過去の同月に公開された記事をプレイバック!もう一度読み直したい、「編集部セレクション」をお届けします。 (初公開日:2020年1月1日) |
2020年を迎えたわけだが、昨年2019年に大きく話題となった閣僚、官庁を巻き込んで生じた「老後2000万円問題」。その発端は2019年6月に公開された金融審議会市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」(以下、金融庁レポート)であった。その後、時間とともに忘れられていったような印象はあるが、日本の高齢化は進んでいるし、もっとも老後資金の準備が不要になったという話ではない。
今回は、金融庁レポートでは前提としてあげられていた高齢世帯の年金収入をあらためて厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業年報」(平成29年)を見ていきながら、老後資金を考える際に見落とされがちなポイントについて考えていきたい。
1. 民間企業のサラリーマンの年金額はいくらか
厚労省「厚生年金保険・国民年金事業年報」では、厚生年金保険(第1号)の老齢年金の年金月額階級別受給権者数(平成29年度末)として、受給権者数と年金月額を開示している。
その中で、厚生年金保険(第1号)の受給権者数は1590万人。内、男子が1062.9万人、女子が527.0万人としている。いわゆる民間企業のサラリーマンだった人はこの厚生年金保険に該当する。同カテゴリの平均年金月額は14万4903円。内、男子が16万5668円、女子が10万3026円となっている。
話はそれるが、企業年金連合会を参考にすると、平成27年10月に旧共済年金が厚生年金に統合された際に、旧共済年金の加入者が第2号厚生年金被保険者(国家公務員共済)、第3号厚生年金被保険者は地方公務員共済、第4号厚生年金被保険者は私立学校共済とされている。