日経平均は様子見傾向の中で小幅に下落
2023年9月29日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、14円90銭安の3万1857円62銭となりました。四半期の決算期末を迎えることから機関投資家などによる資産配分の調整売りなども出ました。また、米国下院でつなぎ予算案が否決されたことから新しい会計年度が始まる10月1日から政府機関の一部閉鎖が行われるのではないかという見方が広がっていました。東京市場でも積極的に買いに回る投資家は少なく上値の重い展開となりました。
今週、日経平均はどのような値動きになるでしょうか。その米政治を巡る動向ですが、一時は政府機関の閉鎖が不可避と見られていたものの、土壇場で野党・共和党のマッカーシー下院議長が与党・民主党に歩み寄り、新たに提出されたつなぎ予算案が認められました。政府閉鎖が長期化すると米国債の格付けなどの信用力も低下することになります。
さらに政府の支出も止まるため米国の経済全体にも大きな影響を与えます。ひとまずはそれらを回避することができました。週初から日本株も底堅い展開になることが期待されます。
ただし、つなぎ予算が成立したとはいえ、あくまでもつなぎでしかなく、今回の法案も11月中旬までの期限があります。正式な予算を成立させるためには、それまでに与野党それぞれの賛成派・反対派の意見を取りまとめる必要があります。
今回、マッカーシー議長が歩み寄った背景には、11月の大統領選を控え、「政府閉鎖は共和党のせい」といった世論が形成されるのを避けたためとも言われています。大統領選を控え、今後も駆け引きが続きそうで、注意が必要です。
また気になるのは、やはり米国の金利動向です。米連邦準備理事会(FRB)は、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置きましたが、年内の追加利上げ余地があることが示唆されました。円安・ドル高傾向もあり、日本株に関心を持つ海外投資家も増えています。引き続き、海外の動向などに振られやすい展開が続きそうです。
心理的節目の3万2000円を割り込む
先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。前週はローソク足の実体が25日移動平均線、75日移動平均線をともに割り込んでいたことから、先週、これを挽回できるかどうかがポイントでした。実際には週初25日には陽線となって25日線、75日線をともに回復したもののその後は陰線が続き、両移動平均線を再度割りました。週末には終値ベースで心理的節目となる3万2000円も下回りました。
今後の展開はどうなるでしょうか。チャートの形はあまりよくありません。9月7日の高値(3万3322円)、9月15日の高値(3万3634円)によるダブルトップのような形で下落しています。ネックラインも超えました。ここから、直近の押し安値である8月18日の安値(3万1275円)を割ると、6月19日の高値(3万3772円)を始点とする中期的な下降トレンドラインが再度形成されてしまいます。
その点では、8月18日の安値を維持し、そこから反転して25日線、75日線を回復できるかどうか注目したいところです。両移動平均を回復し、さらに9月15日の高値(3万3634円)を超えることができれば、8月18日の安値を始点とする短期的な上昇トレンドラインが形成されます。
ただし、6月中旬から3万2000円~3万4000円の幅で上下動を繰り返しており、しばらくはこのチャネル内での動きになることも考えられます。
参考資料
下原 一晃