終値が2万2,500円台へ。21年4か月ぶり高値を付ける
2017年11月2日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より119円04銭高の22,539円12銭となりました。終値が2万2,500円台に乗せたのは1996年6月28日(22,530円)以来です。
今週は立ち会いが4日間しかありませんでしたが、力強く上昇しました。背景としては、まず、衆院選で与党が大勝し、アベノミクスの継続で日本経済の回復が続くとの期待から、買いが入りました。また、国内では企業の決算発表がピークを迎えており、好業績銘柄を物色する動きが目立ちました。
米国の株式市場も好調です。3日に出た10月の米雇用統計で、非農業部門の雇用者数は市場予想に達しなかったものの堅調で、失業率は4.1%と2000年以来の水準に低下しました。同日発表された米サプライマネジメント協会(ISM)10月の非製造業景況感指数と9月の米製造業受注は、市場の予想を上回る改善でした。
これらを受けて、3日の米株式市場ではダウ工業株30種平均が4日続伸し過去最高値を更新しました。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も過去最高値で終えています。
今後の展開はどうなるでしょうか。注目すべきポイントは、株価が1996年6月26日の高値(終値22,666円)に迫っていることです。日本のバブル景気がピークアウトしたのは1991年2月で、そこからバブルが崩壊しました。その後の戻り高値が22,666円です。つまり、ここを超えると、長く続いたデフレ前の水準を取り戻すことになります。
現状はやや過熱感があります。商いも膨らんでおり、10月30日の東証1部の売買代金は概算で4兆373億円と、2016年2月12日以来、1年8か月ぶりの大きさになりました。その後、31日、11月1日、2日もいずれも3兆円を超えています。
いつ調整が入っても不思議ではないですが、このままするすると2万3,000円台に上昇することも考えられます。その場合は積極的に付いていきたいところです。
5日移動平均線にサポートされ、力強く上昇
今週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。10月2日から1か月間にわたり、5日移動平均線に下値をサポートされ、上昇を続けています。
今週は10月31日に窓をあけて反落して始まったため、いよいよ調整かと懸念されましたが、けっきょく5日移動平均線付近で反発し陽線となりました。翌11月1日は逆に窓をあけて上昇し、さらに長い陽線となり、ほぼ高値引けでした。
2日も、いったん2万2,500円台に乗せた後、利益確定売りから100円以上、反落する動きを見せましたが、大引けでは2万5,000円を回復しました。
過熱感の警戒はあるが、目線は上に持ちたい
今後の動きはどうなるでしょうか。急騰が続いていることから、25日移動平均線からの乖離率、騰落レシオ、RSIなどのオシレーター系の指標は過熱感を示しています。ただし、相場が強い上昇トレンドの場合は、数値が一方向に張り付いたままになります。「○%以上だからそろそろ」と逆張りを考えるのはややリスクがありそうです。
利益確定売りなどから目先の調整が入ったとしても、押し目狙いの投資家が多そうです。調整があった場合の下値めどとしては、5日移動平均線の22,200円付近、および目先の節として意識されやすく、1日の窓埋めとなる22,000円あたりになります。
25日移動平均線ももちろん下値めどになりますが、現状で21,300円付近と、わりと値幅があります。反落の判断までには時間がかかりそうです。
逆に目線を上に、22,666円超えから下値支持線への転換を確認し、さらに上のステージを狙っていくという戦略が妥当でしょう。
下原 一晃