ソニーも米国で発売開始
最近、音声で操作するスマートスピーカーの話題が増えています。人工知能で音声認識を行うため、AIスピーカーとも呼ばれます。
米国では、これまでのところ2014年から製品を販売しているアマゾンが圧倒的なシェアを確保していると言われ、これをグーグル(2016年に参入)やアップル(2017年予定)などが追っています。
日本ではLINE(3938)やNTTドコモ(9437)が先行体験版のトライアル販売を今夏に開始しており、ソニー(6758)も8月31日から米国で販売を開始しています。
さらに、今後はパナソニック(6752)やオンキヨー(6628)などの参入も伝えられています。
値段は比較的手ごろ
スマートスピーカーでは、話しかけることで好きな音楽を流したり、天気予報や渋滞情報などにアクセスしたりすることが可能です。このため、値段が手ごろであれば買ってみたいとお考えの方も多いのではないでしょうか。
その気になる値段ですが、米国での販売価格は以下のようになっています(注:いずれも現時点では日本での購入はできません)。
「Amazon Echo」:139.99ドル(1ドル110円換算で約1万5,400円)
「Amazon Echo Dot」(Echoのコンパクト版):39.99ドル(約4,400円)
「Google Home」:109ドル(約1万2,000円)
「Sony LG-S50G」:199ドル(約2万1,900円)
また、日本でLINEが7月に発売した「WAVE」の機能を絞ったトライアル版は1万円、今秋発売予定のフルスペックの製品版は1万5,000円で発売されると伝えられています。
このように、いずれもさほど高価な製品ではないため、早く日本語対応品が充実してくることを期待したいと思います。
スマートスピーカーを選ぶポイントは?
言うまでもなく、スマートスピーカーが既存のBluetoothスピーカーと決定的に異なるポイントは「音声対話型AIアシスタント」が組み込まれていることです。
単純に好きな場所で音楽を楽しみたいというのであれば、Bluetoothスピーカーやイヤホンで十分です。また、音楽は必要ないが、ネットを音声で操作したいというのであれば、スマホの「Siri」などを活用すればよいと思います。
このため、スマートスピーカーを手に入れたいのであれば、スピーカーの音質だけではなく、音声対話型AIアシスタントの使い勝手(正確に聞き取ってもらえるかなど)や、付随するサービスの充実度(音楽ストリーミングなど)もチェックすることをお勧めします。
今後の注目点
冷静に考えると、スマートスピーカーは果たして今すぐに買うべき商品なのかという疑問が湧いてきますが、今後のテクノロジーの変化という点では極めて興味深い動きです。
というのは、スマートスピーカーで使われるアップル、アマゾン、グーグルなどが提供する音声対話型AIアシスタントという技術は、今後のコンピュータなど情報デバイスのプラットフォームにパラダイムシフトをもたらす可能性が大きいと言われているためです。
コンピュータへの情報の入力場所の変遷を振り返ると、パソコンはキーボードを打つため「デスク」が必要とされましたが、スマホではタッチパネルを「手のひら」で操作するためデスクは不要です。そして今後、情報入力が音声でより簡単に行われるようになると、手のひらすら不要となります。
こうしたコンピュータの変遷により、プラットフォーム、つまりOS(オペレーティングシステム)を提供する企業も変化してきました。具体的には、パソコンの時代はマイクロソフト、スマホの時代はグーグルやアップルといった具合です。
音声対話型AIアシスタントというプラットフォームの覇者をめぐる競争はまだ始まったばかりであるため、今後、誰が勝者となるのかを判断するのは時期尚早でしょう。とはいえ、スマートスピーカーでの競争もその一端であるため、今後の動きには大いに注目していきたいと思います。
LIMO編集部