年収が高くても意外と大変
表の数字を見ると、年収が600万円以上という方は少なくありません。
しかし、収入が多い場合それなりに所得税が高くなります(所得税は累進課税のため、所得が多ければ税率は高くなります。住民税は、所得に関係なく一律10%の課税)。
例として2人の手取り額を見比べてみましょう。
- 給与収入600万円(40歳)男性・東京都内に居住の夫婦共働き
(月収36万円、ボーナス84万円を2回 合計600万円)他に控除がないものとする。 - 給与収入1000万円(40歳)男性・東京都内に居住の夫婦共働き
(月収60万円、ボーナス140万円を2回 合計1000万円)他に控除がないものとする。
※他の控除や家族の状況に応じて、税負担は変わります。
※社会保険料については、月収とボーナスの状況によっては変わることがあります。
税金や社会保険料が引かれることにより、年収600万円の手取りは455万9900円、年収1000万円の手取りは696万6972円となりました。
社会保険料の負担も多いため、収入に対し手取り額は多くないと感じる方も多いでしょう。
収入が多いと、支出が多くなることもあります。
退職後の再雇用や役職定年などを除き、一般的に同じ会社に勤務し続けている方は、大きく給与が下がることは少ないでしょう。
収入が多い時に貯蓄や運用をせずに、もらっているだけ消費をしていると、退職した時に生活水準を変えることができず、苦労している方も多く見かけます。
収入が多い時こそ、将来のことを考えることも大事なことです。
ただし、お子さんの学費など一時的な支出については、必要な支出なのでしっかりと準備し使いましょう。
年収を早く高く維持できれば将来の給与も安定
年収600万円以上の割合を見ていきました。
現在はいろいろな働き方があります。多くの方は正社員で働いていますが、非正規で働き続けている方もいます。
最近では、いろいろな業種で人手不足となっており、しっかりと仕事ができます。
大手企業では、給与の上昇が進んでいますし、新卒の学生の方も給与が高くなっています。
一方で、人件費をかけられない企業、費やせない企業では給与を上げることはできません。
経済活動の中でモノの値段が上がることは仕方のないことですが、モノの値段が上がるうえで、人件費にもしっかりと反映されなければ、苦しくなる方が増えてきます。
また、昇進を望まない方もいらっしゃいます。
現在の収入で満足しているという方もいらっしゃいますが、現在の仕事や収入がいつまで続くかわかりません。
この先、どんな事があるかはわかりませんが、知識や経験などはしっかりと持っておくことで、もしもに備えることもできます。
今の世の中は人手が足りない状況ですが、景気サイクルの中で、またAIの進行状況で、数年経つと仕事が足りない状況になるかもしれません。
できることなら、年収を早く高い状況で維持する方が、将来の給与を安定することにもつながります。
参考資料
- 国税庁「令和3年度 民間給与実態統計調査」
- 国税庁「No.1410 給与所得控除」
- 国税庁「No.2260 所得税の税率」
- 協会けんぽ「都道府県ごとの保険料額表(令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表)」
- 厚生労働省「令和5年度雇用保険料のご案内」
香月 和政