企業の業績動向や社会情勢の変化などによって、株価が大きく変動することがあります。

株価の動向は株式投資のリターンに大きな影響を与えるため、注意を払う必要があるでしょう。

株式投資のリターンを考える際は、配当金や株主優待だけではなく、株価変動も含めてトータルで考えることが大切です。

今回はイオン(8267)について、配当金や株主優待、株価もあわせた「1年前に100株を買った人の本当のリターン」を確認します。

※記事中で記載の株価は全て終値となっています。
※株式分割の影響は全て遡及修正して株価を調整しています。

1. イオン(8267)の配当金のリターンはいくらか

イオンの株式を1年前に買い、持ち続けたとすると、「2023年2月期の中間配当と2023年2月期の期末配当」の計2回を受け取ることができます。

出所:イオン株式会社「2023年2月期 決算短信[日本基準](連結)」

なお、配当基準日を迎えた時点でリターンが確定したとします。

今回の検証では、以下のような想定となります。

  • 株式の取得日:2022年6月14日 
  • 株式の取得価格:2202円(取得日の終値)
  • 2023年2月期・中間配当:18円 
  • 2023年2月期・期末配当:18円
  • 100株ベースの配当金のリターン:3600円

それでは次に、株主優待のリターンを計算していきます。

2. イオンの株主優待のリターンはいくらか

イオンは決算期(2月28日)現在、100株以上保有する方に向けて優待カード(オーナーズカード)を提供しています。

出所:イオン株式会社「株主優待制度」

買い物時にオーナーズカードを提示することで、買い物金額の一部が返金されます。返金率は保有株数によって異なり、100株保有の場合は3%です。

  • 100~499株:3%
  • 500~999株:4%
  • 1000~2999株:5%
  • 3000株以上:7%

株主優待の経済価値は買い物金額によって異なるため、優待のリターンは0円とします。

3.  イオンの株式投資のトータル・リターンはいくらか

以上、配当金と株主優待のリターンについて振り返ってきました。

次に、株価変動によるリターンを計算します。

  • 株式の取得日:2022年6月14日
  • 株式の取得価格:2202円(取得日の終値)
  • 取得から1年後の日付:2023年6月14日
  • 1年後の株価の終値:2821円
  • 100株ベースの株価変動によるリターン:+6万1900円

そして最後に、トータル・リターンを計算します。

  • 配当金のリターン:3600円
  • 株主優待のリターン:0円
  • 株価変動によるリターン:+6万1900円
  • トータル・リターン(金額ベース):+6万5500円
  • トータル・リターン(%ベース):+29.7%

トータル・リターンは金額ベースで+6万5500円でした。

4. イオンの配当推移を確認

イオンの株式の年間リターンは+29.7%でした。

最後にイオンの配当金の推移を確認しましょう。

出所:イオン株式会社「配当状況」

今回確認したように、「配当金」「株主優待」「株価変動」に分けて考えると、より具体的なリターンを把握しやすくなります。

株式投資をする際は、配当金や株主優待の内容だけではなく、株価動向もしっかり確認しましょう。
 

参考資料

加藤 聖人