猛暑が続くイタリア、路上でスイカを販売する屋台を目にする季節になりました。重さ10キロほどもあるスイカを買い込んで、家族で涼をとるのが夏の慣習です。

バカンスのために移動を始めたイタリア人たちが楽しみにしているもののひとつが、郷土料理です。イタリアは各地域の郷土食が根強く残っているため、土地によって料理がガラッと変わります。

日本でも人気のカルボナーラも、実はある土地の郷土料理なのです。今回はイタリアの郷土食事情について解説します。

イタリアの風土の中で発展した郷土料理

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日本と同じように南北に長いイタリアは、各地で気候や土壌が異なります。古代から豊かな土壌と乾燥した空気に恵まれたイタリア南部では、乾燥パスタが生まれて発展しました。

一方、日照時間が短く降雨量も多い北イタリアでは乾燥パスタの生産は難しく、生パスタが幅を利かせています。パスタの形状も様々、正確な統計ができないほどの量で、わかっているだけでも200種を超えるという説もあります。

パスタひとつをとってもこれだけの相違があるイタリアは、郷土料理も多彩。たとえば世界で最も愛されるイタリア料理・カルボナーラは、イタリア北部では食べられないなんてことも起こります。

日本では数年前にバーニャ・カウダが有名になりましたが、ローマやナポリのレストランのメニューにその名を見出すことはほぼありません。つまり私たちがイメージする「イタリア料理」の多くは、イタリアの郷土料理なのです。