iDeCoを始めるとき「自分で運用した成果で将来受け取る年金額が変わる」ことに不安を感じる人も多いでしょう。そこで今回は、iDeCoで年金資産を運用していくうえで押さえておきたい基礎知識のひとつ、投資信託の「リスク」について見ていきます。

iDeCoで運用できる商品は「元本確保型」と「元本変動型(投資信託)」

iDeCoで運用できる商品は「元本確保型」と「元本変動型」の2つに分けることができます。

元本確保型とは、決められた金利で運用され、満期時に元本と利息を受け取ることができる商品です。代表的な商品は、「定期預金」や「保険」です

※中途解約をする場合には定期預金では中途解約利率が適用されて受け取る利息が少なくなったり、保険商品に関しては解約控除によって元本を下回るケースがあります。

一方、iDeCoで元本変動型といえば、投資信託を指します。投資信託は、投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、投資のプロが投資・運用を行い、その運用成果がそれぞれの投資額に応じて分配される仕組みの金融商品です。国内外の株式・債券・不動産投資信託(REIT)に投資するものや、複数の投資対象を組み入れて運用を行うバランス型などがあります。

投資信託は投資のプロが運用してくれることに加え、投資額が少なくても分散投資を実現できることなどがメリットです。また、投資信託は値動きのある株式や債券などに投資していくため、その基準価額は株式市場の動向などにより変動します。そのため投資信託には元本の保証はありません。運用がうまくいかずに損失が出る可能性もあります。

投資信託で運用するうえでの「リスク」とは

投資信託では、投資対象の種類ごとに基準価額に影響を与える様々な要因があります。これらにより価格が変動するボラティリティのことを「リスク」といいます。リスクというとつい“危険”という意味にとらえてしまいがちですが、投資の場合においては、値上がりも値下がりもリスクです。

価格の変動の振れ幅が大きいものを「リスクが大きい」といいます。よく「ハイリスク・ハイリターン」「ローリスク・ローリターン」などといいますが、これは振れ幅が大きいと大きな収益(損失)となる可能性が増す、あるいは振れ幅が小さいと収益(損失)も小さくなる可能性が増す、ということです。つまり、リスクとリターンは表裏一体の関係だといえます。

投資信託を運用するうえで考えられるリスクとしては、主に次のようなものが挙げられます。

価格変動リスク

価格変動リスクとは、投資信託が組み入れている株式や債券などの価格が変動することです。たとえば株式の場合なら、企業の成長性や収益性のほか、国内外の政治・経済情勢、為替、物価などの影響を受けてその価格は変動します。もしファンドに組み入れた株式や債券などの価格が下落したりすると、それは基準価額の下落要因となります。

信用リスク

企業の経営などに重大な危機が生じた場合、その株式を組み入れている投資信託にも損失が生じるリスクがあります。これを信用リスクといいます。企業倒産の懸念などから株価が大幅に値下がりしたりすれば、ファンドの基準価格の下落につながる要因となります。

為替変動リスク

円と外国為替相場の変動により、外貨建て資産の価値が変動することを為替変動リスクといいます。

たとえば100ドルの外貨建て資産があったとしましょう。円安で1ドル=100円が110円になれば、その資産は円換算で10,000円から11,000円に増えます。逆に円高で1ドル=100円が90円になれば資産は10,000円から9,000円に目減りしてしまいます。

外貨建ての株式や債券などの資産を含む投資信託を保有する場合には注意しておきたいリスクです。

金利変動リスク

金利の変動により資産の価値が変動することを金利変動リスクといいます。特に債券は、金利変動の影響を大きく受けます。

一般的に金利と債券価格の間には「市場金利が下がれば債券価格は上がり、市場金利が上がれば債券価格は下がる」という関係が成り立ちます。そのため金利が上昇すると債券の価格が下落し、債券を組み入れて運用を行っている投資信託の基準価額にマイナスの影響を与えることがあります。

カントリーリスク

投資信託には、特定の国や地域に特化して投資するものがあります。投資対象としている国や地域において、政治・経済情勢の変化などから市場に混乱が起きた場合、あるいは取引に新たな規制が設けられた場合などにおいて、基準価額が想定外に下落したり、方針に沿った運用が困難になる場合がありえます。こうしたリスクをカントリーリスクといいます。

一般的には、新興国の方が先進国よりカントリーリスクが高いとされます。

インフレリスク

継続的な物価の上昇(インフレ)によって、お金の実質的価値が低減するリスクのことをインフレリスクといいます。インフレが起きることで相対的にお金の価値が下落すれば、実質的な保有資産の価値は目減りしてしまいます。資産運用で考える場合には、運用する金融商品の利率などに比べて物価の上昇率が高い場合にインフレリスクが生じるといえます。

リスクを軽減するには

リスクとリターンは表裏一体、得られるリターンが大きくなる可能性がある、といっても損失が大きくなるのは避けたいと考えるのは当然です。ではリスクを軽減する方法はあるのでしょうか。

「卵は一つの籠に盛るな」という投資の有名な格言があります。卵を一つの籠に盛ると、籠を落とした時に中の卵がすべて割れてしまいます。それを防ぐためには別々の籠に分けて入れるべきである――この言葉は分散投資の必要性と、リスクを軽減する手法を示しています。具体的には次のような方法があります。

資産を分散する

投資信託の投資対象は国内外の株式・債券、不動産(REIT)などさまざまです。投資対象の異なる投資信託をいくつか保有することはリスクの分散につながります。面倒であれば複数資産を組み入れたバランス型を選ぶという選択肢もあります。iDeCoなら、元本確保型の定期預金などと分散して保有するというのも一手です。

時間を分散させる

投資対象が今後どのような値動きをするかはわかりません。そこで一度に全額を投資するのではなく、毎月決まった額を積み立てていくなどの方法で購入時期を分散させることにより買付単価を平準化することができます。iDeCoは定期的に一定金額で商品を購入する仕組みですから、おのずと時間分散は図られていくことになります。

まとめ

いかがでしたか? 投資信託ごとにリスクの種類や大きさは異なります。「リスクが大きい」商品は、値下がりしたときの損失が大きくなる可能性がある一方で、値上がりすれば大きな収益を得られる可能性も高い、ということになります。

iDeCoで投資信託を購入するのであれば、どの程度のリスクなら許容できるか、どう組み合わせるかといったことも考えて選ぶことが大切だといえます。運用とあわせて知識も少しずつ増やしていけるといいですね。

 

>>楽天証券のiDeCoについて詳しくみる(初心者でも厳選ファンドから選びやすい)[PR]

>>SBI証券のiDeCoについて詳しくみる(品揃え抜群。選べるファンドが多い)[PR]

LIMO編集部