2.「厚生年金・国民年金」みんなの受給額はいくら?
年金というと「不安」、「不足」といった言葉が真っ先に思い浮かぶという方は少なくないと思います。では、いま年金を受給しているシニア世代の人たちは、実際に毎月どれくらい年金を受け取っているのでしょうか。
厚生労働省が公表した「令和3年度厚生年金・国民年金事業の概況」を参考に確認していきます。
2.1「厚生年金」平均受給月額
まずは、会社員・公務員などが受け取る厚生年金の受給額について見ていきます。厚生年金の平均受給額は、以下のとおりです。
- 男性:16万3380円
- 女性:10万4686円
- 全体:14万3965円
※基礎年金(国民年金)月額を含みます。
厚生年金の受給月額を1万円刻みで細かく見ていきましょう。
※「厚生年金保険(第1号)年金月額」には、基礎年金(国民年金)月額を含みます。
- 1万円未満:9万9642人
- 1万円以上~2万円未満:2万1099人
- 2万円以上~3万円未満:5万6394人
- 3万円以上~4万円未満:10万364人
- 4万円以上~5万円未満:11万1076人
- 5万円以上~6万円未満:16万3877人
- 6万円以上~7万円未満:41万6310人
- 7万円以上~8万円未満:70万7600人
- 8万円以上~9万円未満:93万7890人
- 9万円以上~10万円未満:113万5527人
- 10万円以上~11万円未満:113万5983人
- 11万円以上~12万円未満:103万7483人
- 12万円以上~13万円未満:94万5237人
- 13万円以上~14万円未満:91万8753人
- 14万円以上~15万円未満:93万9100人
- 15万円以上~16万円未満:97万1605人
- 16万円以上~17万円未満:101万5909人
- 17万円以上~18万円未満:104万2396人
- 18万円以上~19万円未満:100万5506人
- 19万円以上~20万円未満:91万7100人
- 20万円以上~21万円未満:77万5394人
- 21万円以上~22万円未満:59万3908人
- 22万円以上~23万円未満:40万9231人
- 23万円以上~24万円未満:27万4250人
- 24万円以上~25万円未満:18万1775人
- 25万円以上~26万円未満:11万4222人
- 26万円以上~27万円未満:6万8976人
- 27万円以上~28万円未満:3万9784人
- 28万円以上~29万円未満:1万9866人
- 29万円以上~30万円未満:9372人
- 30万円以上~:1万4816人
厚生年金の平均受給額(月額)は約14万4000円ですが、ボーリュームゾーンは「9万円以上~11万円未満」、次いで「17万円以上~18万円未満」とバラつきがありますね。これは、厚生年金の受給額が現役時代の収入や勤続年数(厚生年金加入期間)によって決まることが影響していると考えられます。
また、男女別で見ると、女性は男性より平均受給月額が約6万円も低いことがわかりました。女性は、出産や育児をきっかけに働き方に変化がでるケースが多いことから、男性よりも受給額が低くなるのだと考えられます。
2.2「国民年金」平均受給月額
次に1階部分である国民年金(基礎年金)をみてみましょう。
- 男性:5万9013円
- 女性:5万4346円
- 全体:5万6368円
先程と同じく、受給金額を1万円ごとに分けると、以下のようになります。
- 1万円未満:7万27人
- 1万円~2万円未満:28万4152人
- 2万円~3万円未満:90万3006人
- 3万円~4万円未満:274万9550人
- 4万円~5万円未満:463万6048人
- 5万円~6万円未満:791万730人
- 6万円~7万円未満:1500万3006人
- 7万円以上:187万2466人
男女の差はほとんどなく、おおよそ5万円台となっています。
国民年金を40年間(480カ月)納めた場合、2023年の受給額は満額で6万6250円となります。自営業やフリーランスでお仕事されてきた方は、国民年金のみの受給となるため、年金だけで老後生活を送ることは極めて難しいと言わざるを得ません。
3. 老後に向けた資産形成は必須
ひとことで「平均」といっても、実際の受給額は人によって大きく異なることがわかりました。いまのシニアの年金事情を知り、また自分は将来どれくらいもらえるのかを大まかでも把握しておく必要があるでしょう。年金だけでゆとりある老後を過ごせるという方は多くはないと考えられます。自分が年金を受け取る頃には状況が好転しているかも、と期待したいところですが、少子高齢化が加速するいまの日本では難しいでしょう。
不確かな未来に向けて、わたしたちが取り組んでおきたいことが「資産形成」です。老後に向けて、資産をふくらませていく必要があるのではないでしょうか。
昨年から、高校で投資教育の授業が始まりました。2024年からはNISAの制度が大きく変わります。このように、資産運用はわたしたちの身近なものになりつつあります。低金利の預貯金だけでは、資産を増やすことは難しい現代。運用商品を取り入れながら資産形成をしていく必要がありそうですね。
いきなり始めるのが不安だという場合は、本を読んだり、周りでやっている友人に話を聞いたりするなど、まずは情報収集から始めてみるのはいかがでしょう。
参考資料
荻野 樹