30歳代と60歳代の賃金格差
30歳代と60歳代で賃金格差が生じているか確認しましょう。
●学歴別でみる賃金格差
学歴別にみると、【一覧表】のとおりすべての学歴で30歳代前半の給与より、60歳代前半の給与が高くなりました。
専門学校、大学、大学院では、60歳代前半の給与が30歳代の給与より上回っていました。
特に、大学院では年齢が高くなるにつれて給与水準が徐々に高くなっています。
学歴別でみると、世代間での賃金差が生じている傾向にありました。
●企業規模別でみる賃金格差
企業規模別にみると、学歴でみた傾向と同じく30歳代前半の給与より、60歳代前半の給与が高くなりました。
一般的に、同じ年代を比較すると、企業規模によって賃金格差が見受けられます。
世代間では学歴に比べると顕著な傾向になりませんでした。
社会保障における世代間格差は顕著
ニッセイ基礎研究所が2021年2月22日に発表した「社会保障に対する各世代の意識」によると、世代間の意識の分断は拡大しているとまとめました。
「現役世代の負担の上昇を緩和するために、高齢者の負担が今より重くなることはやむを得ない」と回答した割合は、若年層ほど多くなっています。
一方で、年齢が上がるにつれて「高齢者の負担は現状程度で留めるべきであり、少子高齢化による負担増は、現役世代が負担するべき」と回答する割合が高くなりました。
どの年代でも、他の世代へ負担をしてもらいたいと考える世帯がいるため、世代間による意識の差があると考えられるでしょう。
賃金や社会保障の格差は今後も問題になる
30歳代と60歳代の賃金は、現役世代である30歳代の賃金が、60歳代の賃金に比べ低いケースが見られました。
格差の定義はそれぞれありますが、現役世代より仕事をリタイアした世代の賃金が高い結果だけを見ると、不公平に感じる人もいるでしょう。
一方、社会保障の負担については、すでに格差を感じている人も一定の割合でいるといえます。
世代間の分断や不公平感が生まれないように、政府もさまざまなアプローチが求められるでしょう。
参考資料
川辺 拓也