2023年12月9日にログミーFinance主催で行われた、第68回 個人投資家向けIRセミナー Zoom ウェビナーの第4部・昭栄薬品株式会社の講演の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:昭栄薬品株式会社 常務取締役財務本部長 成瀬幸次 氏
経済アナリスト/経営コンサルタント 増井麻里子 氏
フリーアナウンサー 荒井沙織 氏

ご説明内容 CONTENS

成瀬幸次氏(以下、成瀬):みなさま、こんにちは。昭栄薬品株式会社常務取締役の成瀬幸次です。本日はご視聴いただき、誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。本日は、スライドに記載の順にご説明します。

I.(1)会社の概要

成瀬:まずは、当社の概要からご説明します。本社は大阪市中央区安土町にあります。8階建てのビルで、4フロアを使用しています。

国内には本社の他に、中央区東日本橋に東京支店、名古屋市中村区に名古屋営業所があり、合計3拠点で活動しています。海外には、中国・上海に昭栄祥、タイ・バンコクにSHOEI TRADINGの2拠点を構えており、合計5拠点になります。

事業内容について、メインの化学品事業ではオレオケミカルと界面活性剤等の仕入販売を行っています。日用品事業では家庭用洗浄剤を中心とした日用品の企画・仕入販売、土木建設資材事業では地盤改良やコンクリートの補修補強材料等の仕入販売を行っています。

2016年3月16日にJASDAQに上場し、現在はスタンダード市場に移行しています。

I.(2)会社の概要 沿革

成瀬:沿革です。1937年に化学品卸の鐵野商店として創業しました。1951年には、現在の花王の化学品販売を開始しています。

1960年に、現在の昭栄薬品株式会社としてスタートしました。1965年に土木建設資材事業、1987年に日用品事業に参入し、現在の体制となっています。1993年にはシンガポール支店を開設しました。現在はシンガポール支店の機能をタイに移管しています。

2000年代に入り、2005年に中国に子会社を設立し、2009年にタイに合弁会社を設立しました。その後は独資企業となっています。

先ほどお伝えしたとおり、2016年にJASDAQに上場し、2022年にスタンダード市場へ移行しました。

増井麻里子氏(以下、増井):それでは、ご質問をはさみながら進めたいと思います。御社は以前、工場を持っていらっしゃったかと思いますが、今はファブレス企業となっているのでしょうか?

成瀬:おっしゃるとおりです。以前、鐵野油化という子会社がありましたが、吸収合併して大阪工場となり、現在は完全に閉鎖しています。メーカーポジションの日用品に関しても、OEM生産のため生産にはまったく関与していません。

I.(3)会社の概要 理念・指針

成瀬:当社の経営理念と行動指針です。「私たちは環境と安全に配慮した価値ある商品の提供と、新しい市場の開発を通じて、真の顧客満足を実現し、企業の発展と社会への貢献を果たします」という経営理念のもと取り組んでいます。

行動指針は、1つ「仕入先には信頼感」、2つ「得意先には満足感」、3つ「自分自身は責任感」です。私も大好きな指針で、これらをモットーに日々業務に励んでいます。

I.(4)会社の概要 当社グループの事業活動の基本方針

成瀬:当社グループの事業活動の基本方針についてです。事業を行っていると、いろいろな困りごとがあります。その時に真っ先に「昭栄さん、このようなことがあるんだけど」と相談していただける会社を目指し、「『一番にお声がかかる選ばれる会社』へ」を基本方針として掲げています。

当社グループの存在価値として、お客さまが求める価値を理解し、その価値の維持・向上に貢献し続けます。

当社グループの成長の源泉として、一番にお声がかかる会社になるために「一番にお声がかかる選ばれる人材」を目指し続けます。

そして、当社グループの成長の基盤として、一番にお声がかかる選ばれる会社を目指し続ける努力を惜しまないが、無理はしない「堅実経営」が成長を支えると考えています。

このような方針でがんばっています。

I.(5)会社の概要 当社の事業説明(セグメント)

成瀬:当社の事業説明です。「事業間のシナジー効果」を重視した関連多角化により、現在3セグメントの事業を展開しています。

圧倒的なシェアを占めているのがメイン事業である化学品事業で、売上高構成比は92.1パーセントです。土木建設資材事業は4.5パーセントで、主に工事現場で使用される化学品・薬剤を取り扱っています。日用品事業は3.4パーセントです。安心・安全でニッチな商材を開発しています。

前年の連結売上高は245億円です。連結売上高、営業利益、経常利益ともに過去最高を記録しています。

I.(6)会社の概要 化学品事業

成瀬:メインである化学品事業からご説明します。お客さまの求める顧客価値の実現を原材料選定の面から支援し、付加価値の高い新商品開発に貢献します。主に天然植物油脂、パーム油、パーム核油、ヤシ油などを原材料としたオレオケミカルを取り扱っており、特に脂肪酸アルコールの取扱数量は国内最多です。スライド下段の写真はアブラヤシです。

I.(7)会社の概要 化学品事業

成瀬:先ほどお伝えしたとおり、植物系の天然油脂を原材料とするオレオケミカルを原材料とした界面活性剤を取り扱っています。

ヤシ油とパーム油から脂肪酸、脂肪アミン等のオレオケミカルを仕入れ、それを界面活性剤の原料として使う界面活性剤等メーカーに販売しています。そこで出来上がった界面活性剤等を最終の末端商品、例えばトイレタリー関連では石鹸、洗剤、シャンプー等を作っているメーカーに販売しています。

このように、原材料から末端、川上から川下まで広くカバーするビジネスモデルが当社の特徴であり、強みであると認識しています。

増井:質問です。オレオケミカルとはどのようなものでしょうか?

成瀬:先ほどお伝えしたとおり、パーム油等の天然油脂を原料として扱っているケミカルの総称です。

増井:総称なのですね。

荒井沙織氏(以下、荒井):スライドにはオレオケミカルの種類として4種類が記載されていますが、この他にも御社で取り扱っているオレオケミカルはあるのでしょうか?

成瀬:主にはスライドに挙げている4つです。

増井:食品にも使われているとのことですが、主に添加物のようなかたちで使われているのでしょうか?

成瀬:おっしゃるとおりです。食品添加物として使用を許可されている界面活性剤があります。製品の現状及び機能を保持する目的の乳化剤、安定化剤等として利用されています。

Ⅰ.(8)会社の概要化学品事業

成瀬:界面活性剤についてご説明します。界面活性剤とは、水と油の両方の性質を持ち合わせ、水と油の中を取り持つ物質です。物質の境の面(=界面)に作用し、界面の性質を変化させる物質の総称です。

スライドの図のように、通常では水と油は分離しています。ここに界面活性剤を入れることにより、水と油がうまく混ざります。界面活性剤はこのような機能を有する物質です。

増井:オレオケミカルの界面活性剤は、ペトロケミカルと比べて、性質や用途にどのような違いがあるのでしょうか? 

成瀬:ペトロケミカルは石油由来の原料です。昨今は、環境問題等への対策として、石油由来のアルキルベンゼンスルホン酸を出発原料とした洗浄成分から、オレオケミカルである脂肪アルコールを出発原料とした洗浄成分へと置き換わってきています。

増井:環境面ではオレオケミカルのほうが好ましいということですね。物質として、性質の違いはありますか?

成瀬:特にありません。

Ⅰ.(9)会社の概要化学品事業

成瀬:オレオケミカルや界面活性剤等については、スライドに記載のとおりです。

Ⅰ.(10)会社の概要化学品事業

成瀬:各化学品の詳細も、スライドのとおりです。

Ⅰ.(11)当社、取扱商品の一例(花王(株)の高級脂肪酸)

こちらについても、口頭での説明は割愛します。

Ⅰ.(12)会社の概要日用品事業

成瀬:日用品事業についてご説明します。家庭用&業務用洗剤等を、顧客企業と共同企画し、OEM供給を行っています。生産は外部委託となっています。

また、「安心・安全」を重視したニッチな商品企画で差別化を図っています。

当社オリジナル商品の販売も開始しました。スライド左下の画像が靴・ブーツスプレー、右側がマットレスのダニよけスプレーです。ダニよけスプレーは、付属のノズルをマットレスに直接差し込んで噴射し、中のダニなどを忌避させる特徴があります。

荒井:日用品事業では、オリジナル商品の売上規模はどの程度なのでしょうか?

成瀬:現在注力しており、「楽天」「Amazon」「Yahoo!」などにWebショップを開設しています。

ただし売上はまだ伸びておらず、日用品事業の1パーセント強です。アンテナショップ的な商品展開も行っているため、今後拡充を図っていきます。

荒井:どのような店舗やECサイトへの展開を考えていますか?

成瀬:今お伝えしたとおり、「楽天」「Amazon」「Yahoo!」を中心に展開していきたいと考えています。

荒井:海外展開はされているのでしょうか?

成瀬:現時点では行っていません。今後については海外進出も視野に入れていますが、まずは国内で拡大を図っていきたいと考えています。

Ⅰ.(13)会社の概要土木建設資材事業

成瀬:土木建設資材事業です。多くの同業他社は成形品資材が中心ですが、当社は化学品(薬剤)を中心に、工事の現場環境に応じた適切な商品を提案する販売活動を展開しています。

具体的には、グラウト(薬液注入)工法等の地盤改良に使用する材料・添加剤、コンクリート補修補強工法に使用する材料・添加剤、汚染土壌改良の環境改善薬剤などです。

現在、環境改善薬剤はサステナブルな商品として、今まで廃棄していた食品の副産物を利用し、VOC汚染土壌の浄化促進剤「ソイビオMA」の普及を推進しています。

増井:御社は総合的に建設資材を扱う企業とは違って、化学品に絞り込んでいるところが強みなのでしょうか?

成瀬:当社の土木建設資材事業の商品である界面活性剤は、いわゆる化学品事業で取り扱っているものと同じです。化学品事業の主な仕入先からも、土木建設資材事業へ仕入れている点が強みだと思っています。

増井:今後は他の商材というより、化学品に絞っていくということですね。

成瀬:化学品を中心に展開していきたいと考えています。

Ⅰ.(14)会社の概要土木建設資材事業

成瀬:参考として、ジョッツクリート工法についてご説明します。こちらはコンクリート構造物の断面の修復や補強を目的とした工法の1つです。

スライドの画像のように、工事前から撹拌工程、吹付工程へと進みますが、この撹拌工程とモルタルを吹き付ける吹付工程の距離が離れている場合があります。

ホースにモルタルを流す時は、水分量の多いほうが通りはいいのですが、あまりにも多いと固定できません。その兼ね合いをうまく取る工法の1つとして、ご紹介しました。

Ⅰ.(15)会社の概要当社のビジネスモデル

成瀬:当社のビジネスモデルです。再三お伝えしているように、川上から川下まで広くカバーしています。取引の度に、仕入先や末端メーカーから「こういう商品・商材はないか」という情報が集まってきます。当社はその情報をもとに、日々営業活動を行っています。

Ⅱ.(1)当社の強み

成瀬:当社の強みです。1つ目は、オレオケミカルを中心とした化学品商社で、高度な専門性、圧倒的な情報力を活用し、顧客へ高付加価値のソリューションを提供している点です。特に、花王のケミカル事業の主要代理店となっています。仕入比率は4割超、仕入先も400社を超えています。

Ⅱ.(2)当社の強み

成瀬:強みの2つ目として、日本、タイ、中国のグループ3社で情報を共有し、得意先の生産活動を原材料選定から支援して多岐にわたる品目を取り扱っています。

当社は化学品事業で、国内外700社を超える得意先を持っています。日本、タイ、中国のネットワークで、国内化学品はもちろん海外化学品のグローバル調達で、お客さまのタイムリーな原材料調達に貢献しています。

Ⅲ.(1)2024年3月期第2四半期決算ハイライト

成瀬:連結決算概況です。

売上高は、前期比11.9パーセント減、金額で15億200万円減少の111億1,300万円、営業利益は、前期比24パーセント減、金額で7,400万円減少の2億3,600万円です。

経常利益は、前期比20パーセント減、金額で8,700万円減少の3億4,900万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比22.2パーセント減、金額で7,000万円減少の2億4,600万円です。

このように減収減益になっていますが、第2四半期としては、過去最高を記録した前年に次ぐ業績となっています。

要因として、原料植物油脂の価格相場の低迷による製品価格の低下があります。また世界経済、特に中国経済の減速懸念により、繊維油剤関連・自動車関連の国内主要得意先からの受注数量が減少したことが挙げられます。

Ⅲ.(2)パーム油系油脂相場

成瀬:参考までに、パーム油系油脂相場の推移をグラフで示しています。

主要取扱商品、オレオケミカルの主要原料となるパーム系油脂相場は、2022年2月から3月にピークを迎え、その後は下落基調となりました。

2024年3月期第2四半期のオレオケミカル関連の製品価格は、原料油脂相場下落の影響を受け、前年に比べ低位で推移しました。

増井:パーム油価格についてお聞きします。コロナ禍で、価格がかなり上昇したと話題になりましたが、御社の業績にとってはパーム油価格が上がっているほうが好ましいのか、それとも逆なのか、為替レートの影響も併せて教えてください。

成瀬:パーム油価格が上がれば、それに当社の利益分を上乗せして、当然ながら販売価格も上がります。したがって、当社にとってはフォローの風になります。

為替についても同様です。当社の販売先が中国等へ輸出していますので、円安基調のほうが数量は動きます。そのため、当社にとってもプラスとなります。

増井:数量効果があるということですね。

Ⅳ.(1)2024年3月期通期連結業績予想及び進捗状況

成瀬:決算の進捗状況です。まず売上高です。第2四半期の進捗は45.9パーセントと、50パーセントに達していませんが、その他の段階利益は50パーセントを大きく超えています。

順調に推移していますが、先ほどからお伝えしているとおり、世界経済の見通しや、特に中国経済の懸念があるため、計画値を5月の発表時から据え置きとしています。

売上高は、前期比1.2パーセント減、金額で2億9,600万円減少の242億3,200万円、営業利益は、前期比32.5パーセント減、金額で1億5,800万円減少の3億2,900万円です。

経常利益は、前期比28.7パーセント減、金額で1億9,300万円減少の4億8,000万円、最終当期純利益は、前期比28.3パーセント減、金額で1億3,600万円減少の3億4,700万円を見込んでいます。

荒井:業績に季節性はあるのでしょうか?

成瀬:特に季節性はありませんが、メーカーの稼働日数が少ない1月から2月にかけては売上が若干落ちる傾向です。

Ⅳ.(2)2024年3月期の取組み/事業環境見通し(各セグメント)

成瀬:事業環境の見通しです。まず化学品事業では、中東及びウクライナ情勢、為替変動、原料油脂相場の動向等の方向性が、いろいろな懸念事項となる可能性があります。

そのような不透明感の中、現在取組み中の戦略として、海外子会社との連携による海外商材の拡販や香粧品分野などの最終製品メーカーへの注力、またRSPO関連製品の普及推進、環境関連ビジネスの拡販があります。確実に成果に結びつけられるよう、粘り強く取り組んでいきます。

日用品事業は、原材料や物流費のコスト上昇により、依然厳しい状況が見込まれます。知的所有権、特許や実用新案を取得した商品企画を強化し、安値争いにならないよう、非価格競争を実現して収益向上を目指します。また販売チャネルに関しても、生協関連以外の拡充を目指します。

土木建設資材事業は、土木グラウト及び環境改善関連ともに堅調を予想しています。グラウト関連は、新工法の普及開発や環境改善関連、その中でも環境に配慮した土壌汚染改善システムの普及に注力します。具体的には、先ほどご紹介した「ソイビオMA」の拡販です。

IV .(3)今後の戦略、展開(SDGsの具体的な取組み)

成瀬:SDGsの具体的な取組みとして、RSPO関連商品の普及推進、また水ソリューションビジネスと脱臭ソリューションビジネスも拡販しています。

IV .(4)今後の戦略、展開(サステナブルな取組み)

成瀬:サステナブルな取組みについてです。SDGsに積極的に取り組むため、推進チームを立ち上げました。

人的資本関連では、従業員エンゲージメントアンケートなどの調査を導入し、より生き生きと意欲的に働ける職場への転換を目標に、貢献感と達成感を同時に感じられる職場を目指します。

働き方改革では、ワーク・ライフ・バランスを考慮した在宅勤務や、時差出勤の取入れを行っています。取締役会では実効性評価制度を導入し、ガバナンスを強化しています。

またDX推進として、営業、業務効率化に向けて名刺管理システムや経費精算システム等々の取入れを行っています。

IV. (5)今後の戦略、展開(全体像)

成瀬:今後の成長イメージについてです。

現在取組み中の各戦略として、海外子会社との連携による海外商材の強化と拡販、香粧品分野など、最終製品メーカーへの注力、RSPO関連商品の普及推進、環境関連ビジネスの拡販があります。これらを確実に成果へ結びつけられるよう、粘り強く推進していきます。

また、日用品事業及び土木建設資材関連事業も、環境保全改善を意識した商品・工法開発により、収益性の向上を図ります。

早期達成目標として、連結売上高250億円以上、海外売上高比率10パーセント以上を目指します。

V. (1)株主還元方針 基本方針

成瀬:株主還元方針についてです。基本方針として、将来の事業展開のために必要な内部留保を確保しつつ、安定配当を継続実施すること、また過年度の1株当たりの配当額を基礎に、25パーセント以上の配当性向を目標とすることを掲げています。

今期の配当は36円、配当性向は35.2パーセントを予想しています。そして昨日(12月8日)の終値は975円、配当利回りは3.69パーセントとなっています。

当社は25パーセント以上の配当性向を目標としています。少し低いと思われる方もいると思いますが、今期の予想は前期と同じ水準の36円です。したがって、安定配当を継続していきたいと考えています。

簡単ですが、以上でご説明を終わります。

質疑応答:配当性向における上限・下限のイメージについて

増井:株主還元についてです。御社は「25パーセント以上の配当性向を目標とする」ということですが、安定配当としてDOEを指標にする企業が多いと思います。

御社は配当性向を指標にするということで、上限や下限のイメージはありますか?

成瀬:上限・下限は特に決めていません。配当性向25パーセント以上とし、できるだけ前期の配当を下回らないよう日々努力しています。

質疑応答:原材料や物流面でのコスト上昇への具体的な対策について

荒井:「原材料や物流面でのコスト上昇が気になるところです。御社の具体的な対策として、どのようなことを行っているのか教えてください」というご質問です。

成瀬:原材料は、基本的に化学品がベースになっています。こちらは、比較的に価格転嫁しやすい事業です。当社は川上のところから取り扱っていますので、原材料高により売上のボリュームが上がるため、フォローの風があります。

荒井:かなり強みになりますね。今は物流にもコストがかかってきますが、そのあたりはどうされていますか?

成瀬:当社は商社ですので、在庫等の物流機能も持っています。このあたりは、今後いろいろな対策を立てていきたいと考えています。

質疑応答:界面活性剤への風当りが強くなっていることについて

増井:「近年、界面活性剤への風当たりが強くなっている印象です。取扱事業者の立場として、資料に記載のない部分で何かあれば教えてください。私は一過性の話題作りや問題提議だけだと思っています」というご質問です。

成瀬:確かに界面活性剤と聞くと、環境・健康によくないイメージがあると思います。ただボタニカル製品でも、油汚れが落ちるということは、必ず界面活性剤が入っているということです。

先ほどもご説明しましたが、界面活性剤は水と油を混ぜるような効能があります、また可溶化や、肌に浸透させる保湿効果もあります。したがって、取扱量を意識しつつ、この便利な機能と上手く付き合ってもらえればと思います。

荒井:世の中が界面活性剤を意識することにより、今後メーカーが使用量を変えてしまうなどの懸念はあるのでしょうか?

成瀬:世の中の声が大きくなれば、そのようなことが起こるかもしれません。しかし、着ている服に1つにしても、製造工程で糸を紡ぎやすくするような界面活性剤を使っています。そして、紡いだ後にはそれを落とす活性剤など、いろいろな用途で使われています。

このように、界面活性剤はあらゆるものに浸透していますので、このあたりは普及していくと考えています。

荒井:オレオケミカルという部分で、人体へのやさしさなどはありますか?

成瀬:昨今、森林伐採や野生動物の問題、働いている方の重労働の問題などがあります。当社はその部分にしっかりと対応したRSPO認証がありますので、特にパームに関しては、そのあたりの取り扱いを進めています。

質疑応答:競合他社と業界でのポジショニングについて

荒井:「競合他社というと、どのような企業になってくるのでしょうか? また、この業界での御社のポジショニングを教えてください」というご質問です。

成瀬:オレオケミカルを取り扱っている企業は多々ありますが、それを専門としている企業はあまり聞きません。ですので、ポジション的には当社の単独であると考えています。

荒井:業界でのシェアもかなり高いということですか? 

成瀬:シェアに関してはわかりませんが、オレオケミカルを専門で取り扱っている商社をあまり聞きません。

荒井:御社はそこに強みがあり、業界内でも立ち位置がしっかりとあると捉えてよいでしょうか?

成瀬:そのとおりです。

質疑応答:花王のケミカル事業について

増井:御社は花王のケミカル事業の主要代理店だということですが、花王の商品を独占的に卸売りしているのですか? 

成瀬:独占的といいますか、花王のケミカル事業の主要代理店として参加しています。

増井:他にも卸売りをしているのでしょうか?

成瀬:業界・業種によって得意分野があります。当社は基本的に植物系由来の油脂を取り扱っており、主要代理店の中での販売額は、2番目の位置となります。

質疑応答:大阪・関西万博のスポンサーについて

荒井:「大阪・関西万博へのスポンサードなどは予定されていますか? その場合、業績への影響をどのように考えていらっしゃいますか?」というご質問です。

成瀬:残念ながら今のところ、大阪・関西万博に関する具体的な動きはありません。しかし、それに関連した周辺の道路工事などで、当社の薬剤が動きつつあります。

荒井:万博自体に参加しなくても、その周辺のところで業績に影響があるかもしれないということですね。

株を見ている方は、そのあたりが楽しいポイントではないかと思います。

質疑応答:PRについて

荒井:PRに関して、「SNSなどはしていますか?」というコメントがありました。おそらくオリジナル商品に関しての部分だと思いますが、そのあたりはいかがでしょうか?

成瀬:ホームページのみです。

質疑応答:土木建設資材事業を続けている理由について

増井:「土木建設資材事業が赤字になっていますが、この事業を続けている理由が何かあるのでしょうか?」というご質問です。

成瀬:土木建設資材事業は、ご質問のとおり赤字が続いています。しかしながら、今期は若干利益を出している状況です。

界面活性剤を原料とした取り扱いで、社会のインフラに貢献していきたいと考えていますので、土木建設資材事業についても引き続きがんばって取り組んでいきます。

成瀬氏からのご挨拶

成瀬:本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。これをきっかけに、「昭栄薬品はおもしろい会社じゃないか」と気にかけていただけたら幸いです。本日は、どうもありがとうございました。

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