日本年金機構は、2023年4月から国民年金が67歳以下の人で月額6万6250円になると発表しました。
2022年度と比べ原則2.2%増となり、3年ぶりの引き上げとなります。
年金を受け取るためには、自分自身で手続きしなければなりません。
では、手続きに必要な書類「年金請求書」はいつ届いて、チェックすべきポイントはあるのでしょうか。
今回は「年金請求書」の届くタイミングや注意点について解説します。
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1. 年金請求書はいつ送付される?
年金請求書は、受給開始年齢に到達する約3ヵ月前に日本年金機構から本人宛に送られます。
年金請求書に必要な項目を記入して、最寄りの年金事務所に提出すると、年金の受給手続きが完了となります。
提出の際は、年金請求書の他に添付書類が必要です。
すべてのケースで、戸籍謄本や受取先金融機関の通帳等を添付して提出します。
また、厚生年金の加入期間や年金をいつから受け取るかで異なるので、詳細は最寄りの年金事務所まで相談しましょう。
2. 年金請求書で見るべきポイント
年金請求書が届いた後に、チェックすべきポイントを2つのケースに分けて紹介します。
- ケース1:年金加入記録にもれや誤りがないか
- ケース2:年金を繰下げ受給する予定があるか
それぞれのケースで、チェックしておきたいポイントを確認していきましょう。
2.1 ケース1:年金加入記録にもれや誤りがないか
年金加入記録にもれや誤りがないか確認しましょう。
年金請求書には、これまでの年金の記録が記載されています。
受給金額に影響する項目なので、必ずチェックしておきましょう。
年金の記録は「ねんきんネット」でパソコンやスマートフォンから確認できます。
万が一、記載漏れや誤りがあった場合は、近くの年金事務所に問い合わせてください。
2.2 ケース2:年金を繰下げ受給する予定があるか
繰下げ受給とは、65歳で年金を受け取らず、66歳から75歳までの間に支給開始を遅らせる制度です。
1ヵ月単位で繰下げ受給が可能で、年金額は0.7%ずつ増額します。
年金加入記録の内容のチェックは書類が届いてからチェックできますが、年金の繰下げをするかは、事前に計画しておく必要があります。
年金請求書が届く前に、どのような受け取り方をすべきか、事前に決めておきましょう。
3.年金の時効
年金請求書の提出がされていないと、年金は支払われません。
もし年金請求書を提出しなくても、期限内に提出すればさかのぼって年金の受給は可能です。
しかし、受給権が発生して5年が経過してから、国が時効の成立を主張すると年金を受ける権利が消滅します。(=時効の援用)
年金は、時効である5年より前にさかのぼって受給できないと考えるべきでしょう。
また、65歳の3ヵ月前に日本年金機構から送られてくる年金請求書(はがき形式)は、66歳を過ぎると使えません。
近くの年金事務所か年金相談センターにある年金請求書を使う必要があります。
4. 時効の5年を過ぎてしまった場合は年金の請求を諦める?
年金の受給権が発生してから5年が経過してしまった場合は、書面で申し立てを行い時効消滅させない手続きもおこなえます。
また、過去に年金の記録が訂正されたり事務処理が誤っていた場合は、時効の援用を国が行いません。
もし年金の請求手続きをせずに5年経過していても、さかのぼって請求できる可能性はあるので、早めに手続きを行いましょう。
5. 年金をいつ受け取るかあらかじめ計画しておきましょう
年金請求書は、年金の受給開始年齢に到達する3ヵ月前に到着します。
年金請求書が届いたら、記載内容に誤りがないか必ずチェックしましょう。
日本年金機構から送られる年金請求書は、66歳を過ぎると使えません。
年金の受給手続きは、早めに済ませましょう。
受給権が生じてから年金の請求手続きを5年間しなければ、時効となり年金がさかのぼって受け取れなくなります。
手続きの漏れや抜けを防ぐためにも、自分がいつから年金を受け取るべきなのか、まずは計画をしっかりと立てましょう。
参考資料
- 日本年金機構「令和5年4月分からの年金額等について」
- 日本年金機構「「年金請求書(事前送付用)」は、いつ頃、どのような人に送付されるのですか。」
- 厚生労働省「年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
- 日本年金機構「年金の時効」
- 日本年金機構「65歳になり「年金請求書(国民年金・厚生年金保険老齢給付)」が送られてきましたが提出期限を過ぎてしまいました。どうすればいいですか。」
川辺 拓也