2017年12月6日、NEC(6701)と日本電産(6594)は、無線ネットワーク経由で小型コンピュータを内蔵したモータを遠隔からリアルタイムかつ高精度に協調制御する技術を共同開発したと発表した。

日本電産が主力事業とするモータは、ハードディスクドライブや電気自動車だけではなく、ロボット(自動搬送車、警備ロボット、災害時の調査ロボット、ドローンなど)にも採用が進んでいくと見られる。

また、こうしたロボットは、単体での作業のみならず、複数のロボットが協調して作業するように進化していくことが求められている。

今回の発表は、その実現のために、NECの無線通信技術と日本電産のモータ間同期技術を融合させることにより、ロボットをリアルタイムかつ高精度に協調制御することを実現するための取り組みである。

ちなみに、NECの無線通信技術は、無線ネットワークにおける通信遅延を考慮してモータの状態を正確に予測するとともに、予測に基づいた先回り制御により、モータのリアルタイムな遠隔制御を実現することに寄与している。

また、日本電産のモータ間同期技術は、小型コンピュータを内蔵した複数のモータ同士が密に会話することにより、モータ間、またモータを搭載した複数ロボット間での高精度な同期を可能としている。

この発表が注目される理由は以下の2点である。

第1は、通信機器大手のNECと、モータ大手の日本電産という異なる業種の両社がオープンイノベーションのかたちでコラボしたことである。

オープンイノベーションは、全てを自前で行うのではなく、互いに強みを持つ技術を持ち寄ることで、革新的で新しい価値をスピーディーに創り出す仕掛けであるが、今回のニュースは、こうした柔軟な取り組みを日本企業も積極的に取り入れ始めたことを示唆するものであり、注目に値すると考えられる。

第2は、IoTが、実験室でのコンセプトではなく、実際の現場での“使い勝手の良さ”を競う段階に入ってきたことである。

ロボットを通信ネットワークでつなげること自体は、それほど難しいことではない。ただし、実際の作業現場では、他の通信機器などからのノイズによる干渉を受け複数のロボットの連携が阻害されることも想定される。このため、今回の両社の取り組みは、そうした細かな部分にまで配慮したものと見ることができる。

こうした取り組みは、IoTの普及をより加速させていくと見られるため、今後も両社の動向を注視していきたい。

LIMO編集部