日経平均は3万円台の大台へ

2023年5月19日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日比234円42銭高の3万808円35銭となりました。17日に終値ベースで3万円を突破し、その後も続伸しました。終値ベースで3万円を超えたのは2021年9月28日(3万183円)以来です。また、終値ベースでバブル最高値だったのは2021年9月14日の3万670円でしたが、それも超えました。

19日は前日の米株式市場で、ダウ工業株30種平均など主要な指数が上昇していることに加えて、外国為替市場で1ドル=138円台まで円安・ドル高が進んでいることから、自動車、機械など輸出関連銘柄が買われました。東証プライムの売買代金は概算で3兆4097億円と活況の目安となる3兆円を超えました。

今週、日経平均はどのような値動きになるでしょうか。19日のダウ平均は前日比109ドル28セント安の3万3426ドル63セントで終えています。3日ぶりの反落です。米国の債務上限問題を巡り、政府と野党・共和党の協議が難航していると伝わったことで先行きが懸念され、売られる展開となりました。

日本株は米株の動向を受けやすいので、通常であれば、下値圧力となるところです。ただし、足元の相場で難しいのは、日本株が米株の動きと必ずしも同調していないところです。むしろ外国人投資家を中心に、米国市場におけるリスク回避先として日本市場が選ばれているようにも思えます。その点では、米国の債務上限問題は、日本株にとってむしろ追い風といっていいかもしれません。ただし、直近で急上昇していることから、利益確定の売りも出やすいところです。

日経平均はバブル後最高値を更新し、約33年ぶりの高値圏となっています。当時は世界の時価総額トップ10に日本企業が並んだ時代でした。当時とは状況も異なり、このまま史上最高値(1989年12月29日につけた3万8915円)まで上昇し更新するかどうかは判断が難しいところではありますが、力強さは感じます。警戒感は持ちながらも、上を目指す動きにはついていきたいところです。

バブル最高値を更新し、長期的にも上昇トレンドへ

先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。前週はローソク足の実体が短くもみ合うような展開が続いた後に、週末にやや長めの陽線となり、もみ合いを上抜けました。これを維持できるかどうかがポイントでした。実際には、週初15日から連日窓をあけて急上昇し、17日水曜日には終値ベースで3万円台を回復しました。その後も、窓をあけて上昇すると、週末19日にはバブル後最高値も突破しました。

今後の展開はどうなるでしょうか。チャートの形は典型的な強い上昇トレンドを示しています。中期的に見ても、9月14日のザラ場高値(3万795円)も突破したことから視界は広がっています。

直近の急上昇で、押し目狙いが難しくなっています。心理的節目となる3万円や、2021年9月14日および2月16日の高値(3万714円)があることから、このあたりまで押して、下値がサポートされるのを確認した後にエントリーするという方法もあるでしょう。週足ベースなどの中長期的な視点で見ると、1989年12月の、まさにバブル最高値まで、目立った節はありません。視界はかなり広がっています。

ただ、ここまで急上昇すると「そろそろ下がるのでは」と考えがちですが、安易に予測するのではなくチャートが「売り」を示すまでは積極的にトレンドをフォローしていきたいところです。

参考資料

下原 一晃