2万円を割った日経平均、世界的な金利上昇も懸念
2017年7月7日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は前日より64円97銭安の19,929円09銭となりました。
今週は下押し圧力が出やすい局面でした。まず2日に行われた都議選で自民党が敗北しました。ただし、翌3日の相場展開は薄く、結局、日経平均は小幅に反発して終えました。背景には、海外投資家は一つの地方選挙にあまり関心がなかったという声もあります。また、4日には米市場が独立記念日であることから、投資家も売買を手控える動きがあったようです。
ただし、その4日には、北朝鮮がミサイル発射を発表しました。地政学リスクが再燃するのではないかと警戒されましたが、これも影響は限定的と受け止められ、2万円台を維持しました。
一方で、九州北部で発生している豪雨による景気への悪影響が懸念されたほか、7日の米雇用統計の発表、7日~8日の20カ国・地域首脳会議(G20サミット)を前に、積極的な買いは控えられました。
来週の動きはどうなるでしょうか。7日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発しました。6月の米雇用統計で雇用増加が市場予測を上回ったことが好感されました。7日のニューヨーク外国為替市場ではドルが買われ、円相場は1ドル=113円90銭前後と、円安・ドル高傾向になっています。
今後の展開を占う上で重要なのが金利の動向です。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁による発言などをきっかけに、世界的に金利上昇が起こっています。米国や欧州の長期金利が上昇し、株価の上値も重くなっています。
それに対して日本では、日銀が7日、指し値オペと国債買い入れの増額の公表を発表し、金利上昇を抑え込みました。ただし、この低金利をいつまで続けられるかは不透明です。
方向感が出しづらいところですが、日欧経済連携協定(EPR)の大枠合意など、明るい材料もあります。出遅れ感のある自動車、鉄鋼・非鉄金属、金融などの銘柄の物色もありそうです。
25日移動平均線を割り込み、5日移動平均線とのデッドクロス形成
今週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。週初の3日は25日移動平均線付近で十字線のローソク足となり、反転上昇を予感させました。そのとおり4日、5日と陽線が続きました。
ただし、ここまで25日移動平均線にサポートされている形でしたが、6日には終値が25日移動平均線を下回りました。さらに7日は窓をあけて下落し、ローソク足の実体、高値ともに、25日移動平均線を上回ることができませんでした。5日移動平均線が25日移動平均線を上から下に抜けるデッドクロスも形成されました。
2万円を挟み、高値圏のもみ合いになることも
今後の動きはどうなるでしょうか。懸念されるのは、5月18日の安値と6月15日の安値を結ぶ上昇トレンドラインを下抜けてしまったことです。来週、ここで上値を抑えられるようであれば、短期的な調整もあり得ます。
下値のめどとしては、直近の安値である6月15日の19,755円となります。ただし、このあたりから19,500円あたりまでは過去にかなり積み上がっているところであり、一気に下がるとは考えにくいところです。
円安傾向も続いていることから、しばらくは19,800円~20,000円、さらに6月20日の高値(20,318円)あたりまでの間でもみ合いが続くのではないでしょうか。
現在のチャートの形を見ると、5月18日の安値と6月15日の安値を結ぶ上昇トレンドライン、25日移動平均線、2万円がほぼ重なります。まずは来週、このあたりまで回復できるかどうか、注目したいところです。
下原 一晃