2万円を挟んだ膠着状態が続く。円高・ドル安基調も懸念される
2017年7月21日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より44円84銭安の20,099円75銭となりました。20日の米ダウ工業株30種平均が反落したことや、円高基調が続いていることが投資家に嫌気されました。
今週は安値が18日の19,943円、高値が20日の20,157円と、高値と安値の差が214円しかありませんでした。2万円を挟んで膠着といった動きです。東証1部の売買代金は1兆9,967億円と、活況の目安となる2兆円を1週間ぶりに下回っており、商いも薄くなっています。
来週以降の動きはどうなるでしょうか。日経平均は上値が重い展開が続いています。ただし、21日の終値は2万円台をキープしており、大きく崩れているわけではありません。
米国の株価は好調です。ダウ平均、S&P500種株価指数は19日に最高値を更新しました。ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も20日まで10日続伸しています。21日には3指標ともに下げたものの、下げ幅はいずれも小さく、高値圏での利益確定を目的とした売りが出たと見られています。
海外の株式市場が好調な一方で、日経平均だけが出遅れ感があります。要因の一つは為替です。21日のニューヨーク外国為替市場で円相場は4日続伸し、1ドル=111円05~15銭で取引を終えました。ほぼ1か月ぶりの円高・ドル安水準となっています。ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁が金融引き締めに前向きな姿勢であることも、ドル売りにつながっています。
25~26日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれますが、年内の追加利上げ観測は後退しており、さらなる円高・ドル安が進むことが懸念されます。
こういったことから、しばらく、2万円付近での持ち合いが続くことも考えられます。ただし、3月期企業の第1四半期決算発表が7月下旬から本格化することもあり、好業績銘柄については積極的に物色したいところです。
一時、25日移動平均線を割り込むがすぐに回復する
今週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。3連休明けの18日は窓を空けて寄り付き、さらに陰線となりました。25日移動平均線も割り込みました。
ただし、ローソク足の下ひげも長く、投資家の迷いも感じられました。19日も小幅に窓を空けた下落から始まりましたが、陽線となりました。さらに、20日、21日と陽線が続き、25日移動平均線も回復しました。
三角持ち合いで方向感がつかみにくいが上放れに期待
今後の動きはどうなるでしょうか。25日移動平均線を割り込んでもすぐに回復したことなどから、売り圧力は強くありません。むしろ上値を試す展開になるのではないでしょうか。
ただし、現状は、6月20日からの下降トレンドライン、および6月15日と7月7日の安値を結ぶ上昇トレンドラインに挟まれた三角持ち合いの形になっています。このため、しばらくは、上値めど6月20日の高値20,318円、下値めど7月7日の安値19,856円の間でもみ合うことも想定されます。
方向性の確認としては、まずは直近の高値である20,318円を超えられるかどうかがポイントになります。ここを超えると20,900円あたりが過去にもみ合ったところで、いったん抵抗線になりそうです。
ただし、21,000円以上で節になりそうなのは、1996年6月26日の高値(22,750円)ぐらいしかありません。視界がかなり広がっています。円高の懸念はあるものの、企業の業績など国内外の環境は悪くなく、上放れも期待できます。21,000円超えなどの動きになれば、積極的に付いていきたいところです。
下原 一晃