力支援テーマ(GX)の活動:ご支援実績

それが「C-Turtle」というプロダクトで、NTTデータさんと共同でプロダクト化してローンチしました。これにより、当社も周辺のコンサルティング案件や業務改善の可視化など、新規事業での成功事例が生まれています。

この可視化は、TCFDを中心に上場企業数千社が必ず求められる内容になります。このようなソリューション型の提案ができるサービスを持っていることも、今後の強みとして確立していけると考えています。

この後はAppendixになりますので、適宜ご確認いただけますと幸いです。

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