厚生労働省が2022年8月24日に発表した「令和4年度 離婚に関する統計の概況」によると、2020年の離婚件数は19万3000組でした。

離婚をする場合、夫婦の資産は一般的に折半しますが、将来受け取れる年金も分割できます。

では、年金の分割で妻から夫にいくら分割してもらえるのでしょうか。

今回は、離婚に関する年金分割制度と、分割によって増える年金額がいくらになるか解説します。

1. 離婚時の年金分割の制度

年金の分割方法は「合意分割制度」と「3号分割制度」の2種類があります。

それぞれの内容を確認していきましょう。

1.1 合意分割制度

合意分割制度とは、厚生年金の保険料納付記録を分割する制度です。

以下の条件に該当していれば、夫婦または夫婦どちらかの請求で、婚姻期間中の厚生年金記録を分割できます。

  • 婚姻期間中の厚生年金記録がある
  • 当事者の合意または裁判手続きにより按分割合を定めている

年金分割は、収入の高い側から少ない側に行われるため、妻の収入が高ければ、夫側に年金が分割されます。

1.2 3号分割制度

3号分割制度は、婚姻期間中の第3号被保険者期間における相手方の厚生年金を、2分の1ずつ分割できる制度です。

一般的に、国民年金の第3号被保険者から請求を実施します。3号分割制度は2008年4月1日にスタートした制度なので、それ以前に第3号被保険者だった場合は、分割の対象となりません。

それぞれの制度で分割できる年金は「厚生年金」のみです。

そのため、元配偶者が自営業やフリーランスで厚生年金に加入していない場合は、分割できません。また、対象となる期間は婚姻している間だけです。

次に、年金の分割請求の手続き期限について確認していきましょう。