FXは為替の値動きや通貨間の金利差を利用して利益を出す金融商品です。
今回はFXのメリットや注意点を確認した上で、その始め方を紹介します。
FX初心者の方や、これからFXを始めようと検討している方はぜひ参考にしてください。
この記事を読んでわかること
- FXのメリット
- FXの注意点
- FXの始め方
FXとは
FXとは、外国為替証拠金取引の通称であり、「Foreigin eXchange」を略した名称です。
金融庁では以下のように定義されています。
外国為替証拠金取引は、証拠金を差し入れて、日本円と米ドルなど、2つの国の通貨の為替相場を予測して売買を行う金融商品です。外国為替を英語で“Foreign Exchange”と表すことに由来して、外国為替証拠金取引は、通称、「FX」などと言われます。
出所:金融庁「外国為替証拠金取引について」
FXでは2つの通貨をペアにして売買を行います。
例えば、円とドルのペアで売買を行う場合には、次の取引が可能です。
- 円を売ってドルを買う
- 円を買ってドルを売る
なお、2の取引をするにあたってドルを用意する必要はありません。
トレードの結果は円によって決済することになります(このように決済に利用する通貨を決済通貨を呼びます)。
例)「USD/JPY(米ドル/日本円)」ならUSDは取引通貨、JPYが決済通貨となる。
FXで狙える利益
FXでは以下2種類の利益を狙えます。
- 為替差益
- スワップポイント
それぞれ詳しく解説します。
1. 為替差益
為替差益とは通貨間の為替レートの動きによって得られる利益のことです。
例えば、1ドル=100円の時に1万円をドルに交換したとしましょう。
この場合1万円を売って100ドルを購入したことになります。
その後、1ドル=200円に為替レートが変動したとします。
このタイミングで100ドルを売って円を購入すれば、2万円が手元に入ることになります。
もともと1万円だったものが2万円となりました。これが為替差益です。
ただし、為替レートが想定とは真逆に動けば当然損をすることになります(為替差損)。
2. スワップポイント
スワップポイントとは通貨ペア間の金利差で出す利益です。
例えば、政策金利が低い「円(-0.10%)」と高い「トルコリラ(17.5%)」のペアで取引をしたとしましょう(金利は2023年7月時点)。
この場合に円を売って、トルコリラを購入すれば、決済までの保有期間中は毎日スワップポイントが得られます。
ただし、逆に金利の低い通貨を買って(ここでは円)、金利の高い通貨を売った場合には(ここではトルコリラ)、その金利差分のスワップポイントの支払いが発生します。
また、同じ通貨ペアでもFX会社によってスワップポイントの数値が異なる点には注意が必要です。
FXの手数料
FX会社には、取引手数料をはじめとする各種手数料を無料としているところも多く、例えば、DMM FXでは実質的なコストをスプレッドのみとしています。
Q取引手数料(売買手数料)はいくらですか?A取引手数料(売買手数料)は無料です。スプレッドのみが、取引にあたって負担いただく実質的なコストとなります。
出所:DMM FX/CFD「手数料:質問・回答詳細」
スプレッドは以下の計算式で求められます。
計算式)スプレッド×取引数量
例えば、GMOクリック証券における米ドル/円のスプレッドは原則固定0.2銭です(2023年7月31日時点)。
この場合、米ドルを1万通貨取引するのであれば、「0.2×1万=2000銭」、つまり20円のコストが発生します。
FXの手数料は類似の金融商品である外貨預金と比べると安い傾向があります。
FXのメリット
ここではFX取引のメリットをより具体的に見ていきましょう。
以下の4項目について解説します。
- 少額でもスタートできる
- レバレッジを効かせた取引ができる
- ロスカットによる安全性の高い取引ができる
- 24時間取引できる
1. 少額でもスタートできる
FXは少額からでもスタートできます。
FX会社によっては1通貨からの取引もOKなので、場合によって数十円からスタートすることも可能なのです。
例えば、1ドル=100円だとすれば、100円から取引できます(手数料を考慮しない)。
<1通貨から取引可能なFX会社>
- SBI FXトレード
- MATSUI FX(松井証券)
2. レバレッジを効かせた取引ができる
FXでは口座に入金したお金(証拠金)の最大25倍の取引が可能です。
例えば、口座に10万円しかない場合でも、250万円相当の取引ができるということです。
1ドル=100円と仮定すれば、2.5万通貨(2.5万ドル)を購入できます。
この場合、1円の円安で2.5万円相当の為替差益が獲得できます。
ただし、テコの原理を効かせたリターンが狙える分、同じだけの損失を抱えるリスクがあることには注意しましょう。
3. ロスカットによる安全性の高い取引ができる
FXは証拠金の25倍の取引ができるリスクの高い金融商品です。
そのためロスカットというしくみが設けられています。
ロスカットとは損失が一定のラインを超えた場合に発動される強制決済のしくみです。
損失が致命的なレベルになる前に投資家を保護する制度とも言えます。
例えば、「みんなのFX」では、純資産(損益を加味した口座内の資産)が取引の維持に必要な金額(必要証拠金)の100%以下になった際にロスカットが発動します。
当社の「みんなのFX」では、FX口座の証拠金維持率を常に判定しており、証拠金維持率が100%以下になった場合にロスカットが執行され、保有しているすべてのポジションについて、自動的に決済の成行注文が発注されます。
出所:みんなのFX「みんなのFXのロスカットについて」
例えば、必要証拠金が100万円の取引をしている場合は、(損益を加味した)口座内の資産が100万円以下になった際にロスカットが発動することになります。
ロスカットは万能ではない
ロスカットは極めて優秀な装置ですが、決して万能ではありません。
為替相場の状況によっては上手く機能しないケースがあることも覚えておきましょう。
例えば、急な相場変動によって通貨が暴落している状況ではロスカットが間に合わないことがあります。
このようなケースでは必要証拠金の基準を大きく下回った価格で決済されることになります。
また、最悪の場合は証拠金がマイナスとなり借金を抱えるケースもあるので注意が必要です。
ロスカットを過信してあまりに高いレバレッジをかけることはおすすめできません。
4. ほぼ24時間取引できる
ほぼ24時間取引ができる点もFXのメリットです。
例えば、国内株の取引可能時間は平日の9時から11時半までと、12時半から15時までとなっています。
一方、FXであれば、世界各地に外国為替市場があるため、土日とメンテナンス時間を除いたほぼ24時間の取引が可能です。
※ただし、クリスマスは欧米の市場が休みになるなど、例外がある点には注意が必要となります。
FXの注意点
ここではFXに関する注意点として、以下の2項目について解説します。
- リスクの高い金融商品である
- 追証のリスクがある
1. リスクの高い金融商品である
FXは最大で元手(証拠金)の25倍の金額を取引できるリスクの高い金融商品です。
例えば、円を売ってドルを買ったとしましょう。
1万通貨(FXでは取引の単位を”通貨”で表します)の取引を行った場合は(以下のように)1円の円高でも1万円の損が発生します。
例)1ドル=100円の時に1万通貨の取引を行った場合(米ドル/円を買う※円を売ってドルを買うこと)
- 100万円を売って、1万ドルを購入
- 為替レートが1ドル=99円に変動(1円の円高)
- 決済すると円換算で99万円となるため1万円の損失が発生する
あくまで上記はレバレッジ1倍での取引における損失です。
レバレッジ25倍で取引していた場合は25万通貨の取引となるため、25万円の損失を抱えることになります。
2. 追証のリスクがある
FXはレバレッジを効かせることで口座にあるお金(証拠金)の最大25倍の金額を取引できます。
これは少ない金額でも大きな取引ができる一方で、借金を抱えるリスクを意味しています。
例えば、証拠金が100万円のなか、2500万円分の取引を行ったとしましょう。
1ドル=100円の時にドルを25万通貨(2500万円分)購入したとします。
この後で1ドル=99円に為替レートが変動すれば、25万円の損失が発生することになります。
つまり、FX口座内の資産は100万円から75万円へと減少したことになり、2500万円の取引に必要な証拠金が不足している計算となるのです。
このような場合には追証となり、追加証拠金の支払いを行う必要があります(もしくは、ロスカットとなります)。
最悪の場合は証拠金がマイナスとなることもあり、このようなケースでは借金の支払いが必要となります。
FXはどのような不測の事態に陥ったとしても自己資金でどうにかなる範囲で取り組むようにしましょう。
FXの始め方
ここからはFX会社の選び方から実際に取引をスタートするまでの流れを紹介します。
FXの始め方が分からずに悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
- FX会社を選ぶ
- FX会社の口座を開設する
- 口座に入金をする
- 取引する通貨ペアを決める
- 注文を行う
- 保有ポジションの決済を行う
ここではそれぞれのステップについて詳しく解説します。
1. FX会社を選ぶ
FXを始めるのであれば、まずは利用するFX会社を決めましょう。
FX会社を選ぶ際には以下のチェックポイントに注目することをおすすめします。
- スワップポイント
- 手数料(スプレッド)
- 最低取引単位
- 通貨ペア数
いずれもFX会社によって異なります。
とくにFX初心者であれば、最低取引単位に注目しましょう。
「SBI FXトレード」や「MATSUI FX(松井証券)」では1通貨からの取引が可能です。
1万通貨を最低ラインとしている「DMM FX」などと比べると参入ハードルが低く、取引に慣れるまでは損失を抑えた売買が可能です。
デモトレードができるかどうかも確認を
デモトレードとは、仮想のお金を使用したトレードができるサービスのことです。
初心者の方はFXに慣れる意味でもデモトレードの活用を積極的に検討しましょう。
ただし、FX会社によってはデモトレードを用意していないところもあるので、注意が必要です。
2. FX会社の口座を開設する
利用するFX会社が決まったら口座を開設しましょう。
FXの口座開設は以下のような流れで進みます。
- フォーム入力
- 本人確認書類の提出
- 審査
- 口座開設完了
FX会社によっては最短当日からの取引が可能です。
3. 口座に入金をする
口座開設が完了したらFX取引の原資となる証拠金を入金しましょう。
入金方法によっては手数料が無料となります。
4. 取引する通貨ペアを決める
入金が完了したら取引する通貨ペアを決めましょう。
通貨には流動性の高い(取引量が多い)メジャー通貨と流動性の低いマイナー通貨の2種類があります。
初心者であれば、米ドルやユーロといったメジャー通貨から始めると良いでしょう。
流動性が高い通貨は値動きが安定する傾向があるほか、米国や欧州の経済ニュースは比較的容易に入手できることから、初心者でも取り組みやすいはずです。
5. 注文を行う
取引する通貨を決めたら、次は注文に移ります。
注文方法にはさまざまな種類がありますが、まずは以下の3タイプを覚えておくと良いでしょう。
- 成行注文:値段を指定しない注文方法。すぐに約定(取引が成立)するが、現在のレートで約定するとは限らない。
- 指値注文:値段を指定する注文方法。現在より有利なレートを指定することで利益を狙う(安くなったら買うなど)
- ストップ注文:値段を指定する注文方法。不利なレートを指定することで損失の拡大を抑える(安くなったら売るなど)
6. 保有ポジションの決済を行う
注文が成立すれば、ポジションを保有することになります。
損益を確定させるためには決済注文が必要です。
決済注文は前述のストップ注文を利用するなどして、安全性の高い方法で行うことが大切です。
FXの始め方は簡単!最短即日から取引できる
FXは開設する口座によっては申し込みの当日から取引が可能です。
初心者の方は1通貨からの少額取引ができる「SBI FXトレード」や「MATSUI FX(松井証券)」などの利用を検討してみましょう。
参考資料
まとめ
- FXは6つのステップで始められる
- ①FX会社を選ぶ②FX会社の口座を開設する③口座に入金をする④取引する通貨ペアを決める⑤注文を行う⑥保有ポジションの決済を行う
- 「SBI FXトレード」や「MATSUI FX(松井証券)」は1通貨からの取引もできる
MeChoice編集部