吉祥寺商店街に佇む、重厚感のある入り口が特徴的なtoulouse。一歩足を踏み入れると、ヴィンテージな内装と今っぽい空気感が見事にマッチした不思議な雰囲気に引き込まれる。今回はtoulouseオーナーである田辺さんに、オープンの経緯からファッションの考え方までを伺った。
馴染みのある場所でオープンさせたかった
ー お店を開くにあたってのきっかけは何だったのですか?
もうその時には40歳を超えていたので、自分の将来考えたら自分でやるしかなかった、という感じですね。できることを自分でやろうと思いました。
ー 前職は何をされていたのですか?
洋服を作ったり、インテリア雑貨や古着等の輸入をしている会社で、メンズ小売部門の責任者を担当していました。会社にいたのは9年くらいですかね。その後すぐ、2009年の5月にtoulouseをオープンさせました。
ー なぜ、この場所を選んだんですか?
吉祥寺が一番自分にあっていてやりやすそうな感じがしたからです。原宿や代官山などの都心ではなく、地元商店街のようなところでやりたいということと、住まいが近く、昔から馴染みのある吉祥寺は強い選択肢として候補に上がりました。
今は沢山ありますけど、その当時はメンズのお店が非常に少なかったんです。商店街に来る男性も少ないし、不動産屋さんにはここでメンズショップをオープンさせるのは難しいんじゃないかと言われました。
もっと自由な発想でファッションを楽しんで欲しい
ー 取材前にHPを拝見してレディースのお洋服もあることを知ったのですが、最初はなかったんですか?
そうですね、元々はメンズ100%としてスタートさせました。ただ、”誰が何を着てもいい”と僕は思ってるんで、女子が男の服を着るのも非常にスタイルとしてかっこいいなと思いますし、そういう考えのもと、女性にメンズ服を提案していましたし、今もしています。
明らかにレディースだとわかるものは3割くらいですが、基本的には僕の考えとしてある、”女性が着てもファッションとして成り立つもの”を選んでいます。自由な発想でファッションを楽しんでほしいという思いがあるので。
ー ショップコンセプト、バイイングのコンセプトは?
キーワードとしては”Daily・Standard・Constant・Favorite”です。ワードローブの中に組み込まれていて、クローゼットを開くとついつい手が伸びちゃうような、日常的に役に立つものを置いています。
ー 役に立つもの、というのは「トレンドに流されない、ベーシックなもの」ということでしょうか?
トレンドを追うことも役に立つことだと思います。でも、それだけだと今しか着れなくて結局”役に立たないもの”になっちゃうので、その反面来年も再来年も使えるようなものっていうものを揃えていきたいですね。
トレンドの気分ももちろん味わえて、でもずっと持っていても安心して着回しもできるもの、ですね。
ー お店にはセレクトだけでなく、オリジナル商品もあるんですよね?
自分のブランドを持っている人と共同で企画をしていて、僕がアイデアを出して、形にしてもらっています。僕自身が横はゆったり、身長は160ちょっと、といった体型なんですけど、そのサイズ感で作ったものがこのGジャンです。
これはレディースサイズ、メンズサイズがあるんですけど、メンズサイズは身幅がゆったりしていて、着丈が短いです。平置きすると真四角なシルエットになるんですが、後ろの裾を絞れるようにして、身幅を幅広く対応できるようなものになってます。
地元の憩いの隠れ家を、今もそのまま残している
ー 店内のヴィンテージ感がとても素敵だなと思うのですが、何かこだわっているところなどはあるんですか?
これ実は居抜き物件で、元々は昭和47年にオープンした喫茶店だったんです。おじいちゃんおばあちゃんがやっていた、昔の喫茶店そのままなんですよ。
僕が手を加えたのは天井の照明とエアコンと試着室だけで、照明は元々壁の間接照明しかなくて、薄暗くてムーディーでシックな雰囲気だったので付け足しました。だから今もレジ裏には、当時コーヒーを入れていたキッチンがあるんですよ。
toulouseをオープンさせた当初はもっと商店街の奥の方でやっていたのですが、もう少し広いところに引っ越したいなと思っていた時にちょうど不動産屋さんからここの話を聞いて、即決しました。グリーンヒルっていう名前の喫茶店だったんですが、今もお店の看板にはグリーンヒルの名前を入れています。
自分にあったファッションを見つけてほしい
ー ディスプレイで気をつけていることはありますか?
ブランドごとに分けて、自分に合う、合わないブランドを見つけてもらいやすくしています。体型に合わないとか、好みとかあると思うんですけど、合う見つけてほしいと思って。自分にとって合うブランドを知って、覚えていてもらったら次からそのブランドを中心に探せばブレることがないので。
肩幅が小さかったり着丈等が短くて、華奢で小さい人によく似合うブランド、逆に身長が高い人によく似合うブランド、と両方あるので、自分の体型にあったものを選んでもらうことでもっとお客さん自身のファッションが豊かになればいいなと思っています。
ー ブログも拝見したのですが、スナップをよくアップされていますよね。写っている方はスタッフの方ですか?
いえ、ほぼほぼお客さんです。試着してもらって、すごくこのコーディネートかっこいいから写真撮ろうよっていう流れで撮らせてもらってます。店頭にも撮らせてもらった写真がたくさんあります。
ー このアルバムすごい写真の量ですね!コーディネート案がたくさんあって参考になります。
そうですね。500ギガのハードディスクが全部埋まるくらいの量はあります(笑)
ー 今後やっていきたいことはありますか?
もう1店舗、2店舗やりたいなと思ってます。実はここに移転する時に、前の店舗をレディースメインのお店に変えてやっていたのですが、それは無くなってしまって。将来またレディース・メンズ関わらず、何かこことは違う形でチャレンジしたいなと思ってます。
ー 本日はありがとうございました。
取材後記
オリジナル商品も、毎年改良と研究を重ね、常にお客様の”お気に入り”になり得るファッションを追求している田辺さん。カップルで行っても、きっと兼用で使えるであろうアイテムがたくさん見つけられるはず。
型にはまった着方や選び方ではなく、自由にファッションを楽しめるtoulouseにぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか?
toulouse
PLACE:東京都武蔵野市吉祥寺本町2丁目25−8
HP:https://toulouse.jp
TEL:050-3311-1615
OPEN:12:00~21:00
FACY