株式市場では業種別(セクター別)株価指数動向を見ていくと、株式市場動向をさらに深く理解することができる。ここでは東証33業種に関して1週間(2017年7月21日から7月27日)の株価動向を振り返る。

業種別振り返り-好決算銘柄に買いが入る1週間

今週は、非鉄金属株、その他製品株、小売業株など12業種が上昇。

電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HV)の使用済みリチウムイオン2次電池などから銅とニッケルを回収し、リサイクルする技術を国内で初めて実用化したと発表した住友金属鉱山(5713)が上昇。「ニンテンドースイッチ」の販売好調を背景に、4-6月期の営業利益が162億円と黒字転換した任天堂(7974)も大幅高になった。

また、インバウンド需要の一巡で、業績のピークアウト懸念が広まっていた小売業株にも買い戻しと思われる動きが見られた。

一方、パルプ・紙株、水産・農林業株、ゴム製品など21業種が下落。

今春以降の業界再編期待の高まりを受け、値を上げていたパルプ・紙株にも売りが継続し、王子ホールディングス(3861)、大王製紙(3880)などが下落。デフレの象徴でもあったキノコ関連にも売りが入り、ホクト(1379)は年初来安値を更新する場面もあった。

今後のマーケット見通しの注目点

今週は、好決算銘柄に買いが入る相場展開となった。注目された米FRB(連邦準備制度理事会)では、バランスシート縮小開始に関して「比較的早期」とされ、米国の長期金利が低下し流動性相場が継続するとの思惑から、堅調な相場展開となった。

こうした中、東京株式市場では4-6月期決算発表が本格化し、通期計画に対する進捗率が高い銘柄に買いが入った。また、27日の後場では、民進党の蓮舫代表が辞意を表明すると先物主導で値動きの荒い場面も見られた。今後も好決算銘柄を中心に買いが入る相場展開となりそうだ。

出所:SPEEDAおよび東証で取得したデータをもとに筆者作成

岡野 辰太郎