3. 老齢年金の見込額を確認する2つの方法
「自分はどれくらい年金をもらえるんだろう」という漠然とした疑問を解消するために、老齢年金の見込額を把握する方法を2つご紹介します。
3.1 その1. ねんきんネット
ねんきんネットであれば、最新の年金記録をいつでもチェックすることができます。また、将来受け取る老齢年金の見込額を試算することも可能です。
年金加入状況は働き方の将来の年金額を定期的にチェックすることができ、老後資金を計画する際に役立つでしょう。
- ユーザIDの取得:基礎年金番号やメールアドレスを利用
- マイナポータルへの連携:マイナンバーカードを利用
上記2つの登録方法があります。
3.2 その2. ねんきん定期便
ねんきん定期便は毎年の誕生日月に郵送されますので、捨てずにしっかりと確認しましょう。50歳未満には「これまでの加入実績に応じた年金額」が、50歳以上になると「年額の見込額」が記載されています。
50歳未満の人に送られる「ねんきん定期便」
50歳以上の人に送られる「ねんきん定期便」
年金受給が始まる直前に「想像よりも少ないな……」と気づいても時すでに遅し。将来の年金見込額は、働き盛りの若い頃から把握しておくことが大切です。長期的な資産づくりを進めるうえでの大切な情報となるでしょう。
まとめにかえて
今回は、男性の厚生年金受給額事情をながめたあと、年金見込額を確認する方法や老後資金の準備について見てきました。
老後のひとり暮らしの生活費の目安はひと月約15万円。厚生年金を受け取る男性の約6割が、この金額を超える年金を受け取ることができています。
とはいえ、歳を重ねることで医療費や介護費用がかさむケースは多いですね。また、自然災害や昨今のような物価高騰は、いつ何時私たちの家計に打撃を与えるかは予想できません。
2023年度の公的年金額は3年ぶりの引き上げとなったものの、物価上昇には追いついておらず、実質目減りしているといってもよいでしょう。
そもそも公的年金は、賃金や物価の変動を踏まえて見直しが行われます。つまり「いまの年金水準」がこの先ずっと続くとは限らないのです。
男女ともに、ゆとりある老後の暮らしを「公的年金だけ」で実現できる世帯は決して多数派ではないでしょう。
先行きの見通しが立ちにくいいま、私たち現役世代に求められているのは、自分の手で老後資金をつくる心構えといえそうです。
民間の保険会社が用意する個人年金保険を活用するもよし、「つみたてNISA」や「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」などの非課税制度を活用するもよし。ご自身に合った「資産運用」のスタイルを探してみましょう。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2021年(令和3年)平均結果の概要」
- 厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「ねんきん定期便の様式(サンプル)と見方ガイド(令和4年度送付分)」
荻野 樹